そろそろ、春が近い。
卒業式が近い。
中三年ももう終わりとなったモモのクラスは浮かれてて、授業中でもうるささ20%増量中。
とくに歴史の授業なんかどーでもいいから、騒ぎ放題でマジでうるせーんだけど、モモもヘラヘラ笑っとく。
モモにはどーでもいいのだ。クラスの浮かれ放題なんて。
モモは楽しみなのだ。四月からの高校生活が。
「自分らしく、自分らしく生きよう」
そう、心に決めたので、今は四月のスタートが待ち遠しい。
四月への心得を例えれば、髪の毛。
モモは桃太郎なので髪の毛がピンク色だけど。
今までは、黒く染めていたのだけれど、四月に向けてのばし始めた髪はもうドピンクだ。
自分らしく。
なんだかよくわかんないけど、こういうのは形から入るのが一番だと思った結果だった。
それにしても、うるささ20%増しはやっぱりうるさくて、歴史の先生もさすがに授業を一回中断する。
「おまえらあんまり調子乗ってると、内定取り消しにしちゃうぞ」
何かと思ったら、キレ出してヒステリーを起こした。
「中学の教師だってそれくらいの資格あるんだからな」
……。
そんなワケねぇーだろ。
心の中でつぶやくモモ。心の中で。
クラスのみんなもとりあえずピタリと黙り込む。
これはビビって黙り込んだワケじゃなくて、全員が「そんなワケねぇーだろ」って心の中で思ってしまったから。
そんな空気も読めないで、ヒステリーを続ける先生なんだけど、だんだんそのホコサキはプチ不良の生徒に向いていって、
そのプチ不良の生徒には、髪の毛がピンク色のモモの姿もあったとさ。
ピンク色の頭をかじりながら、「自分つらぬくのって大変」とか思いながらヘラヘラ笑ってたら、
その笑いが先生をさらに怒らしたっぽくて、ヒステリーが拡大。
ついに、ピンクの髪の毛までつっこむヒステリー。
すると、その瞬間。
モモの斜め前に座ってた犬井ヌイ子さんが急に立ち上がって荷物をまとめて、教室から出て行こうとする。
ワケもわからずテンパる先生は、急いでヌイ子の後を追うのだけれど、ヌイ子は、
「そんなワケねぇーだろ」
と、一言残して、中指を立てて出て行った。