10キロ通過

電光掲示板から計算してみたらキロ420ペースだった。

うーん…少し速いか…

ハムストの違和感もあるし少しペースを落とそうか。


っと少しペースを落として走っていた。


12キロ通過。

左脚ハムストの違和感があった場所が少し横に広がった気がした。


それでも気のせい!気のせい!っと思って走っていたら突然ピキッ!っとハムストに電流のようなのがはしった。


ヤベー!!!ハムストが切れてしまった!


失速…


一瞬棄権するかどうか頭をよぎったが、まだ諦めないでやれる事をやってみよう。


左脚ハムストは痛いのだが、脚を曲げないようにして着地のみ。

右脚は強く地面を蹴って前へ進む。

言わば右脚だけで走っているようなもの。

これだとペースが遅いが走れなくはない。



まだ俺の東京マラソンは終わっちゃいない!



けど果たして右脚だけで残り30キロを走りきれるのだろうか?

その不安をかき消すように着地だけに集中して走り続けた。


15キロ通過。

ペースはそこまで落ちていないような…落ちたような…


というのもいつもとフォームが違うのでどれだけのペースで走っているのかの感覚が全くわからない。


とにかく痛みを最小限に抑えて走り続ける事にした。

電光掲示板からタイムを見ても悪くはないな。

この調子ならイケル!



20キロ通過。

サブスリー達成だの世界記録更新だの口だけなら誰でも出来る。

しかし実際にはそう簡単なものではない。


右脚だけでペースを落とさずゴールする。

実際にはそんな事が出来る訳がないのである。


とうとう右脚の付け根が痛み出した。

因みに過去のそんな所が痛くなった事はない。

それでも根性みせてやる!

俺は諦めの悪いオジスだ!



25キロ通過

もう限界だった。

左脚ハムストの痛みは少し引いていたが、やはり路面を蹴る事は出来ない。

そしてとうとう右脚の付け根が痛くて痛くてこっちも強く蹴れなくなってしまった…


もうここまできたらタイムはどうでもよい。

こうなったらキロ6くらいまで落としてでもゴールして帰ろう。


そしてスピードを落としてみたが更なる落とし穴が…


寒い!寒すぎる!

ランシャツ1枚。

アームスリーブは付けているがゲイターは付けていない。

帽子も被っていない。

手袋がないので手が冷たく動かす事もままならない。

途中ゾンビパウダーを1つ落とす始末。

チクショー!なんで手袋捨ててしまったんだ!

リストバンドはベチャベチャで冷たいタオルを巻いているだけ状態だが少しでも手を暖めたくて手首から手の甲にズラした。

そして考えて考えて少しでも手を温める為に思いついたのが、また汚い話だが…ひたすら手の甲を舐めたのである。

そうすれば手が温まる。

生きる為ならこんな事くらい余裕でやる。


しかし…


とうとう脚が止まった。


続く