身体もダルいが頭も回らず・其の弐 | weblog -α-

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なんとな~く  思いつきで  好き勝手に  (=゚ρ゚=) ボヘー  っとやってます。


パンデミック・アメリカ
パンデミック・アメリカ
原題:COVERT ONE: THE HADES FACTOR
製作国:2009年 アメリカ
監督:ミック・ジャクソン
評価: 4点 (10点満点)

『ボーン・アイデンティティ』 で知られるジェイソン・ボーンシリーズのロバート・ラドラム原作によるテレビ映画。
監督は、『ボディガード』 で知られるミック・ジャクソン
正直、洋モノのクライムサスペンス系の本は読まないんで全く無知なんだけど、ロバート・ラドラムって人はアクション系の作家として有名だそうで、この作品もやはりそういう感じ。



アメリカ各地で突如、エボラ出血熱に似た症状で死亡する人々が現れ始めた。
政府直轄の秘密組織 『カヴァート・ワン』 の優秀なメンバーだった過去を持ち、現在は陸軍伝染病研究所の主任研究員であるジョン・スミスは、世界保健会議に参加する為、同僚で恋人のソフィーと共にベルリンを訪れていた。
その頃、同じベルリンでカヴァート・ワンによる 『回収作戦』 が大詰めを迎えていた。
ジョンの元恋人で、カヴァート・ワンの現役メンバーであるレイチェルは、作戦の目的である 『ウィルスの回収』 を済ませたが、迎えの車内で異変を感じ、ウィルスを持ったまま消息を絶ってしまう。
ソフィーと共に早々と会議後のパーティーを抜け出したジョンは、乗り込んだ車内で、かつて爆発事故により死んだはずの同僚・グリフィンを名乗る男に待ち伏せされる。
レイチェルが裏切り者として追われる身となった事を告げたグリフィンは、レイチェルがきっとジョンに接触して来るだろうと言い、警告を残して立ち去った。
翌朝、上層部からの緊急連絡を受けたジョンとソフィーは、直ちにアメリカへ帰国し、謎の出血病を調査する事になるのだが・・・。


という訳で、アメリカがバイオテロの脅威に曝され、首謀者を探し出すタイプのお約束パターンな話です。
っていうか、ほとんど 『24 -TWENTY FOUR-』 ですw
ジャック・バウアーがジョン・スミスになっただけって考えれば、話の大筋はほぼ見えると思いますw

このTV映画作品は、お約束的にシリーズ化を狙って作られたみたいなので、この一作目もかなり謎を残しつつ、尻切れな感じに終わってます。
結局、シリーズ化はされていないって事で、あえて出し惜しみした部分が仇となり、中途半端な話にしかなってません。
まぁ、そうは言っても前・後編合わせて3時間の長尺なので、それなりにドラマとしては楽しめます。
要するに、経緯の部分だけ作り込んで結末は後回しにされてる作品だから、単なるアクションドラマとしてなら充分なんじゃないかなと。
ってか、そもそも原作も二作目まで書いて作者が死んじゃってるので、ドラマの続編が作られてたとしても次で打ち止めって事になってたという。



アメリカのドラマだけに金掛けてちゃんと作ってはいるんだけど、いかんせん展開に新鮮味が無さ過ぎて、洋モノの水戸黄門観せられてる感じになったw
かな~りベタな内容だし、キャスティングも誰が悪者って解り易いし、あんまり細かい部分を詰めて作られてる訳でもないもんで、ボケ~っと眺めてても話は解るんじゃないかね、多分。
終盤の辺りとか雑すぎるほど雑に終わらせてるんだけど、「リアリティとかどうでも良くなっちゃった感じです?」 ってツッコミたくなる。
モノがモノでウィルス兵器の話なのにね、感染拡大を極力阻止しよう的な動きを全然しないんだよ、主人公w
「え? ウィルスもう広まっちゃった? じゃあ仕方無いか!」 みたいなさw、それぐらいあっさりした感じでアクションの方に重点置いちゃってるもんだから、画的には悪くないけど、話として段々ウンコ臭漂って来るんだよねw
だから続編も作られなかったんじゃないの?っていう。

あと、主人公の名前がジョン・スミスはダメだろ
山田太郎みたいなもんだからね、向こうの。
名前ぐらい捻ったって別に構わないってのに、なんでわざわざ冗談みたいな名前にしたんだか。
秘密組織に属してたから偽名を使い続けてるって事なんだと思うんだけどもね、それにしたって解り易くしすぎ
逆に目立つし怪しいもんな、ジョン・スミスはw

さて、あんまり良い事を書いてないんでアレなんだけど、基本的には面白いんだよ、フツーに。
でもほら、フツーじゃダメじゃない?
腐るほどこの手の話ってある訳だしさ、捻らないとダメじゃん、やっぱり。
それこそ、ジャック・バウアーで事足りちゃうんだもん、テロに立ち向かう一匹狼的なヒーロードラマなんか。
一応、良い点を挙げるとするならば、3時間の長尺を飽きずに観せる事よね。
それぐらいしか思いつかないw
とにかくベタ過ぎるんだな、結局。



大脱出
大脱出
原題:Escape Plan
製作国:2013年 アメリカ
監督:ミカエル・ハフストローム
評価: 3点 (10点満点)

シルヴェスター・スタローンアーノルド・シュワルツェネッガー二大アクションスター共演による、刑務所脱出劇のミステリーアクション作品。

80年代辺りのハリウッドアクション映画を観て育った世代なら、スタローンとシュワちゃんが共演するってだけで充分にキャッチーなんだけども、この良くも悪くも老けて貫禄を漂わせる二人だからこそのシブさってのがあって良い。
どっちもアクションスターとして名声を得たものの、キャラクター的に作品に選ばれまくって迷走してた時期が長く、一周回ってようやくアクション作品に帰って来た経緯がある。
あくまで肉体派で、決して演技面を高く評価されてる俳優ではないけれども、やっぱりこの二人がアクション映画に出て来ると画面栄えするなぁとしみじみ。



レイ・ブレスリンは、刑務所のセキュリティがいかに厳重かをチェックする専門家。
依頼を受けると、偽の名義で囚人として自ら収監され、刑務所内のあらゆる情報を集めては実際に脱獄をし、強化や改善が必要な部分をアドバイスする事を生業としている。
ある日、15ヶ所目の脱獄を成功させたばかりの彼の元に、CIAを名乗る女性から新たな依頼が持ち掛けられた。
民間企業がテスト運営をしている非公表の刑務所が存在しているのだが、政府が正式採用すべきかどうかの判断の為、レイに脱獄を試みて欲しいとの依頼だった。
ただ、レイ達に対しても刑務所の場所は明かせないという問題があり、仲間達はリスキーだと慎重になったものの、破格の報酬とプロ意識でレイは依頼を引き受けるのだが・・・。


という訳で、この作品でまず評価すべきところは、単純なアクション作品ではなく、ミステリーの要素をしっかり取り入れた点。
レイが脱獄のプロだという奇抜な設定を冒頭でちゃんと見せつつ、そのプロが場所も解らない超厳重な刑務所に囚われ、本当の囚人と全く同じ立場で脱獄をしなくてはならない状況に置かれる。
万が一の為の避難コードも効かなければ、そもそも内部協力者だったはずの所長すら別人。
「聞いてないよ!!」 というダチョウ倶楽部的な展開で完全孤立させたところで、シュワちゃん演ずる囚人、エミル・ロットマイヤーの登場。
やがて真相を話し、エミルの協力を得て脱獄プランを進めて行くレイ。
まぁ、大筋はレイが脱獄の段取りを進めてく脱獄劇だけど、レイがハメられて囚われの身になってるから面白いんであって、その謎の部分が無かったら結構退屈な映画になってた気がする。

まぁ、ハリウッド作品なんで、お約束的に悪い部分もたっぷりあります。
まずは囚人達があまりにも大人しい点
極悪人ばっかり集められてる秘密の刑務所だってわりに、騒動は少ないし、囚人達も素直に従い過ぎ
レイとエミルにスポットを当てたいのは解るけど、設定が設定なんだからもうちょっと荒れてる感じにしないと説得力無いよな~と。
恐らく、最厳重で逆らうと半殺しにされるから大人しくしてるって事なんだろうけど、そんな場所だったとしても、極悪人なんてのは常に反抗的な態度で居るもんだと思うんだよね。

あと、エミルがやたら協力的だったりする理由は後に解るから良いとして、他の囚人から一目置かれてる感じはもっと出すべきだった気がする。
囚人達の派閥のボス的な存在っぽい描き方はされてたけど、その根拠を示す様なシーンがほとんど無いのね。
登場早々から単にフレンドリーな人っぽく見えちゃうから、大物感はもっと必要だった気がする。

ボックスと呼ばれてる狭い懲罰房もさ、物凄く中途半端というか、効果的なのかどうかが解り辛いし、その床開けたらご丁寧にハシゴまであるのはダメでしょ
換気口って説明されてたけど、どう見ても換気口じゃないしねぇw

で、クライマックスはいかにもハリウッドなお約束パターンで、完全に漫画。
それが悪いとは言わないけどもさ、最後に物凄く手抜きされてる感じしちゃうよね、どうしても。
それに、全体を爆破する訳にもいかないからって規模小さすぎる爆破だし。
とりあえずオチ前に邪魔なもん片付けました的なね、そういう雑さはあんまり褒められたもんではないなと。



総体的には、やっぱり二大スター共演って部分だけの魅力なのかな~。
だからって、二人が同時に派手な銃撃シーンやってる訳でもないしね。
まぁ、中盤ぐらいまではわりと面白い方だと思ったんだけど、尻つぼみ感は否めない。
こんなんだったら、『エクスペンダブルズ』 だけ観れば充分だって気がしないでもない。



ラストスタンド
ラストスタンド
原題:emergo
製作国:2013年 アメリカ
監督:キム・ジウン
評価: 3点 (10点満点)

州知事職を終えたアーノルド・シュワルツェネッガー主演復帰作
西部劇のパロディ要素やコメディの要素も取り入れたアクション作品。



元LA市警の敏腕刑事だったレイ・オーウェンズは、アメリカとメキシコの国境付近にある田舎町・ソマートンで、保安官として静かに暮らしていた。
ある日、凶悪犯のコルテスを移送する事になったFBIは、厳戒態勢で事に及んでいたのだが、コルテスの手下グループ襲撃によってコルテス逃走を許してしまう
数日前にモーターショー会場から盗まれた最新鋭の1000馬力コルベットで逃走するコルテスは、メキシコを目指し南下していた。
FBIからコルテスの情報を聞かされたレイは、ダイナーで見かけた余所者のトラック運転手や、町の農場主が死体で見つかった件がコルテス逃亡に関係していると睨んだのだが・・・。


という訳で、設定としては勧善懲悪な解り易い話で、現代劇でありながらもマカロニ・ウエスタンを強く意識した仕上がりになってる。
町へ送られたSWAT部隊が呆気なく悪者に一掃されるとか、圧倒的不利な状況下で大勢の敵を相手にするとか、仲間の若いのが犠牲になるとか、だだっ広い畑の中を2台の高級車で走り回るとか、往年の西部劇を知ってれば全部がパロディになってるとすぐ気付くはず。
そういう意味ではよく出来てると思うんだけど、物語としてもまんまパロディでしかないもんで、「だったら西部劇観れば良いんじゃね?」 っていう事になってしまう。
なんかね、一捻りぐらいはしとかないとダメよね、今時の映画なんだから。



個人的にマカロニ・ウエスタンは好きなんで退屈こそしなかったけど、FBIのシーンはちょっと無駄が多すぎた気がする。
まぁ、FBIのチーフ役が 『バード』 チャーリー・パーカーを演じたフォレスト・ウィテカーって事で、それなりに出番は与えたかったのかもだけど、結果的にFBIは何もしてないんで、あれほど登場シーンが必要だったとは到底思えない
まぁ、シナリオが単純なんで、そうでもしなきゃ尺が稼げなかった臭いけど。

コメディ要素として、レイの相棒のフィギーとか変人武器コレクターのルイスなんかは、キャラが立ってるだけにもっと使っても良かった気がする。
町民の婆さんだったり、ダイナーの常連客だったり、アメリカ的なベタな笑いも個人的に凄く好き。
そんな笑いどころが結構ありつつも、銃撃シーンなんかは意外とグロくて、ファミリー層を狙ってそうな作品なのに、わりと血みどろ
ホラー好きな俺みたいなのは全然平気だけど、一般ウケって部分では刺激強すぎなんじゃないのかと無駄に心配してみたり。
いや、痛い場面は明確に痛そうに作るべきだと思ってるけどね。

クライマックスの決闘シーンはイマイチ。
なんか盛り上がりに欠けたし、やっぱり捻りが無さ過ぎた。
ってか、ナイフで太股刺されてんのに自分で抜いたらダメだろ・・・っていう。
フツーに出血多量で死にかねんからね。

総体的には、西部劇のパロディ作品としてそこそこ面白かった感じ。
ハリウッド的ではあったし、ドンパチもそれなりにあったけど、全体として中途半端かな。
シュワちゃん復帰作って事で、もっとハチャメチャなアクションを期待する人が多かったからこそ、蓋開けてみたら結構な低評価になっちゃったんだろうな~と。
要は、シュワちゃんのアクション映画って、ド派手じゃないと許して貰えないんだろうね。



テルマエ・ロマエⅡ
テルマエ・ロマエⅡ
製作国:2014年 日本
監督:武内英樹
評価: 8点 (10点満点)

阿部 寛主演による、漫画原作のコメディ作品。

古代ローマ帝国のテルマエ技師・ルシウスは、革新的なテルマエを次々と作り出して名声を馳せた
しかし、そのアイデアは、何故かタイムスリップして訪れた現代日本の技術を模倣したもので、ルシウス自身がゼロから作り出したものではなかった。
かくして皇帝ハドリアヌスからも腕を認められたルシウスであったが、新たなテルマエを作り出す事に相変わらず頭を悩ませる日々であった。
そしてまた、謎のタイムスリップによって現代日本を訪れたルシウスは、再び 『平たい顔族』 のテルマエに刺激を受け、更に革新的なテルマエを作り出すのだが・・・。


という訳で、物語の流れは前作とほぼ同じ
ただ、前作以上にコメディ要素が濃くなって、振り切ってる感すらある場面も。
それが良いか悪いかは好みが分かれるところだけど、漫画原作だという事を踏まえれば、特に悪いって事もないんだろうなと。



今作もヒロインで現代日本人役の上戸 彩をはじめ、市村正親北村一輝宍戸 開といった濃い顔の日本人がローマ人として登場する。
そもそも、このキャスティングからしてコメディな訳だ。

物語的にはホントに前作と同じ流れで、ルシウスが現代日本に来てカルチャーショックを受けまくり、古代ローマに戻ってそのアイデアをなぞる・・・というだけなんだけど、同じ事をやっててもそれなりに可笑しいのは、いわゆるコント的なお約束を踏襲してるからなんだろう。
多くのホラー映画がそうである様に、「ここで出るぞ、出るぞ・・・」 と観客にネタ振りを解り易く見せてやれば、予想通りの展開になっても充分に客は楽しめる訳だ。
この作品で言えば、ルシウスが日本の技術を見た時、瞬時にリアクションさせるのではなく、一旦 「これは何だ・・・?」 と怪訝な表情を浮かべる様をあえて見せ、それから大袈裟なリアクションで驚くという展開になっている。
まさに漫画の技法である 『瞬間の拡大化』 というやつで、現実には一瞬でしかない思考の時間を、あえて間延びさせる事で説明や解釈に充てている訳だ。
勿論、それは本来なら漫画の手法な訳だが、それを実写映画でも同じ様にする事で漫画的な見せ方にしている。
映像の世界では、むしろ間を切り詰めてテンポ感を出したり、逆に無言の間を作り出して空気感を演出するのが定石なので、そういった漫画手法はある意味で斬新で、ある意味でズルくもある
漫画の実写化という意味では何も間違っちゃいない訳だが、それが果たして純粋に映画と言えるのかどうか、些か疑問は残る。



見せ方の問題はさて置き、総体的には前作と同じ様に楽しめた
今回はルシウスを絡めた大筋の部分以外でも結構な数の小ネタが仕込まれてて、ほとんどバカ映画寄りになってる気がする。
そこが個人的には良いと思ったけども、やり過ぎって評価は当然あるだろう。
しかし、あの温泉に熊が入ってるカットからの松島トモ子面白すぎるわw
「咬まれるだろ!絶対咬まれるだろ!!w」 って思ったら案の定だしw
つーか、テロップがまたいやらしいぐらいに拍車かけるしさw
俺はそこが笑いのピークになっちゃったもんで、その後はそれほど可笑しく感じなかったけど、全体に万遍なくギャグ要素は入ってたね。

前作同様、脇役の面々もかなり個性的だったり、インパクトがあって良かった。
特に、前作から引き続き出演となる いか八朗 さんと 菅 登未男 さんは、本筋とは全く関係無いけど、スパイスとして欠かせないキャラクター
いか八朗氏は80歳、菅 登未男氏は83歳という事で、「老いそのものが面白い」 という点で言えば、真剣に笑いと向き合う人にとってはバカに出来ない存在だと思う。
ちなみに、いか八郎氏は炭焼き小屋の老人・三郎役、菅氏は指圧師の浪越徳三郎役という事で、両者共に前作と違う配役なんだけど、そんなの気にする人なんて居ないでしょう
いか八朗氏の演技がほぼアドリブ(2行以上のセリフを覚えられないらしい)ってのも凄いけど、ガキ使ピカデリー梅田としても知られる菅氏の 『浪越徳三郎をやり切ってる感』 も凄い。
浪越徳三郎という名前から解る様に、あの浪越徳治郎完全パロディな訳ですよ。
マリリン・モンローを施術した自慢をしつつ、あからさまにスケベだった指圧師の浪越徳治郎・・・若い子はまず知らないだろうけど、全盛期のテリー伊東老人いじり企画でよくターゲットに使ってたんだよねぇ。
あ~、いか八朗氏の与作破壊力ありまくりだったなぁw
まぁ、そんな老人二人の名演技・・・というか、ありのままをですねw、「なんか、生きてるってすげぇな」 と感じたりしつつ観てると、ほんのちょっとだけ元気が出ます、多分。



さて、総評としては、単純に笑えるし面白い
物語が面白いかどうかは余り重要じゃない作品だと思うんで、単純に笑えたらそれで成立するんじゃないかと思う。
漫画の世界観をここまでそのまんま漫画的に持ち出されちゃったら、リアリティ云々なんて言うアホは居ないだろうし、娯楽作品として娯楽要素は充分に詰まってる訳だから、そこでガタガタとダメ出しするもんでもないんだろう。
前述した様に 「映画としてどうなのか」 みたいな部分はあるにしても、それは映画マニアが映画愛を前提として語るべきもんだろうからね、ほとんどの人達には関係無いよね。
そういった事を全部踏まえつつ、比較的高評価にしときます。
但し、2点分ぐらいは松島トモ子のシーンに対してだけどねw



サイレント・ハウス
サイレント・ハウス
原題:Silent House
製作国:2011年 アメリカ
監督:クリス・ケンティス/ローラ・ラウ
評価: 3点 (10点満点)

1940年代に起きた実話を基にしたウルグアイのホラー作品、 『SHOT/ショット』 ハリウッドリメイク作品

古く荒れ果てた別荘を売却する準備の為、サラは父親であるジョンと叔父のピーターと共に、片田舎の湖畔へと訪れていた。
幼少期の一時期を過ごしたはずの別荘だったが、サラにはその頃の記憶があまり無い
長らく放置していた別荘は不法侵入などによって荒らされ、破壊し尽くされた窓はもれなく板で塞いだのだが、電気配線も激しく損傷しており、別荘内はロウソクやランタンで照らされただけの、薄暗く不気味な雰囲気を醸し出していた。
そんな折、サラは別荘内で不気味な物音に気付いて恐怖を感じ始める。


という訳で、物語としてはとてもベタです。
オチも含めて斬新さは全く無いと言っても良いレベルなんだけど、それでも約90分をさほど退屈せず観てしまえるのは、この作品の最大の特徴とも言えるシームレスな撮影方法の妙。
つまり、カット割りの無いワンショット撮影ってやつです。
これは面白いと言うよりも、「大変だな~」 という印象の方が強かったな、個人的には。
まぁ、いずれにしても、シームレスだからこそ、ベタな物語でも観る側に目を逸らさせない演出が出来てるんだと思う。

さて、シームレス撮影の他に魅力を挙げるとすれば、それはヒロインのサラを演じたエリザベス・オルセン肉感的な魅力
人気ドラマである 『フルハウス』 で名を馳せた双子女優、オルセン姉妹の妹だそうで、姉達が女優業を引退するのと入れ違う様に女優デビューし、最近ではハリウッド版の 『ゴジラ』 などにも出演してるそうな。

肉感的と言っても、ありがちなホラー作品の様に濡れ場やシャワーシーン等は無いんだが、衣装がやたら胸を強調した服なので、とにかく胸に目が行く
まぁ、その辺りは狙いも大いにあると思うが、あまりにも胸のインパクトが強すぎて顔の印象が薄まるのはどうなんだろうw
いや、そうは言っても演技自体は下手じゃないし、むしろ声を抑えて泣く場面なんかは、演出ありきだとしても上手いもんだと思う。



とにかくベタで複雑な話でもないもんで、総評としても高評価はとても出せないが、決して悪いとか酷いって事でもないし、むしろ退屈な駄作になりがちなネタを、ここまで観せられる様に仕上げたのは凄いもんだと思う。
ただ、どうしでもベタ過ぎて、パンチが弱い
もう一つ二つアクセントがあればもっと良くなった気はするけど、それが難しいぐらいのベタなのかも。



キョンシー
キョンシー
原題:Rigor Mortis
製作国:2013年 香港
監督:ジュノ・マック
評価: 4点 (10点満点)

往年の香港人気ホラーシリーズ、『霊幻道士』 リブート作品
本家がコメディ要素の強い作品だったのに対し、こちらは正統派アクションホラーとしての仕上がり。

さて、まず触れるべきはオリジナルのキョンシー映画ですわな。
1985年公開の香港映画 『霊幻道士』 をきっかけにキョンシー映画が大ブームとなった訳ですが、キョンシーってのは中国におけるゾンビの様な妖怪の類です。
霊幻道士シリーズの亜流作品としては、ヒロインであるテンテンの人気振りから日本ではオリジナルドラマまで作られたのが 『幽幻道士』 シリーズ。
こちらは台湾の作品で、結果的に子供向け作品といった印象。
今作のキョンシーは、幽幻道士ではなくあくまで霊幻道士のリブート作品なので、その点は紛らわしいけど間違えない様に。

監督のジュノ・マックは、俳優や歌手として有名だそうで、この作品が監督デビュー作との事。
それにしては良い出来過ぎないか?・・・と思ったら、ここでも黒幕に清水 崇の名前がw
プロデュース業で節操無く荒稼ぎしまくりですね、清水 崇
まぁとにかく、諸々を踏まえると半ば清水作品と考えて良いと思います・・・内容的にもそんな感じだし。



かつて売れっ子だった落ち目の俳優は、人生に疲れ果て、自らの死に場所にとある古びたアパートの一室、2442室を選んだ。
2442室は事故物件で、長い間空き室となっている 『曰く付きの部屋』 だったが、男はあえてその場所を選んだのだった。
思い出の品物を部屋に並べると、男は用意していたロープで首を吊った。
息苦しさでもがく最中、床から何かが現れ、男の目の前へと静かに迫る・・・。


という訳で、序盤からいかにもなJホラームード出しまくりの上、「なんでわざわざそんな死に場所選んだの?」 っていう結構な疑問が出ちゃうんですが、その謎は結局解明されません
とにかく必然的にその場所を選んだって事らしいです、多分。
んで、和製ホラーの有名どころを観てる人ならすぐ気付く事だけど、舞台の古びたアパートって、ほとんど 『仄暗い水の底から』 の雰囲気そのまま。
途中、双子姉妹の霊が手繋いで廊下に並んで立ってるのは、どう見たって 『シャイニング』 のあの双子。
ってな感じで、色々と他のホラー作品へのオマージュが見受けられますが、恐らくその辺りは監督の要望でしょうな。
「これこれこんな感じのシーン挿れたいんだけど」 って監督が言って、「じゃあこうしようか」 みたいに清水 崇が具体的な指示出す感じで作られたんじゃないかな、多分。
まぁ、とにかく基本的なホラー要素の部分は、まんま清水 崇ワールドです。



霊幻道士のリブート作品って看板掲げてるトコ見ると、続編も考えつつの今作だったんだろうけど、物語的には続ける感じでもないっていう・・・。
リブートってより、リスペクト込めた新作の霊幻道士って捉え方をしました、俺は。
主演含め、オリジナル版のキャストも結構出てたそうで、確かにあちらの作品をほとんど観ない俺でも、そこそこ知ってる顔がありました。
んで、物語の重要人物となる世話好きおばさんのムイを演じるパウ・ヘイチンという女優さん、この人の演技は劇中でズバ抜けて良かった
他のキャストも年長者が多いせいか概ね良くて、香港映画の大袈裟なイメージはほぼ皆無。
正直、霊幻道士の焼き直しって事で全く期待してなかったんだけど、世界観とか演出、演技については予想を遥かに上回って優秀でした。
下手な和製ホラーよりもちゃんとしてるのは、恐らく研究熱心で映画愛がある人達が制作陣に多いって事なんでしょうな・・・見習え、日本の映画関係者

コメディではないキョンシー映画って触れ込みがそもそも悪いのかも知れないけど、この作品はこの作品で充分良く出来てると思いましたよ、俺は。
物語的な部分がちょっと解り辛い点と、舞台も登場人物も極端にキャラが立ち過ぎてる点は微妙なところかな。
まぁ、結局オチがオチなだけに、それらも全部アリにしちゃってるんだけどね。

そうなんですよ、この作品はオチがアレなんですよ。
今時というか、今更というか、そこそこちゃんと作っといて~のの・・・夢オチ的な。
正確には走馬灯だか幻想だかって事なんだけど、それやったら何でもアリですわな、そりゃw
落とし所としては最低っちゃ最低だし、最後の最後で一気に尻つぼみさせちゃうのは勿体無いと思うよね、フツーに。

オリジナルの霊幻道士はちょうど俺ら世代のヒット作で、子供の頃にそういうのを観て育った世代にとって、この作品は純粋にキョンシー映画愛を感じさせる一作だと思う。
キャスト云々は勿論なんだけど、キョンシー映画の繁栄と衰退を、登場人物達の状況とシンクロさせてたりする辺り、実に愛がある。
んで、霊幻道士といえば香港映画ならではのカンフーアクションも見どころだったけど、その辺りも今作はしっかり押さえてて、コメディ以外の要素に関してはちゃんとしてると思う。
まぁ、コメディとしての印象が強いシリーズでもあったから、この作品みたいにシリアス一辺倒で作れば不満の声も当然出るだろうけど、今更あのムードのキョンシー映画なんか作る方がアホだろって話よねw



ラストで落ち目俳優の主人公チン・シウホウっていう名前だって解ったんだけど、演じてるのもまさに本人のチン・シウホウなんですね、これ。
オリジナルの霊幻道士に出てた俳優で、劇中で語られる妻子とどうのはフィクションにしても、実際に栄光と挫折みたいなのがあった訳で、落ち目俳優として自殺しようとするなんてのは、なかなかのブラックユーモア・・・日本人には一番通じないんだけどね、ブラック。
で、エンドロールの最初で名前が挙げられるラム・チェンインリッキー・ホイの二人も、オリジナルの霊幻道士の演者。
ちなみに、リッキー・ホイは 『Mr.Boo!』 で知られるマイケル・ホイの弟だとか。
そんな訳で、いちいちキョンシー愛が詰まってる事を感じさせる作品で、オチ以外はそれほど悪くない出来だと思う。
まぁ、キョンシー自体よりも双子姉妹の怨霊が怖いって話なんだけどねw




※ 2016年02月 加筆・修正 及び、再編集の都合による記事分割