こんにちは。

一級建築士のtakumiです。

さて本日は、メルマガ読者さんから
断熱材についてのご質問を
頂きましたのでご紹介します。


■ご質問
「スキンカットはしない方が
良いらしいですがそのためには
どうすればよいですか?」


スキン層のカットについて、
よく勉強されていますね^^


まずスキン層というのは、
ウレタンなどの発砲系
断熱材の表面のことです。


断熱材の種類と特性については
こちらのブログ記事にて
説明しています
↓↓↓




下の写真は現場発砲の
ウレタン吹き付けですが、

ここでいうと「A」のところ
吹き付けたままのモコモコの状態です。
↓↓↓



この「A」のところがスキン層です。
表面は気泡が小さくなり固くなります。

これと比べて「B」のところ
発砲して柱よりも出てきたので、
吹いた後にスキとったところです。


このように、吹いた後の表面の
硬い部分をすきとることを
スキン層カットと言いますが、
これがあまりよくない
と言われています。


なぜかというと、 

硬いスキン層があると断熱材が
劣化しにくいとされているためです。


ウレタンなどの発砲系の断熱材は、
発砲ガスが充填されていますが

そのガスが経年により
抜けてくると、
断熱性能が低下するとされています。



スキン層があることで
スキン層がカバーの役割となり、
ガスが抜けにくくなるということです。



しかしながら、、、


確かに、表面の少し硬い層が
保護になり、残した方が
劣化しにくいといえます。


もちろん、スキン層を残して
吹くのが良いとは思うのですが、

そうすると、
次に問題となるのが、
断熱材の「厚み」です。


断熱材は計画通りの厚みを
確保することが必須となります。


例えば、断熱等性能等級が
4等級とするために
「壁のウレタン吹き付けは80mm」
必要だとすると、

70mmでは4等級に満たなくなる
可能性が高くなります。


柱が105mmだと壁の厚みも
105mmですので、
最大105mmまでの断熱材を入れられます。


吹き付けるウレタンの厚みの
仕様が80mmだと、
25mmの余裕となりますが、

スキン層を残そうとして表面を
カットしないために
控え気味に吹くと、
厚みが不足気味に
なる恐れがあります。


吹き付けというのは、
あまり細かく厚みの調整が
できないからですね。

多めに吹かないと、
すぐ厚み不足になります。


発砲具合はバラツキがあるので、
職人さんは少し余裕を持った
厚みを吹き、
あとから削る方法をとっています。


厚みが少なくなると、
断熱効果が計画している分に
満たないことになりますから、
良い結果にはなりません。


また、スキン層があっても
断熱性能が上がる訳ではありません。


なので、スキン層を残そうとして
厚み不足が出て断熱性能が
低下するよりは、

きっちり厚みを確保するべく
多めに吹いてカットする
手法をとることをオススメします。


また、壁内など厚みに制限が
ある場所でなければ、

スキン層は必ず残して
むやみに削り取ることの
ないようにしたいですね。


それでは今日はこのへんで。