猫好きを超えた猫キチです | weblog -α-

weblog -α-

なんとな~く  思いつきで  好き勝手に  (=゚ρ゚=) ボヘー  っとやってます。


猫。

あの卑怯なまでの可愛らしさ。

絶対に解っててやってるとしか思えない萌え仕草。

まったくけしからん。

けしからんぞぉぉぉーーー!!!


という訳で、猫キチです。

いや~、猫の記事は自分のバカっぷりが出すぎちゃうんであんまり書きたくないんですが、猫キチは書かざるを得ない宿命にあるんです、きっと。
・・・うん、意味不明。

とりあえず・・・と、猫ネタはそんなに無いんで、小出しにします。
大人のズルさ発揮です。
ちっさいズルさですけども。


まず、俺にとって欠かせない存在の『タイガー』から。

あいつが家に来たのは、恐らく俺がまだ9歳かそこらの頃。
俺はまだまだガキんちょで、あいつもまだ若かった。

その頃、古い平屋の官舎に住んでいて、タイガーはたまたま家の前を通り過ぎようとしてた。
それを俺が呼び止めて、あいつは「何?」って顔して寄って来た。
偶然と言えば偶然だけど、その後の事を考えると必然の出会いだった気もする。

官舎は古いだけに隙間風が入る様なボロい家だったけど、古いだけに庭は広かった。
多分、昔はそこそこ階級の高い人が住む家だったんだと思う。
他の家はそれほど庭なんて無かったのに、ウチは家屋と同じぐらいの敷地の庭があった。
親父は盆栽が趣味で、庭の半分ぐらいは盆栽で埋め尽くされてたけど、それでもそこそこのフリースペースは確保されてた。

猫は・・・それこそ俺が物心ついた頃には当たり前に居た。
長生きした子も居たし、そうじゃない子も居た。
とにかく、ウチに猫が居ない時なんてなかったと思う。

当時は今ほど色々とうるさくも無かったし、野良猫や野良犬がウロウロしてる事も珍しい光景じゃなかった。
当然、捨てられる猫や犬も多かったけど、拾われる子も多かった・・・と思う。
住宅事情が今とは全然違うしね。

今時はペットに対しての飼い主の義務だなんだってうるさいけど、あの頃はそんなわざわざ構えなくたって常識的にペットは家族として扱ってたし、同時に動物としても扱ってた。
勿論、嫌いな人は酷い事を平然としてたりもしただろうけど、今ほど神経質で過保護な飼い主ばっかりなのもどうなんだろう。
病気や妊娠を防ぐ為に獣医が必然的なもんになってるけど、それで猫が健康に過ごせたところで、結局は人間のエゴでしかない。
あいつらは自然と野生と共にある生き物で、人間なんかよりずっと崇高な存在。
病気になるとしても、当たり前に発情して子供を作るとしても、それが本来の生き方。
それをダメだとするのは人間の勝手でしかなくて、「動物は喋れないんだから」と過保護にするのであれば、喋れないのを良い事にご都合主義な価値観で彼らから野性を奪うのも、全く同じだけ悪い事のはずだ。

あの頃の猫達はきっと今よりも幸せだったと思う。
タイガーもそうだったと信じたい。
少なくとも、俺はあいつに対して今まで誰に対しても向けた事のない愛情を捧げて、それ以上の愛情を貰った。
俺が感じた幸せの分だけは、タイガーも幸せだったんだと思う。


俺が10歳の時、両親が離婚した。
母親が不倫をしていて、それがバレて出て行った。
それをバラしたのは、余りにも甘ったれで世間知らずだった俺だ。

学校から家に帰り、ランドセルを自分の部屋に置くと、シーンと静まり返った居間を見た。
母親は出て行く前からパートをしていたから、その時間に誰も居ない事だって慣れていたはずだった。
けど、余りにも静か過ぎて、なんだかやたらと悲しくなった。
自分でもなんだかよく解らない涙が溢れてきて、たまらなく寂しくなった。
そんな日がしばらく続いたけど、俺の傍らにはタイガーが居てくれた。
別にあいつは俺の為にそこに居たんじゃないし、慰めてくれる訳でもなければ、擦りついて甘えて来る訳でもなかったけど、俺にとってはあいつの存在だけが救いだった。

ガキんちょの俺は、感情に任せて八つ当たりをした事もあったし、いじめと言って間違いない様な事をした事もあった。
タイガーにだけじゃなく、他の猫達に対してもだ。
それでも猫達はいつもニュートラルなままで、俺を敵として避ける様な事はしなかった。

今思えば、あの頃の俺は両親の離婚に過度のストレスを感じていて、自覚こそなかったけど酷く疲れていたんだと思う。
それは顕著に肉体的な部分にも出ていたし、生活面でも色々と出ていた。
でも、今こうして生きていて、くだらないなりにも自分を確立している。
それはタイガーの存在があったからこそで、もしあいつが居なかったら、俺はもっと悪い方向へと転がり出していたかも知れない。
俺にとって、タイガーは特別な存在になっていた。


中学に入る少し前に官舎の建て替えが決まって引っ越した。
勿論、タイガーも一緒に連れて行った。
中学校のすぐ目の前の家で、庭は無いに等しかったけど、タイガーはすぐに馴染んだ。

それから数年後、また引っ越し。
タイガーも連れて行ったが、その日の内に自力で元の家に戻ってしまった。
元の家には姉貴が残って住んでいたから、タイガーの面倒を見てやれって事になった。
自分で戻った以上は仕方無い。
よっぽど前の場所が良かったんだろうし、また連れて来てもどうせ戻るだろうし、そうなれば猫にとっても楽な距離じゃないんだから、好きにさせてやろうって結論だった。
勿論、俺にとっては寂しい事だったけど、タイガーの意思を尊重してやるべきだと自分を納得させた。
それに、二度と会えない訳じゃないし、出掛けた時にちょっと寄り道すれば会えるんだから・・・と。

それから数年。
タイガーはすっかり老猫になって、ケガの痕や持病で見た目はとても綺麗な状態ではなくなっていた。
ちょいちょい様子を見に行って声を掛けると、タイガーは元気良く返事をして足元に寄って来た。
耳垂れやら目ヤニやらで汚くなった顔を擦り付けて、昔みたいに甘えてきた。
俺はタイガーがたまらなく愛しくて、バイト帰りなのにしばらくその場でタイガーを撫でていた。
もうこいつの寿命もそう長くはないんだろうなと気付きながら。


タイガーが死んだ日、姉貴が電話を掛けてよこした。
「そっか~、とうとう死んじゃったか~・・・」
俺は残念に思いながらも、それほど悲しい気持ちにならなかった。
とにかく、あいつを埋めてやらないとと思い、着替えだけ済ませてタイガーの元へ向かった。

姉貴の隣の家にはジョン君という犬が居て、俺もたまに遊んでやったりした事があったからなのか、タイガーは犬小屋の傍らで、ジョン君に見守られながら逝ったらしかった。
痩せ細った身体を横たえて、すっかり動かなくなったタイガー。
昔みたいに元気な姿ではなくなってたけど、それは紛れもなく俺がこの世で一番に愛した存在で、大好きな家族で、唯一無二の親友だった。

不思議そうな、困った様な顔をしながら俺とタイガーとを見比べるジョン君にお礼を言って、俺はタイガーを抱き上げた。
嘘みたいに軽くなったタイガーに、感謝の言葉しか出なかった。

ジョン君が居るのとは逆側の、庭と呼ぶには狭すぎる場所にタイガーを埋める事にした。
スコップで1mかそこらまで土を掘り、いよいよタイガーとの別れ。
何を言ったのか具体的には覚えてないけど、俺は少しの間だけタイガーに話し掛けた。
それまで残念な気持ちばかりだったけど、いよいよ埋葬するとなると悲しくなった。
もう二度とこいつに触れないんだなと思ったら、色んな後悔や色んな感謝の思いが溢れた。

ゴメンなと言って、タイガーの毛を少しだけ貰った。
そういうのをしちゃいけないって言う人も居るけど、そんなのは単に宗教観の問題。
毎日仏壇や神棚に手を合わせてるならともかく、そんな時だけ半端な宗教観を持ち出すもんじゃない。
弔いの形は様々だけど、亡き者への愛情や想いがそこにしっかりとあれば構わないんだと思う。
まぁ、所詮は宗教観も人間の勝手な決め事だから、そんなのは人間の間だけでやってたらいい。

タイガーを穴の底に置くと、目の前が見えないほど泣けてしまった。
もう感謝でも後悔でもなく、ただただ悲しかった。
その悲しみを振り切る様にして、土を掛けて行く。
最愛の存在が土に消えて行き、やがて見えなくなった。

力が抜け、なんとも言えない気持ちのまま片付けをし、最後にもう一度ジョン君にお礼を言うと、俺は家へ帰った。
それから先の事は覚えていない。


今でもタイガーの事をたまに思い出す。
あいつが俺に教えてくれた事や、俺はあいつに何かしてやれたのかな~・・・と。
結局、死んだ奴には何もしてやれなくて、後悔ばかりが残るんだけど。

で、バカバカしいだろうけど、ふとタイガーに呼び掛ける事がある。
勿論、そこに誰も居ないし、返事がある訳でもないし、霊感みたいなもんも無い。
でも、あいつにはなんだか届く様な気がしてて・・・でもどうせ、あいつはあの頃みたいに知らん顔して、寝たフリでもしてんだろうな~と。

俺は今でもタイガーが大好きで、あいつに対してだけは完全に素の自分になれる。
変な話、どんだけベタ惚れした彼女が出来たところで、タイガーの比じゃないなと言うかw
とにかく、俺にとってタイガーとの出会いはこれ以上ない程のもので、あいつが居たからここまで猫に対しての思い入れも強くなったんですよ。

こんなの、そこらの猫好きでも理解出来ないんだろうな、きっとw


weblog -α--cat_01

奥がタイガー(♂) 手前はブライト(♂)