30キロ地点通過

脚が動かない。

完全に脚が止まった。

前に出そうとしても筋肉が言うことを聞かない。

しばらくその場で屈伸したり脚を伸ばす。

その間にも容赦なく雨は降り続け風が吹きつけ身体を冷やす

寒い…寒すぎる…

そしてまた歩く。

また時折交差点などで強い風が吹く。

そうすると歩いていても筋肉がロックされた感じで脚が止まる。


あと12キロもこんな感じで進んで完走出来るのか?

けどリタイアはしたくない!絶対に!

けど歩いてゴールなんて…


3カ月間の練習は何だったのだろう…

何がサブスリーだ…情けねぇ…




35キロ地点通過

何とかここまで来れた。

しかし一歩も前に脚が出なくなった。

もう身体が言う事を聞かない。

明らかに低体温症だ。

けどリタイヤはしないぞ!

諦めてなるものか!

正に歯を食いしばって雨に打たれながら止まっては一歩、そしてまた一歩ゴールを目指した。

おそらく呻き声も上げていたと思う。

沿道から雨の中応援してくれている沢山の方に励まされた。


頑張れ!


ゴール出来るぞ!


諦めるな!


はるばる札幌からやってきた見ず知らずのオジサンランナーへの暖かい言葉への感謝と滅茶苦茶ツライのと不安と悔しいのと情けないのと色んな感情が一気に込み上げてきてウルっときてしまったが泣くならゴールをしてからだ!


右足を一歩前へ出すんだ!


左足を一歩前へ出すんだ!


呪文の様に自分へ唱えた。

っと突然俺の肩をポンポンっと叩いて走り抜けて行った見ず知らずの黒人男性ランナー。



走り抜けていく後ろ姿からは


頑張れ!頑張れ!


俺にはそう聞こえた。















ブワッ


















泣いてしまった。









情け容赦なく雨が降り注ぐので涙は誰にもバレてはいない。

ベチャベチャのリストバンドで顔を拭くフリをして涙を拭いた。

きっと何人も応援ナビで俺の失速を見ているだろう。

けど応援してくれているに違いない!

必ずゴールしてやる!

棄権なんて絶対しねぇーぞ!

俺は諦めの悪いオジスだ!



40キロ地点通過

ここまで来たらゴールはいけると自分を励ます。

最後の踏ん張りで発見した事がある。

内転筋だけは生きていた。

理由はわからないがとにかく脚を外側に回すような感じで前に出すと止まらずに少しスピード出せる。

でもキロ7くらい。

それでも限界が来ていた俺には今出せる精一杯のスピードである。


やっと石畳みへきた。

フォームはダサダサ。

ラストスパートなんてかけられない。

それでも良いよ!

諦めなくて良かった!

気持ち1つでここまできたぞ!

俺は札幌に帰れるんだ!

恐らく鬼の形相で最後の力を振り絞ってゴール!


タイム

グロス4時間00分12秒

ネット3時間59分35秒


俺は諦めずにやりきったぞ!涙