塚越寛著 リストラなしの「年輪経営」より

 

伊那食品工業は年功序列型の給与体系をとっている。

これで大きな不満は生まれていない。

むしろ、安心感を持って仕事に臨めるため支持されている。
 

成果主義や能力給の場合、どうしても個人の実績を評価することになる。目先に表れる数字だけに関心が行ってしまう。社員同士の協調性より、自分の成績が大事になる。
これでは社内の「和」は保てない。
「社員のモチベーションが上げられないのではないか」と疑問を持つ経営者もいるが、成果主義や能力給では、真の意味でモチベーションを上げることはできない。
今の若い人は、かつての世代のように、お金が欲しい、地位が欲しいと強く願わないから。
彼らが望んでいるのは、穏やかな人間関係の中で、自由にのびのびと仕事ができる職場だ。
社員のモチベーションを上げるのは、お金や地位ではなく、「働いて、去年より良くなった。去年より幸せだ。」と感じられること。

 

去年より今年、今年より来年のほうが、幸せ感が増しているような会社。

そんな会社にいれば、自然とモチベーションは上がっていく。