ブログネタ:イヌ・ネコ以外で、どんなペットを飼ってみたい? 参加中色々と飼ってみたい動物がいる中でも
「アヒル」
ですね。
昔、俺がまだガキの頃、親父が自衛官だったもんで官舎に住んでたんです。
その官舎ってのもかなり古いもので、恐らくは当時で築30年とかでした。
だもんで、建物自体はホントにいかにもな昭和の木造建築で、窓なんかはキッチリと閉めたって隙間風がビュービュー言ってましたよ。
で、そんな官舎の一軒に住んでたんですが、そこは庭が広い家だったんです。
親父は盆栽が趣味で、一時期はその庭にびっしりと盆栽が置かれてたんですが、その当時は盆栽の数も大分減り、庭の中央部分は結構なスペースが空いてたんです。
その官舎の外れに母親が仲良くしてた一家が住んでまして、その家ってのは動物がやたらと多い家だったんですね。
当時で猫が数匹、金魚にニワトリに孔雀まで飼ってる様な家でした。
ある日、その官舎の外れの家からアヒルを飼って欲しいと頼まれたんです。
どうやら、知り合いが引っ越しの都合で飼えない状況になったらしく、貰い手を探して困ってたんだとか。
当然、アヒルなんて飼った事もなければ飼うとも思ってなかった訳で、ウチの親も躊躇はしたと思うんですが、結局は頭を下げられて引き受け、我が家にアヒルがやって来たんです。
そのアヒルは『ガー子』と、またベタな名前で呼んでました。
今調べると、アオクビアヒルって種類のメスだったみたいです。
当時はメスのアヒルとしか聞かされてなかったんですけどね。
さて、アヒルの居る生活が始まったんですが、その当時からウチでは猫を飼ってまして、一般的に考えるとすぐにでも猫の獲物にされそうなんですが、実際はむしろアヒルの方が気が強く、攻撃性もよっぽどアヒルの方がありました。
いや、たまたまガー子が強かっただけかも知れませんがw
とにかく、ガー子はウチの猫が見た事もない姿の「新入り」を興味津々で見ていると、自分から近付いて行ってガーガー鳴きながら追い掛け回してましたw
それがなかなかの見物で、みんなして笑って見てましたよw
ガー子の寝床は俺の部屋の外にあった小さい物入れを改造して作り、寝る時だけは基本的にそこに入れてたんですが、それ以外はほとんど庭で放し飼い。
一応は水鳥なんで、俺が赤ん坊の頃に使ってたベビーバスに水を張っといて、水浴びなんかは自分からそこに飛び込んでやってましたね。
アヒルって鳥だからそれほど賢くないと思ってたけど、ガー子を飼ってからはその考えを改めましたよ。
めちゃめちゃ賢かったですから。
俺が小6の頃、官舎が老朽化を理由に建て替え対象になりまして、官舎の人達は次々と他の官舎なんかに引っ越しを始めました。
ウチはわりと最後の方まで引っ越し先が決まらずに官舎に居たんですが、引っ越せばガー子はまず飼えないだろう事が解ってたもんで、次の家が決まり次第、例の官舎の外れの家に返す事になってました。
そんなある日、下校してもうすぐ家に着くというところ・・・家まで10mってトコですかね、それぐらいまで家に近付くと、大声で鳴くガー子の声が聞こえるんです。
当然、鳴いてるのはウチの庭。
明らかに普段と様子が違う感じだったので、俺は何事かと思いながら早足で家の庭へ。
ひょっとしたら不審者でも居るのかと思ったんですが、庭に入ると泣き喚くガー子以外に誰の姿もなし。
猫や犬が侵入してきたのかとも思いましたが、俺が庭に入った時点でそれらしき姿はなく、変わらずガー子が鳴き続けている事からして原因は別にありそうだ・・・と。
「ガー子、どうした?」と声を掛けつつ傍に寄ったものの、相変わらず大声で鳴き続けるガー子。
どうも鳴き声的には警戒とか威嚇の様な鳴き方だったんですが、どこを見ても原因らしきものは見当たらないし、見回しても誰も居ない。
と、そこで俺はガー子の前にしゃがみ、ガー子がどの辺りを見てるのか探ってみたんです。
大騒ぎして暴れ回る訳じゃなく、同じ場所に立ち尽くした状態でガー子は鳴いてたもんで、その視線の先に何かしらの原因があるんだろうと思った訳ですよ。
ガー子が鳴いてたのは庭の中央付近。
そこから2mほど前に庭の出入り口があり、出口の周りはわりと高さのある生け垣。
生け垣の手前側には親父の盆栽が並んでいたんですが、出入り口の左脇だけは1㎡ほど盛り土になってました。
その盛り土ってのは、盆栽の手入れで出た屑だとかを捨てる場所で、腐葉土を作る為のエリアだったんですね。
そして、その盛り土のちょっと手前にガー子用のプールになってる俺のお下がりのベビーバス。
さて、相変わらず鳴き続けるガー子。
しゃがんで視線を合わせて見てみると、どうやらベビーバスと盛り土の辺りを見てる様なんです。
でも、そこに何がある訳でもなさそうだったし、何かが居る様にも見えませんでした。
「ん~?なんで鳴いてんの?ガー子」なんて再び問い掛けつつ、もう一度盛り土の辺りに目を凝らすと・・・一瞬だけピンク色の細いのがチラチラっと。
「・・・ん?」と再びそこを見てると、やはりピンク色の細いものがチラチラ。
「なんだ?!」と思ってしゃがんだまま一歩だけ盛り土の方へ近づくと・・・居たんです、そいつが。
ガー子が警戒する様に、威嚇する様に鳴いていた相手、それは盛り土に紛れてとぐろを巻いている蛇でした。
しかも、かなり大きなアオダイショウで、そいつがとぐろを巻いて睨みを利かせてたもんで、ガー子は威嚇しつつ、警戒の鳴き声を上げ続けてたって訳。
俺はとりあえず、ガー子に被害が及ぶのを避ける為に慌ててガー子を寝床に入れ、再びアオダイショウの前へ。
そのアオダイショウ、俺が子供だったからって訳じゃなく超大物で、どう見ても俺一人で簡単に対処出来るとは思えませんでした。
という事で、俺は急ぎ足で斜め向かいの幼馴染みの家へ。
ところが、いくら呼んでも全く反応なし。
家族の多い家だったのに、そういう時に限って誰も居ないってパターンですよ。
仕方無くまた急いで庭へ戻ると、例のアオダイショウが移動してる場面に遭遇。
とぐろを巻いててもデカいのは解ったんですが、移動してる姿を見たら思った以上のデカさに唖然。
体長は恐らく2m超えで、腹回りも一番太いところで10㎝ほど。
下手な太巻きなんかよりもよっぽどボリュームありましたよw
で、そいつは盛り土の場所から家屋に向かって移動してたもんで、俺は慌ててその尻尾を掴み、居間と姉貴らの部屋のちょうど境目の部分になってる戸袋の方へなんとか追いやりました。
・・・が、それで解決ではない訳ですよ。
そいつは邪魔されたもんで怒っちゃって、絵に描いた様なとぐろを巻いてこっちを威嚇し始めたんです。
毒こそ無いだろうと解ってても、そのアホみたいな巨体はガキんちょだった俺にとって脅威ですよ。
その頃から身体はデカい方だったけど、あんなのに巻きつかれたらヤバそうだ・・・と思いましたし、蛇の力が結構強い事は知ってたもんで、どうしたもんかと本気で悩みました。
結局、思いついたのは棒か何かに奴を巻きつけさせ、その間に既に引っ越して無人になってる隣家の縁の下に運ぶ方法でした。
と言う訳で、作戦決行。
まずは棒状の物・・・それも大蛇が巻きついても咬まれたりしないぐらい余裕のある長さの棒の探索。
庭の端に邪魔な物は置いてたもんで、そこに何か無いかと見てみると、とりあえず目に入ったのは竹ボウキ。
竹ボウキってそれほどやたらに長さは無いんですが、他に考えてる余裕もあんまり無かったんですよ、大蛇が隙をみて戸袋の中に逃げ込もうとするんで、その度に尻尾を掴んで引きずり出さないといけなかったもんで。
結局、竹ボウキでやってみる事に決め、ダッシュで取りに。
すぐさま戻ると、ホウキの柄の方で大蛇を軽く攻撃。
怒ったら巻きついてくるだろうと予想してたんですが、なかなか上手い事巻きついてくれず、数分の格闘の末、ようやく身体の3分の1ほどをホウキの柄に巻きつかせ、移動させられる状態に。
ところが、相手は大蛇ですからそれなりに重い訳ですよ。
ガキんちょだった俺にしたら尚更重い訳で、しかも奴はホウキの柄の先端の方に巻きついてますから、テコの原理的に持ち上げた俺には物凄い重さが掛かってきたんですねw
大体、ホウキの先って芯も入ってない訳で、物凄い重さなのに手元の安定性も無いという厳しい状態。
まぁ、それでも投げ出す訳にも行かないんで、必死こいてホウキごと大蛇を隣家まで運び、縁の下の破れてた隙間へ逃がしてやりました。
それはもう、俺にしたら大バトルでしたけどね。
それでようやくガー子を再び庭に出してやり、その後は引っ越しまで無事に過ごしたんですが、まさかアヒルがあそこまで番犬みたいな役割をするとは思ってもなかったもんで、それもまた意外でした。
結局、引っ越し先が決まってガー子とは別れたんですが、出来れば最後まであの子の面倒を見たかったですね。
最後までガー子を飼えなかったからこそってのもあるんでしょうが、死ぬまでにもう一度、アヒルを飼いたいもんです。
人懐こいし、エサとか水を飲む仕草なんかも可愛いんでね、猫以外だと真っ先に浮かぶのはアヒルです。
ちなみに、俺はあの大蛇事件以来、蛇がめちゃめちゃ苦手ですw
あの尻尾の感触はホントに気持ち悪かった・・・。