宝塚記念も直前という6月20日、3歳ダート路線の改革をめぐってこんなニュースが飛び込んだ。

 

要するに南関東三冠競走のダートグレード競走化なのだが、この意図に『芝はJRA、ダートは地方』という棲み分けを狙っているという観測があり、それはおかしいのではと思ったのがこの度ウチに新規に入厩した2頭の牝馬(クロ美=クロノジェネシス、グラ子=グランアレグリア)。かなり煮詰まったものもあったのか、入厩後すぐクロ美と仲良くなったコンちゃん(コントレイル)、クロス鼻革つながりでグラ子と仲良くなったおまわり(レイデオロ)にも話に入ってもらうことにした。

ちなみに牝馬2頭が仲良くなったコンちゃんとおまわりはともに3歳時に日本ダービー制覇という共通点。

 

 

クロ美(クロノジェネシス):南関東のお馬さんづくりの頂点である三冠競走を『日本の3歳ダート競走の頂点』にするみたいだけど、私思うのは南関東の厩舎関係者にはひどい仕打ちにしか思えないわ。三冠体系を交流化するってJRAの枠でやむを得なかったかもしれないけど、法整備から何から骨抜きで地方に押し付けている気がするの。

コンちゃん(コントレイル):これはJRAが開催日数に関するなどの法改正を怠ったツケを完全に地方に押し付けているとしか思えないな。最も、地方と中央のダートの砂質って違うのが通例だし、中央の軽い砂でJRAの馬は調教を馴らされ、地方の馬だって地方の重い砂で日々調教をこなしているはずだし…軽はずみにJRAの馬が地方の砂使って聖域犯すのもイカンはずだが。

グラ子(グランアレグリア):これだとダービーシリーズの形骸化というのも私には見えてしまう気がするわ。せっかく各地区に三冠路線があるというのに地方の自主性を損ないそうで何か危ない気がするわ。南関東どころか各地で三冠路線の練り直し迫られそうで『地方のことは地方で』って自主自立が崩れる気がして怖いわ。

おまわり(レイデオロ):それがモロに出そうなのが兵庫だろうな。兵庫チャンピオンシップを1400mに短縮する無謀な手に出てしまったみたいだな。これで菊水賞と兵庫ダービーとの関係性がこじれて『兵庫三冠』の御旗が崩れる気もする、仮に兵庫チャンピオンシップを一冠目にするようなら話は別かもしれんが。

 

グラ子:しかしさぁ、JRAも何かダート競走をお荷物的に扱っているような気がして…

コンちゃん:お荷物って…フェブラリーステークスとかチャンピオンズカップとかあるのに?

グラ子:何となくだけど…JRAのダートって私たちが育ててもらった芝で芽が出なかった馬の再生工場的に考えられている気がするわ。

おまわり:いくら何でも言いすぎだぞ。オイラも含まれるけど自分たちがで芝で一世風靡したからって言って。

クロ美:グラ子、私の勘違いかもしれないけど、JRAってダートは古馬路線さえ整っていればいいって考えかもしれないと思う。あと、各競馬場見ても、ダートでの根幹距離があるにしてもせいぜい1200mとか東京の1600mとか阪神の2000mくらいしかないと思うわ。2000m級って東京に2100mあるから代用できるように思うかもしれないけど3歳馬の頂点決める根幹距離としては合わない気がする。昔のジャパンカップダートみたいな古馬混合の復活だったら需要あると思う。

おまわり:これは理想論かもしれんが、新潟とか4コーナーの内回り改装すれば芝スタートだけどダート2000mとか楽そうな気がするな。それが実現すればむしろレパードステークスなんか2000mにしてもおかしくないし、3歳で無理あるようなら古馬混合に代えてもいいし。

コンちゃん:確かにJRAが1800mを(ダートの)根幹距離に考えているのは無理ある気がするな。重い砂のダートで3歳王者を決めるという考えも別に悪くはないと思うが…それだったら可能な限り2400m級で秋に関西圏の3歳ダートGⅠ作ってダート界の菊花賞みたいなレースって考えてもいいと思うぞ。

 

グラ子:コンちゃん三冠獲っているからわかるんだ。確かに私も桜花賞勝っているけど、芝のクラシックって英国の三冠に範をとっているところあるから距離的にも変えようが効かないのね。それがダートの場合って…アメリカのクラシック三冠がダートだからいう訳じゃないけど、開催順は移動させることが可能と考えて、ケンタッキーダービーに範をとって2000mのダービーは必須として、ブリークネスステークスに範をとって1800~1900m、ベルモントステークスに範をとって2400m級のGⅠをJRAに作る必要って感じなかったのか不思議だわ。

おまわり:法律で競走数が決められてて枠が埋まっているというけどそこは改正すべきだと思うなオイラは。(3場開催で)1日に平地で3重賞とか展開しても今のJRAのキャパシティーであれば不可能ではないはずだぞ。開催日ごとに重賞ばかりでブーブーいうファンもいるかもしれんがよく考えてほしいな。路線整備のためにはそういう改革を伴うというもの考えられないものかな?

クロ美:確かに1日3重賞以上というのも京都にJBC競走がやってきた当時しかないみたいだし。そうすればJRAでダート重賞拡充することだって不可能ではないと思うわ。今のJRAに必要なのは『質より量』の問題だと思うの!

コンちゃん:これは僕が考えるんだけど本来JRAの場合『芝・ダートの番組をバランスよく』ってのが理想なんだよね。それをJRAは芝に特化する形でダートは地方中心というのは地方競馬の側に新たな負担を生むような感じがしていけないと思う。地方だって盛岡に芝だってあるんだし、最近授賞馬いないようだけどNARグランプリにも最優秀ターフ馬のタイトルだってあるんだし、地方からJRAの芝の重賞に出走しやすくする方法とか考えた方がいいと思うんだけどな。

グラ子:よくよく考えると何かJRAはダート重賞をお荷物的にしか考えていないようで嫌だわ。今のところ2・3歳路線を改革するようだけどそのうち古馬路線すら地方に押し付けそうな感じがあって…しまいには芝と障害レースを寡占するようなことになりやしないか不安しかないと思う。

 

クロ美:ご主人様(ウチ)は時々2・3歳のダートグレード競走の予想するとき、レースによっては『地方所属馬頑張れ』的な予想するけど、あれは理にかなっていると思う。『地方のことは地方で』と考えるのならそこに中央所属の馬が入り込む余地って本当はない気がするの。『ないものは作れ』的な考えってなかったのかなJRAは。今回の改革でシワ寄せを受ける南関東も代替策早期に生み出せなければお馬さんのレベルが地盤沈下するだけでかわいそう。

コンちゃん:期待はするけど…どんな方向性を出すかでレベルが低下することだけは見たくないな。

おまわり:あと、そのシワ寄せなら地方競馬のダービーシリーズも改革しないと辻褄合わないと思うな。

グラ子:そうそう!むしろ東京ダービーをダービーシリーズのファイナルに位置付けて各地区のダービーを勝ち上がった馬(全馬に優先出走権を付与する方式)が決勝戦的にJRA所属馬と対戦できるようにすれば今回の改革の成果が出やすいと思うな。

 

コンちゃん:もう一つ思ったのは、グランダム・ジャパンシリーズの3歳シーズンも何か形骸化しかねない気がすると思う。ダービーシリーズに範をとるようだが独立させる形で『オークスシリーズ』ってあってしかるべきだと思う。ここもケンタッキーオークスに範をとる形で各地区の対象シリーズを整備しそのポイント上位の馬を最終関門で競わせるというの。むしろ関東オークスをJpnⅠに昇格させ川崎に加え大井(2000m)と船橋(2000mだと発馬後のスパイラルカーブ適応能力が要求されかねないため2200mが理想)を加えた3場で持ち回りする方式にして展開できて不思議ない気がするな。

クロ美:あと、コンちゃんの絡みで言えばあった方がもう一ついいのあって、ニューヨーク牝馬三冠(アメリカ牝馬三冠の別称もある)に範をとる形にして、エイコーンステークスに倣った1600m戦(浦和か船橋、浦和の場合は桜花賞の転用も)、コーチングクラブアメリカンオークスに倣った1800m戦(船橋か園田。園田なら1870mでも差支えはない。)、アラバマステークスに倣った2000m戦(大井か川崎。川崎なら関東オークスの転用あり)の3鞍をダートグレード競走として新設して3歳牝馬のレベルアップ図るというの。そうすれば今回改革の3歳ダート三冠とバランスが取れて『3歳牝馬ダート三冠』って路線って組めそうな気がするわ。

おまわり:あれ?ニューヨーク牝馬三冠に倣ったの南関東の牝馬三冠じゃなかったっけ?

クロ美:そうかもしれないけど…今回は南関東の牝馬三冠とは別に3歳牝馬ダート三冠路線としてダートグレード競走として体系化する意味で言ったの。浦和の桜花賞や関東オークスの転用だと面白くないファンもいる気がすると思うけどね。

 

おまわり:それにしても、今回の改革は何か競馬実施主体やオーナー側の理屈で成り立ってしまった感じがして生産現場や調教現場の意見がどこかないがしろにされている気がすると思うんだなオイラにとっては…

コンちゃん:何か興行面を優先に考えてしまっているところもあるので『強い馬づくり』『世界に通用する馬づくり』の論点がうやむやにされかねない気もしそう…

グラ子:これからダート王・女王を目指す後輩たちが納得できる路線を残さないと強い馬づくりは難しいと思うわ。

クロ美:ダートグレード競走の改革ってまだ途上にしかならないと思うと…私は先が思いやられる気もする…( ̄▽ ̄;)

 

 

芝で実績を積み上げてきた4頭の不満が現役時にダートで活躍する僚馬たちを見てきた経験からどっと吹き出てしまった感じであった。確かにダートグレード競走の地方偏向は良くない話だと思うし、JRAでの路線不備を地方側にツケを払わせることもあってはならないと思った。この状態の突破口はJRA側の改革にもかかっているとウチは考える。『地方への押し付け』ではなく、『バランスの取れた重賞競走の分担』こそ改革へ向けた薬だと思っているのだが…(-_-;)

 

 

4頭の会話の内容がのらりくらりになってしまったかもしれないがあくまでウチのお馬さんが競馬界の現状語る際の癖・傾向でもあるのでご容赦のほどを…(^^;)