真鍋女子バレーで見たい男子バレーのミドル攻撃「Bick」 | バレー・テニス中心のスポーツブログ

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アメリカ遠征を終え、ついにWGPまであと1週間程度。ある意味、仕上げにかかってると思われる全日本女子。スタメンがどうなるかが気になります。その中でもリオ五輪に向けて、ミドル攻撃が弱い日本にとって、どうしても取り入れてほしい攻撃を紹介したいと思います。

2013年男子バレー界が多用している攻撃「Bick
Bick・・・Back row quick
以前はパイプと言われていたミドルBSも、今やミドル攻撃としてBクイックのような速攻の一部の攻撃になってます。まずは動画で理想をご覧ください。

●福澤達哉のBick

世界一・金メダルを狙う全日本女子で、この速さ・高さに近いBickを見たいんです!

セッターとMBの陰に隠れながら助走し、相手のリードブロックを完全に封じ込め、トスが上がった瞬間にはすでにジャンプしているので、相手ブロックも追いつけない。素晴らしい攻撃です。女子はまだ単独でやっているので、セッター、MBの影を使った助走で速攻のコンビとしてBickを使ってほしいです。

$バレー・テニス中心のスポーツブログこれはご存知の1stテンポでの高速BSのこと。前衛MBの攻撃だけでなく、ミドルにマークを集約させるためにも後方からも速攻を打ちましょうという意図だと考えます。

画像のように福澤選手はまるで前衛から打ってるかのような位置でのスパイクです。Bickについてのいい画像がなかったので、あえてエンド側からのBSの画像を使ってます。

ほとんどが単独ではなく、前衛MBと後衛のWSでの時間差攻撃につながる攻撃だと思います。日本男子も特に福澤選手が多用し、ウィニングショットになってる気配さえあります。

もしこの攻撃が全日本女子でもできるようになれば、本当に面白いし、金メダルも夢ではない気がします。今年はベストメンバーがそろっておらず、色々なVリーグのチーム事情も重なり、試運転状態の全日本女子。

鹿児島合宿でも
江畑「むっちゃ速くなりました。速攻に入っているような感覚です。」

日本女子バレーにはこのミドルの高速BSの「Bick」は必須。なぜなら日本MBの攻撃力が世界トップと比べると半分程度しかないように見えてます。アメリカ遠征第3戦のトス配分5%が全てを意味しているかもしれません。真鍋さんの意図的かもしれませんけど。

できればミドルの位置に相手ブロッカーの意識を集め、両サイドで決める形が日本の理想。そのためにはMBの攻撃力が弱い日本はBickの攻撃で大きく変わる可能性があります。

[コートを9分割したスロットナンバー]
$バレー・テニス中心のスポーツブログ現在のバレーの攻撃は、左記のようにコートを9等分。
5・4・3・2・1・0・A・B・Cのように0をセッター基準としてナンバー割(スロット)をしています。読者さんによると現在では1~9の場合もあるようです。

話を聞いたところによると、このスロットナンバーを使って、レセプションアタックの時は主にセッターがサイン、トランジションの時はアタッカー自身が声を出してセッターに指示を送ってるようです。実際のサインの声だしや種類は違うと思いますが、例えば、Aクイックでスロット1の攻撃は「A1」。A1を絡めたBSのスロット2の攻撃は「B2」となるんでしょうか。

またチームによって異なると思いますが、ロンドン五輪などではほぼ全て竹下選手が指示していたように見えました。特に迫田選手などサイドアタッカーの使い方は抜群でした。

相手攻撃に対するブロックの指示もこのスロットナンバーを使い、指示があるように見えます。素人から見ると100を超えるコンビをトランジションでよく一瞬で使い分けできるなというように見えますが、選手達はもう10年以上この環境に慣れているので、当たり前のようにできるようです。

では男子の攻撃をどうやれば全日本女子に適用できる可能性があるのかを見ていきましょう。

[日本女子がBickを生かすためには]
●Bickの基本
1stテンポを完全に理解できてないまま語ることではないですが、素人のブログなので、気にしないで進めていきたいと思います。あくまで参考程度に。

上記の動画は、学生?のBickの練習風景。セッターがボールを手に入れた瞬間には2歩助走を終了し、最後の1歩とジャンプでトスとのタイミングやブレを修正するような打ち方なのがわかります。スロットで言えば、1、2の位置でのBick。

この速さで打つためには、レシーブが上がった状態から助走を始め、セッターが上げる瞬間には3歩助走の内の2歩助走が終わっている状態という、オープントスのゆっくりとしたトスのようにセッターが上げてから1歩目の助走を開始する攻撃と異なり、まるで速攻に近いような助走のテンポを完成させなければなりません。

MBとの時間差Bickを行うためには、
$バレー・テニス中心のスポーツブログ[1]セッターが手の中にボールを入れる前に2歩目の助走を終わるようなレシーブの高さでセッターにAパスする。この時のパスが低すぎたり、速すぎたりするとWSがBickのための助走が行えないので、ある程度の高いパスが必要だと思います。


[2]セッターがトスアップの瞬間にMBはジャンプ、WSは2歩目の助走を終っている段階。その助走の際に、できるだけセッター、MBの陰に隠れながら、相手に存在感を見せないように後衛からクロスの助走をすることが現代の主流のようです。


[3]最後におとりに跳んだMBの背後から、3歩目のジャンプをしたWSがジャンプしスパイクの体勢に入ったところで、セッターがBクイックのようなトスをアタッカーに合わせてあげ、Bickの攻撃が成立




●理想的なキム・ヨンギョンのBick
※動画開始47:55~ トルコリーグ第3戦ワクフバンク×フェネルバフチェ
 第5セット10-7ワクフリード

レセプションをこなしながらも、軽い3歩助走で192㎝の高さを生かし、ブロックを見ながら広角度に強烈なBickをコースをしっかりと狙って打てる。ここまでの高さと球威を持つBickを打てる女子選手としては物凄い高等技術です。

本当に素晴らしい。世界を見てもレセプションをしてから高さも球威も完璧なBickが打てる女子選手はキム・ヨンギョンだけじゃないでしょうか。他に誰かいたら教えてほしいです。こんなすごい選手が引退問題などに今巻き込まれていること自体が不思議でなりません。

●迫田さおりのBick
※動画開始8:34~ 2011モントルー決勝 日本×キューバ
 第2セット9-7日本リード

$バレー・テニス中心のスポーツブログここまでの速いBickは迫田選手が世界No.1かもしれません。完璧なBickでキューバの2枚ブロックの完成が完全に遅れています。ブロックに当たっても弾かれてブロックアウトとなっただろうと思います。今回、2013としての迫田選手を見てないので、あえて違う枠にしました。

迫田選手の特徴は、レシーブが空中にある時点で助走を開始、セッターのトスが上がる瞬間には2歩目の助走を終了。そして3歩目のジャンプで助走の勢いと体重をボールに乗せて打てているので、男子並みのスパイクスピードがあるBickになってます。

良い部分は、ラインぎりぎりまでしっかりと助走を取ること。ヨンギョンの身長を生かしたBickと異なり、助走の回転を速くし、ジャンプの高さと体重を乗せた重い球質で打てていることだと思います。素晴らしい!
[2013アメリカ遠征 第1戦 日本×アメリカ]

[日本女子の現状]
全日本女子は2011年の7月のブラジル国際からついにBickをチャレンジし始めましたが、やはり女子選手のフィジカル・スピードではスパイクそのもののフォーム・タイミングを乱し、チーム不振に陥る大変革の時期でした。

2011年のW杯は大丈夫か!?と思えたほど。しかしアジア選手権後の1か月でトスを元に戻し、大当たりの木村・江畑のダブルエースが復活し、大活躍でした。

しかしそれ以後、ロンドン五輪まで時間もなく、前衛でのトスは調整するも、BSはなかなか手を出せず、そして今また変革期に入ったようです。
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●木村沙織のBick
※36:33~新鍋のサーブ
※50:47~アメリカサーブ
※2:04:10~アメリカサーブ
$バレー・テニス中心のスポーツブログ木村はトスが低すぎて助走が足りずに跳べてなく、すごく打点が低い。特に36:33~のシーンでは、前衛の平井の意識の共有がまだできてないのか、コンビミスなのか、木村の着地付近でBを要請。木村選手がきっちりBSでジャンプしていたら衝突という危ない場面でした。

まだ全日本全体に1stテンポでの攻撃をしていこうという意識が足りてないように思えます。慣れないというか他人事というか、トランジションなので非常に難しいと思いますが、この辺りが初戦という感じです。
$バレー・テニス中心のスポーツブログチームの方針として後衛のスパイカーがどこにいるから前衛のMBは個々の攻撃をセレクトというような全体での動きが必要だと感じます。

木村選手のBickは、トスのスピードにアタッカーが合わせる的な感じで、その分高さもボールの球威もないままのスパイクになってる気がします。助走を速く開始して、しっかりとした助走でボールに球威を伝える打ち方にした方がいいように思えます。

※1:10:15~江畑のサーブ・木村の低い攻撃
 ロングラリーでのアメリカのブロックは平井・木村2枚に対し、平井にWSがつく。ギブマイヤーの2歩でのブロック移動が速く、攻撃で打つところが少ない。これが高めのトスならば木村の調整も可能だろうけど、低く速いので個人技術が生かせない状況。

木村選手は速い低い攻撃に対し、バレー自体が本人とあまり合ってないです。無理をしてトスに合わせようとしているので、コースを切るのも難しく、体勢が崩れることが多々。このまま続けて怪我が出ないことを祈るばかりです。木村選手はトスを高めに個人技で勝負したほうがいいと思います。

竹下選手だとその状況判断というか、場面場面によって木村が決めやすいトスを十分にわかってますが、まだ1か月程度のコンビのセッターだと何もわからないままプレーしている状況でしょう。竹下と宮下・橋本らの話す機会があるといいんですけど。

●1:59:05~ 日本チームでの木村の悪い癖
 前衛で自ら中央にレセプションを受け、不利な状態にしてまでも攻撃に向かい、結局不十分な体勢で被ブロック寸前。この反射神経的な癖を直してほしい。この場合は新鍋に任せ、十分な体勢からスパイクを決めることに専念した方がいい。

新鍋も大声を出すとか、何か主張をしてほしいです。「沙織さん、あれは私が取るべきボールです。スパイクに専念して下さい」と。結局何も話もせずに次のポイントに。

ワクフバンクなら個人の主張が強く、必ず確認をするところを、全日本になると途端に誰も何も言わなくなる。これが今の全日本のマイナスになってるように思えます。

ワクフバンクのように主張が強すぎるというのも日本人には合わないですが、誰がどの範囲でどうプレーするのがベストなのかを考えてコミュニケーションを取って確認をほしいです。そのためにポイントを取らなくても毎ポイント中央に集まるルーティンを取り入れてますので徐々に変えていってほしいです。

せっかく絶対的な地位を獲得しようとしていない木村キャプテンなので、本気で世界一を目指すならば、互いの積極的な声掛け、コミュニケーションが欲しいと感じました。

●江畑幸子のBick
江畑選手は木村選手と比べると、しっかりと助走を開始し、セッターがトスを上げる瞬間に2歩目の助走を終了し、最後のジャンプでトスに対応しているのがわかり、今後は十分にBickができる可能性にあるように思えます。

※45:20~江畑のライトBS 1stテンポ
※55:24~コート反対側の江畑ミドルBS △トスといいあまり良くない
※1:58:25~江畑のトランジションBick
$バレー・テニス中心のスポーツブログざっと見たところ、なかなかBickの攻撃を橋本が上げてなかったようなので、わかりやすいライトBSを取り上げます。きっちりと助走を行いながら、高い打点でスパイク球威も伝えられる1stテンポの速さのBSになってきていると思います。

現に横の移動の速いアメリカも2枚は揃いつつあるものの、完全に完成する前にライトBSを打ち終わっていると思います。

Bickではないですが、前衛レフトの攻撃も40:00~で1stテンポができているように見えました。

●石田瑞穂のBick

※2:05:53~BパスからのトランジションBick、第4セット15-17
$バレー・テニス中心のスポーツブログ石田選手の特徴は、迫田選手と同じく助走の速さ。後方からしっかりと助走を取り、高さがない分、自信の助走の速さでカバーしています。

この試合は両WSがレセプションするシフトだったこともあり、宮下選手がBickをほとんど使ってなかったので、アメリカのマークも薄めですが、1枚ブロックでしっかりと1stテンポで打ってるのがわかると思います。トスが上がる前に2歩目の助走を終り、トスが上がってから最後のジャンプで調整する。

ただ石田選手の場合は高さと攻撃の幅が限られるので、セッターとしても多用できる攻撃ではないように見えます。


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長岡選手もBSを打ちますが、ミドルからのBSというよりほぼライトBS。ミドル攻撃ではないので、敢えて外しましたが、短い助走+1stテンポで打てる素晴らしいアタッカーだと思います。

ただ助走が取れない場合に極端にスパイク効果が落ちるので、十分な体制を助走を開始する前にいかに作れるかがキーだと思います。またタイミングも他の選手と違って独自なモノなので、セッターとのコンビがキーになるでしょう。

できれば、短助走でスパイクを打てる長岡がレセプションをこなし、どこからでも攻撃ができる木村-江畑-長岡での布陣を見てみたい気がします。 

女子はまだ単独のBickが多い。前衛のMBとコンビを合わせ、時間差になるようなBickを完成させてほしいものです。これができればかなりのウィニングショットになるのではないかと期待してます。もちろんその前にMBの攻撃がしっかりと通用しマークがつくことが再前提の条件ですが、期待したい。

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