山のあなたの空遠く
「幸い」住むと人の言ふ
噫 われ人と尋めゆきて
涙さしぐみかへり来ぬ
山のあなたになほ遠く
「幸い」住むと人の言ふ
ドイツ人、カールブッセ(Carl Busse) の詩、「山のあなた(Über den Bergen)」です。
短いですが、日本では、この上田 敏の訳文によって、広く知られるところとなりました。七五調の名訳です。
因みに、これは、上田の西欧訳詩集「海潮音」の中の一編。知りませんでした。
じゃ、英国では?と思って、ちょっと調べてみましたところ、知られている様子がまるでないんです。詩と言うものが、よく親しまれている英国にしてです。
ブッセのドイツでどうだったかは、知りません。
詩作の盛んな英国で、この「山のあなた」がそんなに知られていないと思われるのは、こう言うことではないでしょうか。
英国には、山がない。しかし、ドイツにも日本にも、山はある。
だから、英国人、この詩を読んでも、胸に訴えるものがないんです。
なるほど、そう言われてみれば、英国には山がありませんね(あるとすれば、スコットランド、または、ウェールズに)。
ところで、このブッセの詩と、言っていることが、ほぼ同じと言うものがあるんです。
メーテルリンク(Maurice Maeterlinck) の「青い鳥( L’oiseau bleu)」です。
これは、子供向きに書かれた童話で、日本の皆さんもご存知かと思います。例のチルチル、ミチルの話ですよ。
作者はフランス語圏のベルギー人です。これも、知りませんでした。
この4月、アイルランドに行って来ます。アイルランドにも、山はありません。