夏鈴side


朝、レッスン場に入るといかにも機嫌悪そうなオーラを纏っている恋人がいた。


「由依さん、おはようございます。昨日はすみません。」


「おはようございます。浮気者…」


「浮気って、、」


機嫌が悪くなっているんだろうなと想定はしていたものの正直どうしたらいいのかは分からない。


昨夜、理佐さんとご飯に行った私はお酒を飲みすぎてしまい理佐さんに介抱されてそのまま理佐さんの家に泊まらせてもらったのだ。

恋人がいて更に同棲しているのにも関わらず他の人の家に泊まる事はとても浅はかな行動だとは自覚している。
でも、昨日はお酒を飲みすぎたせいで頭も回っておらず理佐さんにも迷惑をかけてしまった。
責められてもしょうがない。


「本当にすみません。ちゃんと連絡は入れたんですから許してくださいよ」


「はい?私がご飯に行く時は早く帰ってきてくださいとか、お酒は飲みすぎないで下さいとか言うくせに自分はお酒沢山飲んで家にも帰ってこないとかありえないでしょ?」


狂犬が出てしまった由依さんを止めることは難しい。
私が言い訳をする間もなく文句をぶつけてくる。


「連絡入れた?それ夏鈴からじゃなくて、理佐から来たんだけど?それに、その服理佐のでしょ?恋人いるのに他の女の服きて来るとか浮気してますって宣言しているようなものでしょ」


確かに頭の回っていなかった私に変わって理佐さんが由依さんに連絡を入れてくれた。
親切にお風呂も貸してもらって服も貸してくれた。


「だから、謝ってるじゃないですか!理佐さんは全部親切心でやってくれただけで、やましいことなんで一切してないですから!」


「何開き直ってんの?悪いのは全部夏鈴でしょ!」


確かに今回のことは私が悪い。
それでも、実際にやましい事はなかったし沢山謝っている。にも関わらず私に対して文句しか言わない由依さんに少し腹が立ってしまい喧嘩がヒートアップしていく。


「ストップ!2人とも落ち着いて!」


私たちが付き合っていることはメンバーみんなが知っていてどんどん激しくなっていく言い合いに聞いていられなくなったのか冬優花さんが仲裁に入ってくれた。


「朝からケンカしないの!」


「はぁ、、ごめん。ちょっと頭冷やしてくる」


そう言って由依さんは部屋から出ていってしまった。


「話は全部聞こえてたけど、、これは夏鈴ちゃんが悪いとしか言いようがないよ」


「分かってます。すみません。」


「ゆいぽんね、夏鈴ちゃんに"早く帰ってきてください"とか言われるの好きなんだよ。夏鈴ちゃんに甘えられてるみたいで嬉しいって。ゆいぽんも恋に関しては不器用だからね素直に甘えられないの。狂犬なんて言われてるけどめちゃくちゃ寂しがり屋だからね笑」


「どうしたら、許してくれますかね。」


「それは、自分で考えないとね!ほら!レッスン始まるから急いでゆいぽん連れ戻してきて!」


そう背中を押されて部屋から出ると由依さんが居て扉のすぐ横でうずくまっていた。


「由依さん、、すみませんでした。」


「かっこ悪いでしょ…」


「えっ?」


「夏鈴だって甘えるの下手な癖に私にはちゃんと言葉で言ってくれる。私だって、夏鈴からの連絡が無かったら家に帰らなかった事があったかもしれないのに。私は夏鈴に素直に甘えられない。」


中での会話が聞こえていたのかさっきまでとは違い今度は自分を責めるような口振りになる。


「いえ、夏鈴が由依さんに甘えすぎてました。だから、今回の事も由依さんなら許してくれるって甘い考えをしてました。由依さんが思ってること全部教えてください。二度と由依さんを悲しませる事はしません。」

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由依side



沢山酷いことを言ってしまったにも関わらず優しい声で話しかけてくれる夏鈴。


ご飯に行く時はお酒を飲みすぎないで欲しい。
他の子の服を着るのもやめて欲しい。
私ももっと夏鈴に甘えたい。
どんなに遅くなってもいいからちゃんと家には帰ってきて欲しい。


そんな私の要望1つ1つにも優しい声で"分かりました"と言ってくれる。


「嫌じゃないの?なんか夏鈴を束縛してるみたい、、」


「何言ってるんですか?好きな人に縛られるのが嫌な訳ないじゃないですか。」


好きな人、、急にイケメンを出してこないで欲しい。
自分の顔が赤くなるのが分かる。


「ん?由依さん顔赤くなってますよ?笑」


「うるさい。ばーか」


少しずつ元のノリに戻っていく感じがする。


「由依さん。キスしていいですか?」


何を思ったのかいきなりそう言って私を壁に追い詰める。


「は?なんでそうなるのっ、、」


「仲直りの印に、」


許可なんて出してないのに顔を近ずけてくる夏鈴を全力で阻止する。


「こんなとこで、する訳ないでしょ、、!」


レッスン場の廊下
ましてや、すぐ横の扉を開ければメンバーがいるという状況でこんな体勢になっている事もおかしい話だ。


「分かりました。我慢します」


話を理解してくれたのか夏鈴は力を弱め私から距離を取る。それに安心した私も肩の力を抜き気持ちを落ち着かせる。


チュッ


っ?!?!?



「はい。私の勝ち」



勝ち誇ったような顔でそう言う夏鈴。



「っ、、!ばか!」



「さっきから、バカバカって酷いですよ
仲直りしたので戻りましょ?」



余裕たっぷりな夏鈴に腹を立てつつも惚れたもん負けかと開き直る。が、恋人とはいえ年下の後輩に負けるわけにはいかないと負けず嫌いな部分が出る。


扉を開けようとしている夏鈴の手を引っ張り少し背伸びをして夏鈴の唇を奪う。


そんな私の行動に驚き一気に顔を赤くさせる夏鈴。
そんな夏鈴みて今度は私に余裕が生まれる。


「はい!私の勝ち!」