3. ブロックチェーンによる不正評価への有効性

 

もっとも,この種のシステムの信頼性は,システム形態, システム可用性,ファイルやリソースに対するアクセス制御, 提供されたデータ自身の信頼性および取引相手の本人確認など様々な要素技術も信頼の形成に大きな影響を与えます。

 

プライバシーに関する懸念は、ユーザーに正確な情報を提供することの妨げになります。

 

顧客は、フィードバックを提供することにより、販売業者からトークンが割り当てられることができるため、評価の公平性に影響を与えかねません。

 

しかし、ブロックチェーン技術導入することにより、顧客と販売業者は相互に暗号化された情報のやり取りを行うことが可能になり、顧客はトラブルに巻き込まれることを心配する必要はなく、真意に基づいた評価を下すことができます。

 

 

Amazon.comやExpedia.comなど従来の評価システムにおいては、「検証済取引」というラベルを使用することで評価詐欺を区分してきました。 

 

たとえば、Expediaの評価者は少なくとも一度宿泊した実際の顧客であり、そうした人たちの評価は「検証済評価」と呼ばれるものです。

 

同様にAmazon.comは、「認証済購入」ラベルにより評価します。しかしながら、ブロックチェーン技術を用いることにより、評価が実際の購入の結果として行われるとしても、従来よりも格段に速く評価を知ることができます。

 

従って、ブロックチェーンによる評価システムおいては、検証済取引や関連する評価は保存され、「検証済」ラベルはもはや必要がありません。

 

また、Schaubらによって提案された戦略(2016年)は、票の水増しを防止するために各販売業者に割り当てるトークンの総数を制限することにします。 

 

従って、販売業者が不正評価にトークンを付与すると、実際の取引に使われるトークンの数が減るのです。 

 

この戦略の前提となっているのは、評価の総量には限りがあり、販売業者の評価と利益とのトレードオフをもたらす可能性があるため、効果的であるようということです。 

 

しかし、評価システムの目的は、ユーザーにフィードバックを促すことであり、商品評価の提出率の差が起こります。

 

たとえば、ヒット商品は短期間で多くのフィードバックを獲得することができますが、人気のない商品には長い間コメントが付かないことがあります。

 

したがって、最初から獲得できる評価の数を制限することは不可能であり、この戦略は実現するのが難しいかもしれません。

 

 

ブロックチェーンに基づく評判システムおいて、票の水増しや常時攻撃など主観的情報詐欺リスクを緩和することができますが、実在する取引を偽った場合、それを検出することは困難です。

 

従って、ブロックチェーン技術を基盤となる評価システムでは、身元確認を必要とするユーザーアカウントを作成することが評価システムのベースになっています。 

 

たとえ、評価者の身元は開示されなくても、一度主観的不正情報を提供すると、過去の評価履歴を隠すため新しいアカウントを作成することはできません。

 

4. 将来の展望

 

サイバー世界における人々の交流は匿名性に守られ、また匿名性によって特徴づけられています。

 

しかしながら、サイバー世界において、馴染みのない商品や知らない販売業者と関りを持つことはリスクが伴います。

 

評価システムは、経済的社会資本に基づいて築かれ、格付け機関や信用評価サービスのような仲介業者ではなく個々人により成り立っています。

 

もしかしたら、消費者と企業の間の関係もまた変化するかもしれません。見も知らず信用も確立していない他者とのビジネス、つまりトラストレス(信用不要)な取引が実現可能となるのです。

 

これらが秘める大きな影響力は、金融サービスに留まるようなものではありません。弊社開発したWrappyは、事実行動を基にしたトラストレスなコミュニティの形成や、ブロックチェーンによる公平な蓄積されていくことによって、新たなサービスとビジネスを創出することが期待されています。

 

 

 

参考Webサイト(Reference)

 

https://jfin-swufe.springeropen.com/articles/10.1186/s40854-016-0039-4