保護猫読書サークル『猫の本棚』活動始めました。
ツイッターでぼそぼそ呟いていますが、(https://twitter.com/zoo1000da)
読書サークルらしく、読み終えた本の感想を上げていきたいと思います。
第1回目は『虞美人草』(夏目漱石/1907)
宗近君は突然椅子を立って、机の角まで来ると片肘を上に突いて、甲野さんの顔を掩いかぶす様に覗き込みながら、
「貴様、気が狂ったか」と云った。
「気違は頭から承知の上だ。―今までも蔭じゃ、馬鹿の気違のと呼びつづけに呼ばれていたんだ」
この時宗近君の大きな丸い眼から涙がぽたぽたと机の上のレオパルジに落ちた。
「なぜ黙っていたんだ。向を出してしまえば好いのに…」
小説とは不親切なもの、というようなことを小林秀雄が書いていたとうろ覚えに思い出しました。
甲野さんの継母(謎の女)、そして妹の藤尾とは、確かに良い関係に描かれていないまでも、彼がそれほどひどく蔑ろにされている描写はありません。
しかし、宗近君のこの涙で、甲野さんの悲しみ、諦め、空しさの深さ、そしてそういう態度を取り続けた謎の女の在り様を感じ取ることが出来たように思います。
それが藤尾の最期に繋がっていくのだと納得しました。
読書は行間を読み、想像力を培うもの。
現在のテレビ番組のように何から何までテロップが出ることはありません。
色も音も何もかも、自分で想像しながら読んでいく。
だから読書は楽しいのだと思います。