玄関の戸をそぉっと開けると、そこには散乱とした部屋があった。
『土足で大丈夫だろ?』
そのまま、一段上がった部屋の中へと入って行く。
4人で入り、一番前にその友達の兄ちゃんがいた。
『ちょっとカビ臭いな
』

たわいもない話をしながら奥へと足を進めた。
怖い思いを振り切るかのように…

一番後ろにいた奴が、声を震わせながら…『誰か…見ている
。』と言い出した。皆も気が付いていたのだが、声に出さないだけだった。

突き当たりまで行くとそこには台所らしき大広間に出て、端にはポツンと井戸があった。
(中を覗いてみ?)と言わんばかりに大きな口を開けていた。
『ジャンケンして負けた奴が覗かね
』

誰から共なくそんなゲームを言い出した。
ジャンケンで負けたのは
。

『病院に行った奴だったんだって
』

覗いている時に一点を見てボソッと呟いた。
『誰か…いる。声がする』
そう言った途端に隣の部屋から…
ドタ
ドタドタドタドタ


何かが落ちて暴れるような音がしてきた。
井戸の中からは遠くに聞こえる汽笛のような音がしてきて、覗いていた奴が…
『あっ
誰か這い上がろうとしている
見て?見て見て見て見て見て見て見て見て見て見て…あっ
あっ
あははははははははははははははははははははは…』




これは、ただ事ではないと思った彼等は覗いた奴の肩を掴み取り、玄関めがけてダッシュした

台所を出た時に隣の部屋から再び、ドタドタ
と音が聞こえた。

音のする方を見てしまった兄ちゃん。眼に入ったモノは髪の長い白い服を着た女性が這いつくばっていた。
思わずそれをジッと見てしまったらしく、後ろにいた友達に腕を引っ張られ、その場を逃れた。
玄関を出てからも追いかけてくるようで人通りが多い場所に出るまでホッと出来なかった…。
『…って、兄ちゃんが震えながら話していたんだけど…この後、兄ちゃんが言葉を詰まらせながらも…続きを教えてくれたんだ…。』
…続く…。