一国一情報端末の主

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携帯の保護フィルムを買いました。すでにガラスフィルムによる保護はされていましたが、少しだけ、ほんの少しだけヒビが入っていたのです。大変ささいな亀裂ですが、いかんせん、そこから私の携帯という城が、いざというときそこから一気に攻め滅ばされてしまうのではないかと軽く落とすたび不安になっていたので、城壁を交換することにしました。

 

帰宅して、机の上でじっくりと、それまでのフィルムをはがそうとしました。するとどうでしょう?まったくはがれないのです。ん?これは一体どういうことだ?もとのフィルムはかなり頑丈な高価なガラスでできたものを買っていたのですが、そのせいなのか、それとも歳月の経過とともにぴたっとくっついちゃったのか、微動だにしません。

 

「城壁を完璧なものにしたために自分が城に入れない」というこの状況。

「はて、これは一体どうしたものか?」殿様のような心の声で困り果ててしまいました。

 

「はぁーあ、一休さんみてえなのが突然現れてスパッと解決してはくんねえかなぁ?いやでも、一休さんってうまいこと言うだけで、結局、なんか根本的なことはどうにかしてくんないもんなぁ。てかそもそも、どちらかといえば、坊主頭の自分こそ、一休さん寄りの人間だしなぁ」

 

なんて、考えながらも、ひたすら爪だけで、城壁を突破しようとしましたが、あえなく失敗。

城壁の前でぼろぼろの爪を見ながら完全に途方にくれてしまった私の脳裏にひとつのアイデアがひらめきました。

 

「あれ?これ、ぶっ壊したらいいんじゃない?」

 

フィルムをはがすのではなく、割るという作戦。城主の奇抜なアイデアで形勢逆転の好機。よっしゃ!いったん、軽く落としてみよっと。大胆に、それでいて、繊細に。床の固さを確かめたのち、表面を下向きにして、決死の覚悟でストン。すぐさま拾い上げるとわお、無傷。さすがわが城。よぅし、もっと高いところから落下させてみよう。ドスン。またも無傷。むむむ。かくなるうえは、落下ではなく、衝突。机に強めに強打だ。ガンガンガン。あ、亀裂がでっかくなったぞ!お!この調子だ!ガンガンガ・・・いやいやいや!なにしてんだ?おい!なにしてんだおめえは!いや、もうわけわかんなくなっちゃってるよ!携帯を壊さないために携帯を壊そうとしてんじゃん!ふと見ると。わああ!うーん。まぁ、本来なら「なんと、本体にヒビが入っていました!とほほ!」という展開を期待されましょうがガラスだけそこそこ割れていました。あっぶねえ。結局、その裂け目から強引に全体をひっぺがしてなんとか無事交換が終了しました。

 

この経験を経て「難攻不落の城を作ったために、自分が城に入れなくなってしまい、最終的には、

城をぶっ壊してしまう殿様」みたい昔話ってありそうだなと思いました。実際あんのかなぁ?

あと似たような話で、中学生のときに友達が、

「旅館の風呂場って設計した人があとでこっそりのぞけるように、

わざと少しだけスキを作っているんだぜ?」

って言ってたのを思い出しました。殿様も友達も馬鹿だなと思いました。

おしまい。