フィギュアスケートー吉田唄菜、森田真沙也の『うたまさ』カップル誕生『全日本は1位しか見ていない』
フィギュアスケートのアイスダンスで、6月にカップル結成を発表した、同志社大学の森田真沙也と吉田唄菜(うたな、いずれも木下アカデミー)。国内トップクラスの選手が集う木下アカデミーで、オリンピックを視野に練習に励んでいる。世界ジュニアを経験した実力者同士の『うたまさ』カップルに、結成のきっかけや今シーズンの目標について聞いた
『組むとは思っていなかった』
国内トップクラスの選手たちが集う『木下アカデミー』から、期待のアイスダンスカップルが誕生した。6月2日、アカデミーのSNSで吉田唄菜、森田真沙也組の結成が発表された
『観(み)ている方が思わず笑顔になるぐらい、私たちのスケート愛溢(あふ)れる気持ちを演技で伝えられればと思います!世界選手権やオリンピックでも戦えるようなカップルを目指しますので、一緒に楽しんでいただけると嬉(うれ)しいです!』
吉田も森田もノービス時代からアイスダンスに取り組み、別のパートナーと国際大会に出場経験がある実力者だ。吉田は2020年ローザンヌユースオリンピック団体戦で金メダルを獲得。同年世界ジュニアで12位に入った。森田は2022年ジュニアグランプリ(GP)シリーズチェコ大会で銅メダル、2022、2023年の世界ジュニアでそれぞれ12位、16位と健闘
拠点は京都府宇治市の『木下アカデミー京都アイスアリーナ』で、練習は週5日。森田が大学に通っているため、2人そろっての練習は早朝や夕方、夜が中心だ。メインの指導者はキャシー・リードコーチで、有川梨絵コーチや立野在コーチにも教えてもらっている
シニアらしいスケーティングを
お互いの印象について吉田は、『すっごい面白い人です。パワーやスピードの伸びが素晴らしくてリードしてくれます』。森田は『同い年だから話しやすいです。スケーティング技術が跳び抜けているオールラウンダー型だと思います。こんなことをやりたい、こうやりたい、こうしてほしいとお願いしたら、すぐやってくれるので試行錯誤がしやすいです』と語る
それぞれ憧れている選手について聞くと、吉田は、2022年北京オリンピックで銅メダルを獲得したマディソン・ハベル(アメリカ)を挙げた。『女性らしさもありながら強くてかっこいい。女優さんみたいで、たった3分の演技でも1本の映画を見たような感動があって、何回も見たいなと思います。私もそんな演技ができる選手になりたいと思っています』
一方の森田は2021、23年の世界選手権で銅メダルを獲得したパイパー・ギレス、ポール・ポワイエ組(カナダ)。『流れるようなスケーティングを目標にしています』と話す
2人そろってシニアデビューとなるため、シニアらしいスケーティングを意識して練習している
3年後のオリンピック出場へ
リズムダンス(RD)のプログラムはできたばかり。今シーズンのRDの課題である1980年代の音楽をテーマに、『Real Wild Child(Wild Side)』『Wild Side』『Wild Thing』の3曲の組み合わせ、ロック調のプログラムに仕上がった。振り付けはリードコーチと、世界選手権で3個のメダルを獲得しているカナダのケイトリン・ウィバーさんが担当した
見どころについて吉田は『コレオサンバです。楽しいし、めっちゃかっこいい振り付けをしてもらったので見てほしいです』とアピールする。8月12日の木下トロフィー争奪フィギュアスケート大会でお披露目する予定だ
フリーダンス(FD)は『Rise of the Phoenix』。振り付けはイタリアの元アイスダンサーで、村元哉中、高橋大輔組の作品も手がけたこともあるマッシモ・スカリさんにお願いしているという。RD、FDともに世界で有名な振付師の作品になるため、『名前負けしないようなプログラムにしたい』と森田は意気込む
吉田は昨シーズン、パートナーがいなかったため、伸びるスケーティングを意識した基礎練習に時間を割いてきた。『プログラムの練習をあまりしてこなかったので、久しぶりに(プログラムを)滑ってすごく楽しいですが、まだまだ真沙也くんに追いつけていないですね』と笑う
木下アカデミーには2023年世界ジュニア選手権優勝の島田麻央や2023年四大陸選手権3位の千葉百音ら、トップクラスの選手が切磋琢磨(せっさたくま)している。バレエのレッスンを一緒にする機会があり、『モチベーションになっています』と吉田。森田も、5月にペアを結成した清水咲衣(さえ、ルネサンス高校3年)、本田ルーカス剛史(同志社大学3年)組が新しい技に挑戦している姿を見て刺激を受けている
今シーズンの目標は、12月の全日本選手権で優勝し、四大陸選手権や世界選手権に出場することだ。まずは10月に広島市で開催されるアイスダンス予選会に向けてプログラムを磨いていく
森田は『1年通してアイスダンスが自分たちにとって楽しいものだと再認識できる演技、満足するような結果を出していきたい。見ている方にも楽しんでもらえたらうれしい』と話す
吉田は全日本に向けて『1位しか見ていないです』ときっぱり。将来はグランプリファイナルにも進出し、『3年後はオリンピック出場、7年後は絶対に表彰台に乗れるように頑張りたい』と先を見つめる
オリンピックを視野に始動した『うたまさ』。ポテンシャルが高いカップルのデビュー戦に注目が集まりそうだ