え~、悪の経典のレビューが下書き途中で頓挫しました。
ボツです、ボツ。
またダラダラと長いの書いといてボツにしました。
気が向いたらアレすると思うけど、多分アレしないと思う。
さて、アレってどれでしょう。
ハィ。
そんな訳で、全く別の作品のレビューでーす。
タイトルは、 『ゾンビ革命 フアン・オブ・ザ・デッド』 です。
なんて素敵なC級タイトル!w
どう見てもクソくだらない駄作ゾンビモノにしか思えないね!w
と ・ こ ・ ろ ・ が・・・
意外にも声出して笑える秀逸なゾンビコメディーだったよ!
つー事で、ゾンビ映画好きならこれは一度ぐらい観とくべき作品です。
うん。 二度三度は観なくて良いと思うけどね!
例によって、ネタバレ上等のレビューなのであしからず。
さて、まずはタイトルのフアン・オブ・ザ・デッド。
オブ・ザ・デッドはともかく、フアンってなんだよって話だよね。
え? 不安? 不安抱えたゾンビなの?・・・って、違うよ!
このフアンは、主人公のおっさんの名前です。
そうです、これはフアンおじさんがゾンビと戯れるお話なんですねぇ。
プータローダメおやじのフアンと親友のラサロ、いつもの様に即席イカダで海原を漂っていると、釣り竿に当たりが来る。
どんな大物かと釣り寄せてみると・・・プカリと浮かび上がる水死体。
「・・・死んでるのか?」 なんて言わずもがなの問い掛けも束の間、どっからどう見ても水死体なそいつが突然動き出して腐りかけた顔を二人に向ける。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
慌てて撃った水中銃で撃退。
ホッとするも二人は唖然。
・・・と、フアンが一言。
「今のは誰にも言うなよ?」
と、そんな感じで始まるこの映画、なんと、初のキューバ産ゾンビ映画!
キューバ産と言えば葉巻だけだと思ってたのに!
親父にもぶたれた事ないのに!!!(無関係)
いえ、この作品のおやじ共はぶん殴りまくります。
それはもう、殴る蹴るです。
キューバ映画という事で、当然ながら舞台もキューバです。
よく解らないけど、なんだか下町っぽい雰囲気の雑多な町と人々。
なんせキューバですからね、あらゆる点でどの程度が普通なのかが解らない。
雑多で小汚い感じだけど、それが一般的なのか一部のエリアに限った事なのかも解らない。
とりあえず、キューバと言えば、ゲバラとカストロ議長、そして革命の印象ぐらい。
だからこそ解らない。
「この雰囲気とか町並みとか人々とか、どの程度のもんなの?」 という率直な戸惑い。
そんな風に戸惑ってる内に物語は進みます。
一応、中盤に差し掛かる頃には解ると思うんだけど、この作品は総体的にコメディーゾンビ映画。
いわゆるパロディーとは違って、随所でゾンビと無関係な笑いどころがあります。
多分、ゾンビ要素よりもコメディー要素の方か濃い。
まぁ、言った様に、キューバのお国柄がサッパリなんで、どこまで本気でどっからジョークなのかが最初は不透明なんだけどもね。
次第にゾンビ化が蔓延して行くものの、そこは革命の国。
反体制派の仕業だ!アメリカの陰謀だ! と、メディアは政治的な現象を訴えるものの、町の様子を見れば政治と無関係な事は明らか。
そんなこんなで次第に状況は悪化の一途を辿って行く訳です。
あ、そうそう。
フアンおじさんの住むアパートでも異変が起き始めます。
階下の住人である老婦人から呼び出されたフアンがお宅訪問してみると、「大変なのよ。 あの人ったら死んじゃったみたいなの。」 と老婦人。
部屋の奥には椅子に座ってピクリともしない老婦人の亭主の姿。
「・・・いつも通りじゃね?」 なんてブラックユーモアも挟みつつ、フアンが確認してみると確かに死んでいるご老人。
「ざまぁみろ、クソジジィ。」 とフアンが死体の耳元で囁くと、「なんだと?!」 とばかりに突然動き出す亭主の死体。
「なんだよ! 生きてんのかよ!」 と驚くフアンと老婦人だが、亭主の様子は普通じゃない。
呻きながらフアンを咬みつこうと襲って来る老人を制しつつ、「俺の家に電話! 早く電話するんだ、バァさん!!」 と促すフアンに応えて電話する老婦人。
「もしもし? あのね、今ねぇ、主人が大変なのよ。 フアンが来てくれてねぇ・・・」
早く用件を伝えろーーーーーー!!!って思いながらフアンがジィさんを必死で制していると・・・
「ええ。 そうそう、こないだ可愛い子犬が居てねぇ・・・」
おい、ババァ! なに世間話始めてんだ!!!
っていうw
「おいっ!!!」 っていうツッコミで老婦人も本来の目的を思い出しまして、無事に助っ人のラサロとその息子が部屋に到着。
「え~っと・・・フアン、お前なにやってんだ?」 っていうノリです。
「いいから助けろぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 という訳で、ラサロ親子も一緒になって老人の制止に掛かるんですが・・・これが物凄い馬鹿力。
昨日まで死に掛けだったジィさんとは思えない程の剛力に、ラサロが 「ちょっと待ってろよ」 と持ち出して来たのは、冒頭でも登場した水中銃。
「こいつでもって・・・こうだ!」
ドシュっと発射された水中銃は、襲い掛かる老人の腹部に見事命中。
そして、貫通して・・・その後ろに座っていた老婦人にまで命中・・・。
「ああぁぁぁぁぁぁ!!! ババァまで撃つなや! アホが!!!」
という訳で、老婦人、即死で御座います。
・・・が、亭主の方はへっちゃらでまだ向かって来る。
「・・・吸血鬼?」
「・・・悪霊憑き?」
どうやらこれは死人が動いてるんだとようやく気付いた三人。
木の杭だ! ニンニクだ! と試してみますが、当然効果があるはずも無く・・・。
「あー、もう! なんなんだよ!!!」 と苛立ったフアンが十字架で老人の頭上に一撃。
ようやく老人は倒れてくれたのでありましたとさ。
めでたしめでたし・・・とはなりませんがw
さて、ゾンビ化の蔓延でいよいよ危機的な状況になり始め、続々と国外脱出を図る人々。
ついにラサロもアパートに住む美人ねーちゃんのサラとイカダで脱出を試みますが、すんでのところで追い掛けて来たフアンに説得されてしまうのでありました。
「俺に良い考えがある。 でも、お前無しじゃ無理なんだ。 な? 親友だろ?」
「お前・・・そのセリフは反則だろ。」
という訳で、友情に厚いお国柄なんでしょうが、そんな一言であっさりとラサロは脱出を諦めてしまいます。
・・・っていうか、美人のサラさん、そんな二人の横っちょでサメに食われてますけどw
セクシー美女なサラさんの死には全く触れず、物語は進みます。
なんと、フアンはそんな状況下で起業を思い立ったのでありました。
要は、死人が生き返る社会になると、危険は承知していても身内や知り合いを始末するのは心苦しい人々が沢山出るだろうと。
それなら、そんな心苦しい作業を我々が引き受けようじゃないか!・・・と、そういう発想です。
ザッツ・足元商売!
フアン、ラサロの親友コンビに加え、普段は別れた妻の元で暮らすフアンの娘・カミーラ、ラサロの愚息・ブラディの二人。
そして、フアンとラサロが目下の生業としている窃盗団の仲間、オカマのチナ、チナの彼氏で筋骨隆々の大男・プリモの二人を加えた6人で始めた会社こそ、『フアン殺人代行社』。
キャッチコピーは・・・
愛する人 殺します
まぁ、素敵w
そんな訳で、プータローから起業家へと華麗でもなんでもない転身を遂げたフアン。
仲間達と共にビジネスをこなして行きますが、ゴロツキの彼らがまともに仕事をこなし続けられるはずも無く、依頼主を死なせてしまったり、無駄な被害を出してしまったりと雑な仕事振り。
しかし、状況が状況だけに彼らを咎める者も無く、それなりに順調な足元商売が続いておりました。
と、ある夜、町中で彼らの前に立ち塞がる武装した男達。
原始的な武器しか持たない殺人代行社一行に比べ、男達は銃器を所持。
「お前ら、その場で全員脱げ!」 と武装グループ。
従うしかないかと諦める殺人代行社の面々の中、一人真っ先に脱ぎ出すラサロ。
「・・・お前、少しは躊躇しろよ。」 とフアンの的確なツッコミ。
男達の正体は軍隊だと判明するも、全裸のままトラックの荷台に乗せられ、数珠繋ぎに手錠を掛けさせられるフアン一行。
「我々は、健康な市民を集めている。 武装させ、反体制派への壁とするのだ!」 と、なんともキューバらしい言い分の解説が兵士から入るも、次の瞬間には車内大パニック。
フアン一向と同様に拉致されていた市民の一人が感染していた為、手錠で繋がれた隣の男が犠牲になったのであーる。
「ギャァァァァァァァァァ!!!!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
という絶叫の中、パニクったラサロが、倒れた兵士の拳銃で手錠を壊そうとして大失敗。
運転手を誤射・・・。
ラサロ、またお前かw
というお約束なツッコミも白々しい程になり、コントロールを失ってゴロゴロと横転するトラック。
全裸で転げ回されるフアン一行とゾンビ。
もはやコント以外の何物でもない画ですが、バカバカしくて素晴らしいw
なんとか無事にアパートへと戻れた一行だったものの、フアンとオカマのチナはまだ手錠が繋がれたまま。
「なんとかして外さないとな、こいつ・・・。」 なんて事を言ってる矢先、「なんか・・・気持ち悪い。」 と青白い顔で言い出すチナ。
「あぁぁぁぁぁぁ!! お前、それ、噛まれてんじゃん!!!」
今度はフアンだけ大パニック。
「カミーラ!!! こいつ死ぬ!! こいつもう死ぬからなんとかしろぉぉぉ!!!」 と大絶叫。
まぁ、フアンは主役なんで助かりますが(本末転倒)、チナはこれにてゾンビ転生。
その後、プリモも犠牲になってサヨウナラ。
ってか、プリモの 『怪力なのに血を見ると気絶する』 ってキャラまでは良いとして、だからっていちいち目隠ししてゾンビと戦うとか、バカ設定にも程があるw
ウンコ漏らして臭いから鼻栓するけどケツ拭かない・・・みたいな理屈はどうなのw
さてさて、頭の弱いフアンおじさんも、ようやく潮時というものを感じ取った様です。
こんな場所とはおさらばだ!
・・・いや、遅ぇよw
つっこむまでもなく、国外逃亡しようとした一行の前に立ち塞がるのは、おびただしい数のゾンビ・・・ゾンビ・・・ゾン・・・あ、チナのゾンビも居る!・・・みたいな。
そこに颯爽と現れたのは、一見して強そうな米国人オヤジ。
ゾンビ対策に改造された車で、あっという間にゾンビの群れを退治しちゃいます。
「さぁ、とっとと乗りな!」 とかいかにもなセリフで決めちゃう米国人オヤジに従い、改造車の荷台に飛び乗る御一行。
・・・いや、最後に乗ろうとしたフアンの足にはチナゾンビが縋りつく訳なんですが、それを必要以上に踏み潰して撃退するフアン。
俺は個人的にこのシーンが一番ツボでしたw
さて、米国人オヤジのアジトである地下駐車場へと逃げ込んだ一行。
「んで、アンタ一体何者なんだ?」 と一行が尋ねるも、米国人オヤジは 「あ? 俺は英語しか解んねぇぜ。」 っていう。
仕方無く、若い頃にほんの少しだけ英語をかじったフアンが片言で尋ねると、米国人オヤジの正体が牧師だったと判明。
「へ~・・・で? これからどうすんの? って訊いてみ、フアン。」
「実はな、計画があってな・・・」
とかって今後の新展開を期待させるセリフの途中、米国人オヤジが急に死にます。
え? なんで? って、米国人オヤジの胸に刺さるのは水中銃・・・。
ラサロ、またまたお前かw
「ごめん・・・手が滑って。」 じゃねぇよw
またしてもラサロの大失態でお先真っ暗。
さすがにうんざりして仲間割れでもするのかと思いきや、フアンとラサロの友情は岩よりも硬いのでありました。
さて、仕方無く新たな脱出計画に踏み切る一行。
駐車場内の車を使い、脱出用の改造車を作って逃げるんだ!
・・・という事になりますが、結果的には大した改造車を作ってませんw
そんな事よりも、大失態続きのドアホなラサロおじさんには深刻な悩みがありました。
「・・・フアン、これを見てくれ。」
なんと、サラロの腕には噛み傷の様なものがくっきり。
「おい・・・マジか。」
さすがのフアンも親友の大ピンチに絶句するのでありました。
「俺はあんな風になりたくない。 だから・・・な? 解るだろ?」
「・・・ああ、解った。」
親友の最期の頼みをフアンは受け入れ、「ナイフでサクッとやるか? それとも、オールで一撃の方が?」 とか現実的な質問をぶつけちゃいます。
「あなた、お風呂にする? それとも御飯?」 みたいな感じで。
「最後に何かしたい事はあるか?」 というフアンの問いに、「そうだな・・・もう一度、夜が明けるのを見たいな。」 とラサロ。
そんなロマンチストなキャラじゃねぇだろ、お前・・・っていうツッコミは当然無く、親友の希望を叶えるべく、フアンはラサロと二人で屋上へと上がるのでした。
まだ真っ暗な町並みを隣り合って眺める二人。
しんみりとしたムードに言葉少なの親友コンビ。
「フアン・・・大親友のお前に言いたい事がある。」
「なんだ? 言えよ。」
「・・・お前を愛してる。」
「ああ、俺もだ。 お前は家族だと思っ・・・」
「いや。 そうじゃなくて・・・愛してるんだ。」
「・・・・・・は?」
嗚呼、なんという事でしょう。
この期に及んで、おっさんがおっさんに愛の告白しちゃってます。
しかも、ラサロの顔は大真面目。
そりゃそうだ、もうすぐ死んじゃう身だものね。
「・・・なぁ、フアン。」
「なんだよ・・・。」
「最期に頼みを聞いてくれるか?」
「・・・どんな?」
「しゃぶらせてくれ。」
「んぁあ!? 何言ってんだ、アホ! 夜明け前に殺したろか!!」
「ちょっとでいいんだ。」
「そういう問題じゃねぇだろ!!!」
「俺たち親友だろ?」
親友という言葉にめっぽう弱いフアン。
これには考え込んでしまいます。
やがてスクッと立ち上がると、一気にスボンを下ろすフアン。
「・・・ほら! 好きにしろ!!!」
さて、どうなるのかはあえて書きませんw
気になる人は観て下さいw
いよいよ夜明けが近付き、白々と明けて行く空。
隣り合って座る二人の後姿。
ああ・・・ラサロの首が力無く前に倒れ込んでいる・・・。
フアンは静かにその様子を見つめ、おもむろに立ち上がると、ラサロの望み通り、手にしたオールでラサロの頭をスパーン!!!
「いっっってぇぇぇぇー!!! なにすんだ! くそったれ!!!」
「・・・あれ? 死んだんじゃないのか。」
そうなんです。
ラサロは死んでなどいなかったのでした。
噛まれたと思い込んでた単なる勘違い。
さすが、大失態男。
しでかす事、山の如し。
さて、米国人オヤジが死んで以降の話は一体何だったんだと・・・。
ラサロのから騒ぎと下ネタだけだったじゃねぇかと・・・。
そんな無駄は笑ってしまえばどうでもいい話でして、一行はとうとう国外脱出を実行に移します。
両サイドにドラム缶を連ねた浮きを装着した即席水陸両用車でもって、海上をスイスイと行っちゃいましょう計画。
どう考えても船のエンジン的な動力が無きゃ無謀にしか思えない計画なんですが、なんせ生き残ってる4人が4人ともアホだからOKみたいですw
と、いざ脱出って時に聞こえて来たのは子供の泣き叫ぶ声。
フアンがそれを聞きつけ、単身救出へと向かいます。
「パパやめてよーーー!」 と泣きながら逃げる少年を見つけたフアンは、その 『パパ』 らしきゾンビを超下手クソに撃退して少年を助け出します。
お前、曲がりなりにもゾンビ退治ビジネスやってたんとちゃうのかと。
そんな鈍臭い事でよくも生き延びれたもんだなと。
相変わらずツッコミどころに欠かない訳ですが、無事に子供が助かったんだからOKなんでしょう。
そして、やっとこさの脱出!!!
・・・と思ったら、車に乗ろうとしないフアン。
「俺は・・・いい。」
なんだなんだ、ここに来てカッコつける気なのか、このおっさん・・・と思ったけど、大抵のゾンビ映画だと、この展開は子供を助けた時にでも噛まれたりなんかしちゃってるんだよね。
しかーし!
フアン、別に噛まれてないし。
一人で残る意味無いし。
むしろ、流れ的に一人にすべきはラサロのドアホw
「生き延びるさ・・・俺はフアンだ。」
とか意味不明なカッコつけゼリフで決め、物語は終わるのでした。
うーん・・・ついさっき、たかだか一人のゾンビ相手に苦戦してた奴のセリフとは思えないw
と、こんな感じの映画でした。
ちなみに、ラストはシド・ヴィシャスの唄う My Way と共に、劇画調のイラストが紙芝居の様に映し出されます。
これはこの作品で最大の賛辞を与えるべき見事な出来栄え。
下ネタだらけのバカ映画とは思えないカッコ良さ。
さてさて、物語の最初から最後までなんだかんだ書いちゃいましたが、当然ながら端折ってる部分も相当あるし、解説箇所も本編を観れば何倍も面白いはずです。
冒頭にも書いた通り、ゾンビ映画好きなら一度は観とくべき作品の一つなのは確実。
下品なユーモアが解る人にもオススメ。
ってか、こんなクソくだらなくて純粋に楽しい作品は観なきゃ損ですよ。
確かにゾンビモノなんでグロ描写もゴアシーンもあるにはあるけど、いわゆる王道のゾンビ映画とは全然違うアプローチのもんなんで、これぐらいは免疫ないと、フツーの映画も観られないんじゃないの?っていうレベル。
いや、しかし、キューバ映画とか聞き慣れないだけに油断してたね。
くだらないし無駄だらけだけど、決して手抜きなんかしてないもの、これ。
映画愛、ゾンビ愛を感じる逸品で御座いました。
キューバ映画、おみそれしました。