THE DIGESTから(3月11日付)

 

 

『復帰は何度も考えた。でも…』現役続行か否か、ザギトワが悩める胸中を激白!『私は完璧主義者なの』

 現地3月6日の一大イベントで、切れのあるジャンプ&ステップを随所で披露。妖艶なパフォーマンスで観る者を魅了した、まさに“妖精”の面目躍如

 

 平昌五輪・女子フィギュアスケートの金メダリスト、アリーナ・ザギトワのアクションが活発だ。昨年9月からロシア政府直轄のアカデミー(実質的に大学)でジャーナリズムを専攻し、現在は期末テストを終えたばかり。一方でロシアTV局『チャンネル・ワン』との結びつきを深め、人気フィギュアスケート番組『Ice Age』の司会に抜擢された。アイスショーの出演を重ねながら、モデル業やCM出演の機会も増え、多忙な日々を送っている。何足の草鞋を履きこなしているのか、数え切れない

 

 しかし、競技者としては一時休業中

 

 最後に公式大会のリンクに立ったのは2019年12月で、グランプリファイナル6位とシニア転向後で最低の順位に終わった。その直後に休息宣言を打ち出し、ロシア選手権と欧州選手権への出場を辞退。参加を目ざしていた(目指していた)20年3月の世界選手権は、コロナ禍で大会自体が中止となった

 

 現役続行の意思はあると見られながら、2020-21シーズンも公式大会の出場はゼロ。昨年11月のグランプリシリーズ・ロシア杯でエキシビションに登場し、年明け2月に開催されたオールスター対抗戦では『チームザギトワ』の主将を務めて話題を振りまいたが、自身はパフォーマンスを披露しなかった

 

 そんななか、現地3月10日にTV局『RBCスポーツ』のロングインタビューに応じたザギトワ。多岐に及んだ質問の一つひとつに真摯な態度で答え、最後に核心について問われる。以下がインタビュアーとの門答だ

 

――主題です。可能な限り、正直に答えてほしい。フィギュアの大会はチェックしていましたか?

 

 『すべてではないですけど、はい、時間が許す限りは観ていましたよ』

 

――どんな感情が湧いてきたの?

 『いや、いつも通りです。たぶん』

 

――あの場所に戻りたいですか?

 

 『もちろん、その気持ちはあります。選手たちに話を訊く機会もありましたし、感情が蘇ることもありましたから……。ああ、難しいですね(苦笑)。いろんな想いがあるので』

 

――今シーズンの間にカムバックしたいという気持ちはあった?

 

 『(即答で)ええ!』

 

――何回くらい?

 

 『何回もです。でも……(答えを待ってほしいと手で制止する仕草)』

 

――なにが君を押しとどめたのだろうか

 

 『いくつかのポイントがあります。インスパイアされる経験をたくさんしましたし、さまざまな感情が入り乱れているんですね。なので、もう少し見守っていてください』

 

 心のなかはいまだ、揺れに揺れているようだ

 

『チーム・ザギトワ』を率いた経験が彼女を…

 同インタビューでザギトワは、活動の幅を広げる中での自身の進化や価値観の変化などについても赤裸々に語っており、五輪に臨んだ際の壮絶なプレッシャーにも言及している

 

 『フィギュアスケーターにとってオリンピックはすべてです。そのために過酷な練習をし、コーチを含めてあらゆるパワーを結集して、結果を追い求めるのです。国を背負う重圧はもちろんありますが、最後はまさに個人に委ねられる。やはり孤独な戦いでした』

 

 それだけに、今年2月の『チーム・キャプテン』を務めた経験は新鮮だったという

 

 『私は完璧主義者なんですね。その日は誰よりも朝早くからリンクに出て、すべてをチェックしないと気が済まなかった。みんなが充実した演技ができることを第一に考え、みんなといろんな意見交換をして、一緒に悩んだり、笑ったりしていました。とても充実した時間だったんです。それまでの私のように、ひとりじゃない、仲間とひとつの目標を達成するんだって。どこかで忘れていた、スケートを純粋に楽しむという気持ちを思い起こせた気もします。すごく、すごく貴重な体験でしたよ』

 

 実に力強い言葉だ

 

 勝利だけがすべてではない――。若きカリスマはなにかしらのヒントを得たのかもしれない