HERR*SOMMER-夏目

HERR*SOMMER-夏目

ドイツ詩の翻訳を主に。。。
バロック詩から現代詩まで、拙訳から。。。
詩と散文、& 散文と詩。
どうぞよろしく。)))

     これが知れ渡るや、城の買い手は訪れて来るも、ことごとく尻込みし、真夜中に幽霊が出るとなると 侯爵は打ち消そうと 毎晩 部屋に泊まりをり。 
  が、間もなくして黄昏時に 侯爵が まんじりともせず、夜の更(ふ)けるのを待っていると、2時を過ぎた時であったが得体のしれぬ音がしたかと思うと侯爵は立ち竦(すく)み、あくる日の朝方、蒼顔で夫人の部屋に来た。
 〈どうなさいました?〉と尋ねられると、落ち着かぬ目で 辺りを見回した侯爵はドアに鍵をかけ、幽霊の正体見た、といった。
夫人は驚き、ことの真実が漏れる前に見てみたい という。 
 こうして、あくる日の晩に夫妻は しもべを伴に、部屋に行ってみると怪しい音を耳にした。        
 さて、三日目の夜、真相を究(きわ)めようと部屋に入り蝋燭(ろうそく)に火を燈(とも)すと、侯爵は剣と拳銃を置き、11時も過ぎた頃に眠りについたが、やがて 真夜中になり藁の音が聞こえたかと思うや、目には見えぬが部屋の隅で杖にすがり  立ち上がる気配がした。
 と、夫人は身の毛もよだち、外に飛び出てしまった。。。 
 一方、侯爵は素早く剣を握り 何者じゃと叫び、声を荒げたが応えはなく、狂気のごとく空(くう)を切って廻り、即刻、夫人に逃げ出すよう馬車の用意をと告げた。 ・・        
   さて、この奇譚の結末は、どうなったであろう。;
   侯爵夫人が旅の荷造りをし、大急ぎで門の外に飛び出してみると、城は炎をあげているではないか。
 かくして、侯爵が還らぬ人となったことは今なお、語り伝えられているのである。       Kleist; 「ロカルノの女乞食」より
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*クライストと芥川龍之介:その相似性について:
*東西文学の比較: クライストと芥川龍之介:
 東西文学の比較文学の世界では、異なる文化背景を持つ作家たちが、驚くほど似た創作手法やテーマを採用していることがあるが、その一例にドイツのハインリヒ・フォン・クライストと日本の芥川龍之介がいる。
両者は、簡潔な文章と短篇で優れ、文学史に独特の足跡を残している。。。
クライストは、その鋭い心理描写と緊張感あふれるプロットで知られ、登場人物の内面的葛藤を巧みに表現。
一方、芥川龍之介もまた、短篇小説の名手として知られ、独自の文体と深い人間洞察で、日本文学におけるモダニズムの先駆とされている・・。
芥川の作品は、しばしば西洋文学との比較研究の対象となり、どのように外国の作家や作品に言及しているかが研究されているが、これは芥川が西洋の文学に深い関心を持ち、それを自身の創作に取り入れていたことを示しているといえる。      また、芥川とクライストの作品は、短篇という形式の中で、人間の心理を深く掘り下げる点で共通している。。

比較文学の観点から見ると、クライストと芥川の作品は、異なる文化圏から生まれながらも、人間の奥深い感情を描き出すという点で、類似性を持っており、彼らの作品は、短いながらも文学の力を示しているのである。。。
このように、東西の文学を比較することは、異なる文化的背景を持つ作家たちが、どのように同じ人間的なテーマを異なる視点から描き出しているかを理解する手助けとなり、クライストと芥川のような作家たちの作品を通じて、文学は国境を超えた普遍的な価値を持つことが明らかになるのである。。。
 
・クライストと芥川龍之介の比較:
 クライストと芥川は異なる文化圏に生まれながらも、相類似した特徴がある。
クライストはドイツの詩人、戯曲家で、その文体は簡潔を旨とし、緊張感と心理的な深みで知られている。
一方、芥川は日本の短編小説の名手として、その独特の文体と深い人間洞察で称賛されている。
クライストの作品には、戯曲「ペンテシレイア」があり、愛と戦争の間で引き裂かれる女王ペンテシレイアの悲劇が描かれているが、ここでは人間の内面の葛藤と情熱が鮮やかに描かれた。
一方、芥川は、しばしば 社会的な風刺や道徳的な問題を探求し、代表作「羅生門」では倫理的な退廃と生存のための闘争を描いて人間性の暗部を浮き彫りにした。
また、「河童」では、架空の河童の国を通じて人間社会の矛盾や愚かさを風刺した。。。
 クライストはドイツ文学史上ではロマン主義とリアリズムの交差点に位置し、芥川は日本文学におけるモダニズムの先駆けといえるが、両者とも夭折した作家であり、その作品の数は多いとは言えないが、芥川の作品としては「羅生門」や漱石に称賛されたデヴュー作「鼻」が挙げらてよく、「羅生門」では、飢饉と疫病に苦しむ京都を舞台に、倫理的な退廃と生存のための闘争を描かれ、人間性の暗部が浮き彫りにされているし、 一方、「鼻」では、見苦しいほど大きな鼻を持つ僧侶が、鼻を小さくしようと熱望する姿を通じて、人間の虚栄心や社会風刺が描かれた。。。
また、「蜘蛛の糸」は、地獄に落ちた男が天国への救いを求める物語で、人間のエゴイズムが探られ、「河童」では架空の河童の国を舞台にして、人間社会の矛盾や愚かさが風刺され、芥川の晩年の思索が反映されている。。

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 クライストは文学史上では、ゲーテとシラーの所謂、ドイツ古典主義 Klassikと ノヴァーリスやアイヒェンドルフなどの所謂、ドイツロマン主義の中間期に生きた作家で、短編の特徴はコンマの多い簡潔な文体で書かれ、情景描写や心理描写は避けられ、独特な熱気が秘められているが、短編集には「チリの地震」Der Erdweben in Chileや「聖ドミンゴ島の婚約」Die Verlobung in St. Domingo、「拾い子」などが挙げられてよいであろう。。。
一方、芥川龍之介は、日本の大正時代を代表する作家で、短編は鋭く人間の内面を浮き彫りにしているが、代表作には「羅生門」や「鼻」、「河童」などがある。。。
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こうして、クライストと芥川は、短編小説という形式を通じて、それぞれの文化圏で人間の本質や真実を簡潔な文体で探求しました。
彼らの作品は、時代を超えて多く愛され、文学の世界で重要な位置を占めているといえよう。>>>
文学は、異なる時代や文化をつなぐ架け橋であり、クライストと芥川の作品もその素晴らしい例なのである。
彼らの短編を読むことで、新たな発見もあろうし、文学の豊かさを再認識することもできるのである。。。>>
 
東西文学の比較文学: クライストと芥川龍之介:

東西の文学を横断する比較文学の世界では、異なる文化背景を持つ作家たちが驚くほど似た創作スタイルを持っていることがあり、ドイツのクライストと日本の芥川龍之介は、その類似点が顕著な例で、彼らは簡潔な文章で、短篇において優れた作品を残しているのである。。。
    *HERR*SOMMER-夏目の生成AI-活用術より