「旅行に行ってくるわ」

数ヶ月前、僕にそう告げたのは前職の元所長。
当時、新入社員で入った僕と25名の営業所の所長。



僕は、部下としては、かなり扱いにくい人間だと思う。
納得できなければすぐ噛み付くし、態度も体(は関係ないけど、)デカイ。


その人を確かめて、自分のボスに相応しい人ならとことんついていく。

その人(シライシ)とは、会社では本当にダレないように、気を引き締めていた。
帰社時間になれば、Lennyやら、U2やら音楽の話で盛り上がった。


ある時、
「俺なぁ、もの凄く『運』のある人間なんよ。今のポジションも、No2 No3が俺を立ててくれてるからだからね。恵まれとるよ、俺たいしたことしとらんもん。」
そう言われてびっくりした。


僕が辞めて、その人も辞めて、2人でちょくちょく食事に行く機会が増えた。

僕たち2人と他のスタッフともご飯に言ったときの事、他のスタッフが


「○○所長、最近の仕事は~。」
と言ってるのを聞いて、


「○○さん、もう所長じゃないのに。」
と思わず言った。


「オマエよくそう呼べるよな。」


慣れない人もいるだろうけど、僕も始めは言いにくかった。だけど、僕にとってはもうだいぶ前から所長じゃなくなってたし、そんな肩書きにこだわる人じゃない、って事をその人のホンネをいくつも聞いてきて、僕は知っていた。



そんなシライシの旅行はウラジオストックからシベリア鉄道を乗りヨーロッパへ。
期間は未定。行き先未定。スケールの大きい旅行。世界一周の目標も、ユーラシア横断の目標もない。

ブログしながら旅をするらしい。(http://blogs.yahoo.co.jp/pugpugfalcon )



―空港にて―

「いよいよですね。ネット環境大丈夫ですか?」


「無線ランがよぅわからんのよ、向こうでやってみるし、まぁモジュラでなんとかするわ。」


「大丈夫ですか?形が違う事もありますよぉ、みましょうか?」


「ホント?みてみて。」


「あ、全然使ってないでしょ。ドライバもインストールされてないし、こんなのじゃ使えませんよ。やっときますね。」


数分後。


「できましたよ。」


「うぉぉぉ、助かったぁ、つくづく俺は運がいい。ギリギリで、いつもウマくいくのよ。ありがとう
♪」


「いつか溺れますよ、知りませんよ。」


「いやぁ、持つべきモノは友やね♪」


僕は本当の事を知ってる。

この人は運がつきまくってる人じゃない。
確かに投資でも儲けてるけど、それも運じゃない。
周りにも恵まれてるかもしれないけど、運じゃない。
今回の旅行だって、奥さんが許してくれてこそいけるし。


シライシと言う人柄が何もかもをギリギリで円く治めてる。

イヤミの無い人で、謙虚で自分をしっかり持っている人。
カッコいいから、とかで決して流されない人。
スピッツの「フェイクファー」がものすごく好きで、影響されて僕もよく聞いた。
ビートルズが好きで、全然ジャンル違いのLennyやプリンスも聞く。
2人でよくジャズバーへも行った。
いつの間にか責任者から、先輩どころか、同僚どころか、「友人」にまで降格したシライシ。
僕の中では異例の出世だよ。


大きな海を越えて、街の香りをたくさん吸収してきてください。

パリも、ヘルシンキも、ドュッセルドルフも、きっと待ってますよ。


Good luck & Sea ya!!

どうか気をつけて、体を壊さないように。


友人より