人口9人、70歳以上の高齢者が暮らす島に、猫が200匹以上いる−−−−。

 

この驚くほど人が少なく、猫が多い島が、愛媛県伊予灘沖に浮かぶ青島です。

 

島民のなかで、猫が好な人たちが猫の世話をしているようですが、最近では猫好きな観光客がたくさん来島して、持参のご飯をあげるため、猫たちも数の割には健康的な体をしています。

 

私が初めて青島へ行ったときに出会ったのは、毎週の勢いで青島へ通う女性の方(猫おばさまと呼ばせていただく)です。

 

エコ袋に、がっつりと猫ちゃんのご飯(主にカリカリ、ちくわ、缶詰)を詰め込み、島へ通っているのです。

 

猫おばさまは、当然ながら猫たちに大人気。

 

猫おばさまが下船すると、「キターーーー!」と猫たちが近寄ってくるのです。そして、彼女があるければ、猫も移動するので、それにつられた観光客も一緒に移動。

 

猫おばさまを筆頭に、猫と人間の大移動が開始します。

 

向かうは、「エサやり場」と書かれた、島の中で唯一ご飯をあげてもよい場所です。

 

ここにきて、猫おばさまがカリカリの袋を取り出し、地面にザザザッと並べます。そこに猫が群がり、気づけばそばにいる人間の肩や背中にも飛び乗ってくるのです。

 

うおお、猫にまみれている!

 

まさに、「猫まみれ絵図」が繰り広げられます。

 

 

船が近づくと、猫たちが集まってきます

 

 

桟橋はあっとう間に猫だらけに

 

 

猫おばさまについていく、大一行!

 

 

カリカリに群がる猫たち!

 

「今日は猫たち、お腹すかせとるねえ」

 

猫おばさまがそう言うと、向こうから島の自治会長のおばあさまがやって来ました。

 

「ごめんねえ。さっきまで島でとったけん、今日は猫たちお腹すかせてたでしょう?」

 

猫おばさまに群がる猫たちは、「あ、お母さんが帰ってきたにゃー!」と、瞬く間に自治会長のおばあさまのところへ駆け出します。

 

 

「あんた、風邪なおらんねえ」

 

「いっぱいご飯もらったの?」

 

そう猫たちに語りかける言葉は、家族に声をかけるような愛情がたっぷりです。

 

日本一の猫密度を誇る青島は、猫と島の人のいい関係があってこそ。

 

猫おばさまと、自治会長のまわりに集まった猫たちを、眺めて写真を撮るだけの観光客も、ただただ嬉しそう。

 

みんな、猫からも、そしてこのあたたかい光景に、元気をもらって帰るのだなあと感じます。

 

日も沈んだあと、帰りの船に乗り込むと、堤防を歩く猫のシルエットが美しく浮かび上がって、お見送りしてくれました。ああ、さすが、猫の楽園です。

 

 


背中に肩にとびのってくる猫たち

 

 


猫おばさまからちくわを渡され、猫の熱いまなざしを受ける私

 

 


猫を愛する島の自治会長と猫たち

 

 


帰りの船で見えた猫シルエット