凄い大会でした。フィギュアグランプリシリーズ日本大会(NHK杯)。
想像通り250点超えの闘い。17歳羽生と27歳高橋の10歳差の勝負でした。2人とも好きなタイプのスケーターだけに、非常に注目していました。
高橋選手は、安定しているので、そんなに崩れることはないと思ってました。注目すべきなのは、前日に世界最高点をSPで更新した羽生選手。
SPのメンタル面でそのまま行けば、8点ほどSPで2位の高橋選手をリードしているだけに、かなり有利だなと思ってました。グランプリシリーズは、世界フィギュアや全日本選手権と違って、FPの滑走順は、SPの成績がいい人が最終滑走者になる順番です。
FPは、まず高橋選手から。今季の高橋選手のFPは、オペラ「道化師」という壮大な曲。聞いただけで惹き込まれます。高橋選手は、本当にスケーターとしてはもうプロ選手。おそらく点数というものがなく、見た人のファン投票であれば、パトリック・チャンよりも上で、No.1になるでしょう。
それほど、観ている人に何かを感じてほしい、何かを伝えたい!という演技が本当に素晴らしいです。今までの日本人では非常に珍しいタイプの芸術性が前面に出る選手。
本当に曲と演技とか一致し、素晴らしいプログラムを魅せてくれます。人間性が非常にわかりやすいスポーツですよね。27歳という経験がなせることだとも思います。特にトリノ五輪以降大きく変わった選手です。スケートの滑らかさとステップの強弱、そして巧みな表情と鋭いジャンプと4分間ほどの演技で素晴らしいスケーティングを魅せてくれていると思います。
その高橋選手の今日のプロトコルを見てみると、
小さなミスは少しずつありますが、全体的に大きなミスなく、しっかりまとめてきました。さすがに五輪の銅メダリストです。特に芸術的要素点は、83.06。いつもの高橋選手の86点前後よりは、ジャンプでのオーバーステップがあったため、低くなってますが、非常に高い得点です。
できればですが、ジャンプにもう少しGOEがつけばいいですが、現状はこれが限度でしょうかね。羽生選手のジャンプの質と比べると、どうしても着氷後の流れや、ジャンプの姿勢などが違います。しかし今日の幾つかのジャンプトスピンのミスを修正すれば、10点は上がるので、175点前後はでるFPだと思います。
SPも90点は出るでしょうから、265~270点レベルの今季のSPFPですね。高橋選手なら修正してくるでしょう。
一方、最終滑走者の羽生は、FPは「ノートルダム・パリ」。高橋選手に負けず劣らず、素晴らしい曲目。しかしジャンプやスピンの質は素晴らしいものの、どうしても表現力が見劣りします。
技術点が半端なく高い。後半あれだけミス続出にも関わらず、1つ1つのGOE(技の出来栄え)が非常に高くプラスされているので、ミスがミスにならない感じです。大技の4回転Tループ、4回転サルコーを着氷し、この2つだけで20.66と驚異のスコア。
更に3ルッツで転倒、スピンでも転倒しレベル1判定の減点。これだけミスがありながらも、技術点が何と88.93の高得点。ロシア杯で完璧に近いFPをこなした世界ランク1位のパトリック・チャンでさえ、FPの技術点は84.21。
それをあれだけ後半ミスして上回ってますからね。技術点だけでは間違いなく世界No.1。もしノーミス演技なら、技術点だけで100点でるプログラム構成ですね。凄すぎです!
もう一つの利点は、体の柔軟性。明らかに他の男子選手よりも体が柔らかいです。これは怪我を少なくさせる利点と表現力やスピンやステップのアップにつながります。
ただし課題の芸術的要素の5項目が、低いですね。おそらくSPは2分程度なので、体力がもちますが、今の羽生選手の課題は、この恐ろしいプログラムを滑りきるほどのフィジカルがないこと。解説の本田さんも言ってた通り、後半はスピードが落ち、足がガクガクして、持ちこたえられなかったですね。筋肉が張って、攣る寸前だったのかもしれません。
後は色んな経験をして、様々な感情の表現方法を学ぶことだと思います。
SPでは42.29点の高得点がでていた芸術的要素点でしたので、FPは単純に2倍されますから、本来であれば、84.58くらいはでるんですけど、後半の失速や転倒で大きく減点され、5つの要素も全て8点前後まで下がり、結局78.78どまり。
ロシア杯のパトリック・チャンが芸術的要素5項目が全て9点台の92.70点という驚異的な数字でしたので、明らかに芸術的要素ではまだ大きな差がありますね。
しかしSP・FPを総合すると、
羽生選手が、SPの大きなリードを保ち、FPでも首位に立ち、高橋選手とは10点近い大きな差で優勝!パトリック・チャンが今季世界最高の262.35に、わずか及ばない程度の261.03と素晴らしい得点でした。
羽生選手は、もう立派な世界トップ3に入る選手に成長しましたね。凄いです。250点超えの高橋選手も、いい点数なんですけど、それでも10点差がありますからね。
パトリック・チャンが世界のレベルをグッと上げ、更に羽生結弦が更にそれを引き上げようとしている感じさえします。まだ17歳の羽生選手。フィジカルをこの1年で鍛え上げ、今季のFPをこなせるとなると、パトリック・チャンがもつ壮大な世界記録280.98を超える選手になると思いますね。
すでにSPでは世界最高を出してますからね。男子フィギュア界はとんでもない時代に突入しそうです。更に日本男子もGPファイナル6人中4人が出場と、恐ろしいレベルの高さです。
GPファイナルは、2014年行われるソチ五輪の会場で12/7~行われます。ここでは、今まで以上のハイレベルの協議になりそうな予感がします。下手をすれば、世界最高記録を塗り替えるかもしれませんね。
羽生選手のコメント
「(後半は)疲れて(体が)動かなかったです。そんなに集中力は切れていなかったのですが、スピンで転んだ(バランスを崩した)後には集中力が切れました。さすがに笑っちゃいましたが。細かなミスも結構ありました。4回転については納得がいっています。後半は、しっかりと体力をつけていかないと。
(総合は自己ベスト更新だったが?)ショートプログラムが良くての総合ベストだったので、そのことはあまり気にしていません。小さなミスが続いたので、むしろその中でベストが出たのが大きかったです。
(スケートアメリカとどう違う?)1位で(ファイナルに)いけるという喜びは大きいです。それと、地元でこの結果を出せた喜びがあります。地元だからこそ、あれだけ力が出せたんだと思います。高橋(大輔)選手への歓声がすごかったけど、最初のジャンプを跳んだ後など歓声が湧いて、それに背中を押されました」
高橋選手のコメント
「4回転を転んだのは悔しいです。氷に引っかかった部分もありますが。これが試合なのかなと思いました。
(4回転は)1本目は落ち着いてできたと思います。2本目は失敗しましたが、失敗の仕方も悪くない。自分なりに徐々に上げていければ。
(ショートプログラム終了時点で1位の羽生と)8点差があったので、守ってもしょうがないと思いました。それがいい形につなかったのかなと思います。
(ファイナル確定については?)ひとまずホッとしています。彼(羽生結弦)の演技を見てもそうだけど、勢いを感じます。自分は厳しい状況にいると思いますが、それをモチベーションにしていきたいです。
(優勝の逃したことは悔しい?)悔しいですが、これからそれをバネにして練習に生かしていければ。自分でも自分の成長を疑うこともありますが、成長していきたい。下の世代の成長がすごいけど、取り残されないように。着実にやっていくことが大事だと思っています。
(世界選手権へは)ウカウカしていられない。(代表枠の)3枠に入るのはすごくキツイし、精神的にもキツイけど、その状況を乗り越えていけたらと思います」
「正直、(羽生選手は)強いです。自分が17歳の頃とは雲泥の差です。凄い選手だと思います」
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