「忘れようとすればするほど忘れられなくなる。」
これは至極当たり前であることに気付いた。
「忘れよう」
そう心に決めることで
人はその対象を忘れようと努力を始める。
しかし、ここに大きな落とし穴がある。
「忘れよう」とするためには、
自分がその対象を「忘れる」ということを
覚えておかなければならない。
例えば、日曜日に春物の服を買いに行きたいとする。
すると、人は日曜日まで「春物の服を買いに行く」
ということを覚えている。
覚えていて初めて、自分の決めたことを実行できるのだ。
すなわち、その対象を忘れたい。と願うならば、
忘れるまで、その対象を忘れることを覚えていなければならない。
ここで、大きなジレンマがおこる。
買い物の例は別段問題はない。
しかし、「忘れたい」ことを覚えている。
ということには何か不思議な感じがしないだろうか。
人が物事を実行するためには、
その物事をしっかり記憶しておかなければならない。
それに従えば、
「忘れ」たければ、そのことをしっかり記憶しておかなければならない。
だが、「忘れたい」ことを記憶しているということは、
その対象もしっかり記憶していることになる。
いよいよややこしい話になってきたが、
忘れるためには、そのことを記憶しておかなければならない。
ということはその忘れる対象物も記憶しておかなければならない。
そうすれば、必然的にこれまで以上に濃い記憶として脳に焼きつくのである。
したがって、
「忘れようとすればするほど忘れられなくなる」
というのは人間の思考から考えて至極あたり前という結論になるのである。
(つづく)