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 明治維新当時、動物園開設の目的のひとつは青少年教育でした。しかし、幾度か繰り返された動物園の所轄省庁移管に伴い、その目的は徐々に変質してきました。

 博物館は殖産興業を目的とした産業博物館に重点が置かれ、動物園が戦争功労動物の展示場として戦意高揚に利用されるという変貌もあったようです。

 近代国家設立のため、西欧から多くを学ぼうとした日本でした。でも、動物園に関しては、ロンドン動物園のように動物学協会が管理運営するという形態は模倣されませんでした。そして、動物園から『学』が欠落していったのです。

 このあたりの詳細については、佐々木時雄の名著『動物園の歴史』に書かれているので、興味ある方はぜひご一読願いたいと思います。しかし、残念ながらすでに絶版のため、古書店からしか入手できない状況です。