きっかけはTAAF2024の「アニメ オブ ザ イヤー部門」の「アニメファン賞」。
「アニメファン賞」というのはその名の通り、
我々一般のファンが2023年のアニメのなかから好きな作品を選んで投票し、
得票数1位の作品に与えられる賞です。
僕にとっての2023年度1位のアニメは何か。
そんなんもう「アイドルマスター ミリオンライブ!」通称ミリアニに決まっています。
ってなわけで早速投票を……ん?
2024年1月20日時点の投票状況
なんかめちゃくちゃ強そうなのがいるんですけど。
僕らミリPにとって10年間のマスターピースとも言うべきミリアニがより色々な人の目に留まるように、
そして何よりアニメに関わった全ての人に、僕達から何か賞をプレゼントできるなら。
ですが相手は僕でも名前を知っているレベルのアイドリッシュセブン。
出来ることなら1位獲りたいけど、まぁアイナナ相手に接戦やれてるならそれでも十分か…
などといつもの卑屈ミリP仕草を滲ませつつXのTLを流し見ていたら。
折角なのでとおもむろにアイナナの映画を見始めているミリPがちらほら。
逆にミリアニを見始めているマネージャーの方々も。
平和かよ~。
突然の異文化交流の興りにちょっとびっくりしましたが、
それよりも僕はこの流れにちょっとしたデジャヴを感じていまして。
数年前、シンデレラガールズのほうでこれまた偶発的にSNS上で
アイマスPとSexy Zoneのファン(セクラバ)の方々の間で交流が、
通称セクシー異文化交流が発生したことがありました。
僕自身、それがきかっけでセクゾの曲を聴いたりするようになって、
あれからもう数年が経ちますが今も新曲は欠かさず買っています。
そういう経験があるので、今回も「これは自分も乗るしかない」ということで、思い立ったが吉日、
早速U-NEXTで劇場版アイリッシュセブン、通称ムビナナを購入して観てみることに。
結果から申し上げると、とんでもねぇ映像作品でした。
このムビナナ、各約90分のアニメが2本立てで、それぞれDAY1/DAY2という区分になっており、
最初はタイトルの「劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD」に
なぞらえたものなのかなぁなんて思っていましたが、
何と、そのまんまの意味でDAY1/DAY2なんですよね。
つまり、90分がまるまるそのまんまアイドル達のライブ映像になっているんです。
は?
嘘みたいですが本当の話です。
最初から最後まで純度100%のライブをやっています。
なので、冒頭の導入はライブのオーバーチュアから始まります。
個人的にまず感動したのがこのオーバーチュアの映像で。
何かZEDDみのあるエモめのEDMにあわせて大自然の夜明けみたいな壮大な映像が流れて、
最後にメンバーのカットインが入ってタイトルロゴドォォォォン!
個人的にK-POPが好きでよくライブを観たりするのですが、
こんな感じで宇宙とか生命の息吹みたいな壮大な映像とともにアイドルが降臨するタイプの、
何かよく分かんないけどめっちゃ気分が高揚する!みたいなオーバーチュアが結構多くてですね。
のっけから2次元ぽくない、リアルのアイドルライブのような幕開けで新鮮だったのと、
純粋に音楽と映像の高揚感が好きで全く知らないコンテンツのライブなのにこの時点でめっちゃワクワクしていました。
そしていよいよライブが始まるわけですが、初っ端から満足度が凄い。
まず思ったのが、とにかく絵が良い。
ダンスモーションは3DCG特有の硬さや逆に変なヌルヌルさがなくどこまでも自然に、
尚且つ7人のアイドル達のモーションにもそれぞれ個性が乗っていて
それらが同じ画角の中で同時に動くという心地よい情報量の多さ。
また、それに加えて素晴らしいのがキャラクターの表情アニメーションです。
一般的に3DCGアニメーションが苦手とする表情の細かい演技ですが、
ムビナナでは終始アイドル達の表情が細かく繊細に描画されています。
この時点で僕はまだステージで歌って踊っているのがどこの誰なのか全く知りませんし、
分かることと言えば多分この曲書いてるのkzさんかなぁということくらいですが、
3DCGのクオリティ高過ぎで映像は毎秒楽しいし曲も超良いので普通にノリノリのノリでした。
良いところといえば、ライブ演出も素敵ですよね。
1曲目の「MONSTER GENERATiON」はkzさんらしい軽快な心地よさが特徴的なポップスで、
曲の雰囲気に合わせてステージ照明をめいっぱい明るくしてレーザーやライトの演出は一切無し。
ライティングがシンプルなぶん、アイドル達の動きを集中して追うことが出来たのが凄く良かったです。
曲が終わるとそのままMCに。
上記でも触れた通り、このアニメはとにかく表情が神懸っていて、キャラクター達のセリフに合わせて表情が
ナチュラルに変化するのでめっちゃ見応えあります。
フリートーク部分におけるアイドル達のセリフが台本っぽくないのも良いですよね。
セリフの質感にリアルなユルさがあって、被りとかもあんまり気にせず自由に発言している感じとか。
おかげでアイナナミリしらの僕にはどれが誰やらさっぱr
目立つなぁしらいむ。
アイドル達の会話に紛れる明確な白井悠介。
キャラクターというか、白井さんいるけど。
一人だけオーコメやってる?大丈夫そ?
SideMで聞き慣れているお声だからか、混線する会話の中でしらいむだけ立体感がレベチでちょっと面白かったです。
3Dしらいむ。
何はともあれ。
このあとにデュオユニットの保志総一朗さんの相方の銀髪ポニテの兄ちゃんが「MC30分やります」とか言ってましたが、
まぁ正直それでもいいかなってくらい、キャラクターたちの会話劇を見ているだけで一生満足出来るなという気持ちでした。
あと、アンコール後の衣装がライブではお馴染みのTシャツスタイルで、
それがちゃんとリアルグッズとして売られているというのがあまりにも偉過ぎる。
アイドル達がTシャツ着て出てきたとき爆速で公式サイト開いてクッズ確認しに行ったら
ちゃんと同じデザインのTシャツが売ってて思わずガッツポーズが出ました。
もうひとつ。ちょっと細かいところにはなっちゃうんですが。
アイドル達がちゃんとイヤモニとインカムしてるのめっちゃ良くないですか。
2曲目の「RESTART POiNTER」の間奏でキャラクター達がアドリブで煽りを入れたりするところとかもそうなんですが、
"ステージ風のMV"じゃなくてちゃんと真正面から大真面目に"ライブ"を描いているのが本当に良くて。
アニメでライブを描くとなったら、表のライブと並行してバックステージの様子を描きつつ
ストーリーを動かしていくのが普通というか、そうでもしないと作品として成立しないと思うんですが、
ムビナナは90分一切の手抜きや省エネなしで3DCGをトップクオリティで動かし続けるという超絶脳筋プレーと
「リアルなライブ」に対するマニアックな拘りを貫き通すことで純度100%のライブアニメを実現させてしまっているのが
本当に意味が分からない。凄過ぎ。
しかも、かといって全部が全部リアル一辺倒かというとそうではなく、例えばDAY2のイケメンコーヒーカップのように、
現実ではなかなか難しい演出も要所要所に取り入れることでアニメ作品ならではの表現もあって、終始目が幸せでした。
更に、ライブ全振りだからといってそこにドラマが存在しないかと言われると決してそんなことはなくて、
例えば「Incomplete Ruler」のラスト、九条天くんが一瞬何とも言えない目線を七瀬陸くんに向けてステージを去るシーン。
本編で描かれるのはそれだけで、特に補足や伏線回収とかも無いのですが、
それでも、二人のことを何も知らない僕でも
「この二人に間にはきっと何か特別なドラマがあるんだろうな」と察する事は出来ましたし、
アイドリッシュセブンの物語を一通り追ってきたファンの方々にとっては
きっととても大きな意味のある描写だったんだろうなと思います。
僕のようなアイナナを知らない人でもフィーリングで楽しめる作りになっていながら、
そういうフックを作ってくれているおかげで「ちょっと待って今の何…?」と
背後のストーリーに触れてみたいというモチベも喚起される。
まだ沼に浸かっていないもう片方の足もそっと蹴っ飛ばしてくれる。やさしみの森。
あ、そうそう。沼といえば。