『ウィークエンド・シャッフル』『日本の首領』『闇の狩人』『死の棘』他、2022・2月 | レイモン大和屋の <シネ!ブラボー>

レイモン大和屋の <シネ!ブラボー>

映画感想、読書感想を備忘録として書いてます。
三浦しをん氏のエッセイを愛読しています。
記憶に残る映画と1本でも多く出会えることを願っています。

 鑑賞した作品の忘却度(記憶消失度合い)が進行して、4、5日前に観た作品の内容を思い出すことが困難になってきました。今回は同じような内容の映画を立て続けに観たことも影響していると思いますが、内容に則した感想を書くことが難しくなっているようなので、次回からは一本毎に鑑賞した当日又は翌日に簡単な感想を書き残そうと考えています。☆5が満点 ★は0.5点。

 

    

『ウィークエンド・シャッフル』(監督・中村幻児 原作・筒井康隆 脚本・中村幻児 吉本昌弘 1982年)

 

映画マニアには受けそうだが、作品としての一貫性がなく、面白おかしいコントを繋ぎ合わせたような印象をもった。秋吉久美子、秋川リサ、池波志乃の裸が堪能できるとはいえ、ハチャメチャさはあっても作り手の本物の狂気が感じられないのは残念。

中村幻児監督は本来的に真面目な監督で小川恵主演のピンク青春ものにこそ本領があるのでは。(☆☆☆★)

 

 

『まむしの兄弟 傷害恐喝十八犯』(監督・中島貞夫 脚本・佐治乾 蘇武道夫 1972年)

 

菅原文太、川地民夫のまむしの兄弟VS元祖まむしの兄弟 殿山泰司、北村英三の満州コンビ。三島ゆり子、女屋実和子のレギュラー女優陣に汐路章、丸平峰子の夫婦、年増エロ婆さん武智豊子、ヒロイン北林早苗。『反逆のメロディー』の名コンビ、佐治乾、蘇武道夫の脚本、中島貞夫の演出も快調。(☆☆☆☆★)

 

 

『蔵の中』(監督・高林陽一 原作・横溝正史 脚本・桂千穂 1981年)

 

肺結核で蔵の中に閉じこもっている姉と姉を慕い世話をする弟が近親相姦の関係になり、弟は望遠鏡で隣の家の情事を覗き見ることに快感を覚え、それを小説にしたためる。江戸川乱歩の『屋根裏の散歩者』を思い起こさせるような作品で姉を演じたニューハーフ、松原留美子は良かったが、弟役の山中康仁がミスキャスト

に感じられた。(★★★☆)

 

 

 

『暴力街』(監督・五社英雄 原案・五社英雄 脚本・掛札雅裕 中島信昭 1974年)

 

安藤昇、小林旭、菅原文太、丹波哲郎、四大スター共演の暴力映画は迫力がある。川村真樹の悪女的ヒロインが良く、ルリコンゴウインコを愛鳥する殺し屋山本昌平が絶品の演技。アグネス・チャンの『ひなげしの花』を愛聴する?菅原文太がチョイ役ながらおいしい所を持っていく。マイトガイ・旭復活、渋い安藤昇、

ケレンタップリの五社演出で魅せる。(☆☆☆☆★)

 

 

『闇の狩人』(監督・五社英雄 原作・池波正太郎 脚本・北沢直人 1979年)

 

原作者の池波正太郎は五社英雄の演出に否定的だったようだが、俳優陣の豪華さを含めた娯楽映画としての面白さは並みの映画では太刀打ちできない。鬼女のような松尾嘉代を見れたのは大収穫で、冒頭シーンで神崎愛のヌードのおまけが付いていた。五社英雄監督は<鶏小屋>に思い入れがあるのか、『暴力街』も本作もラストの決闘シーンが<鶏小屋>で穴のあいた板の上から小麦粒のようなものが落ちてくるも全く同じだった。千葉真一と仲代達矢のラストの対決は蛇足のように思え、仲代が岸恵子と無言のまま別れるシーンがラストでもよかったのでは。(☆☆☆☆★)

 

 

『やくざ戦争 日本の首領(ドン)』(監督・中島貞夫 原作・飯干晃一 脚本・高田宏治 1977年)(☆☆☆☆★)

 

『日本の首領(ドン) 野望篇』(監督・中島貞夫 原作・飯干晃一 脚本・高田宏治 1977年)(☆☆☆☆)

 

『日本の首領(ドン) 完結篇』(監督・中島貞夫 原作・飯干晃一 脚本・高田宏治 1978年)(☆☆☆☆★)

 

東映で製作された『日本の首領(ドン)』シリーズ三部作は、和製『ゴッドファーザー』を目指して制作され、第一作が大ヒットしたため2作目以降はほぼ高田宏治のオリジナル脚本で作られ、佐分利信が演じた佐倉一誠役は当初三国連太郎で計画されていたようだ。音楽は黛敏郎、伊部晴美が担当し、東京交響楽団の演奏というスケールの大きさ。その分第一作目は音楽が目立ちすぎというマイナス面も感じられた。二作目の『野望篇』は看護士役の金沢碧がインドネシアのスカルノ大統領夫人デヴィ夫人がモデル、民政党幹事長平山英格(金子信雄)は田中角栄をモデルにして描かれている。三作目の『完結篇』は撮影時佐分利信の体調が悪く佐分利中心の話しが書けず三船敏郎が主演になったようだ。三作目は佐分利信、三船敏郎、片岡千恵蔵の腹の探り合いの駆け引きも見所だが、ヒロインを演じる大谷直子の変身振りが一番の見せ場になっている。二作目に登場するアラカン(嵐寛寿郎)さんも迫力満点の演技を見せる。

 

 

『湯殿山麓 呪い村』(監督・池田敏春 原作・山村正夫 脚本・荒井晴彦 佐伯俊道 1984年)

 

冒頭シーンで粗い粒子のモノクロ画面に今井健二、深江章喜、高橋明が次々にアップで登場し期待を抱かせ、中川梨絵や青木義朗も出て来て中盤までは面白かったが、後半に入るとテレビのサスペンスドラマのようになって興ざめ。謎解きのための謎解きに終始して何とも勿体ない。(☆☆☆★)

 

 

『死の棘』(監督・脚本 小栗康平 原作・島尾敏雄 1990年)

 

夫(岸部一徳)の浮気が原因で精神を病む妻(松坂慶子)と幼い子供たち。松坂慶子と岸部一徳の狂気の演技。松坂慶子と木内みどりの凄まじい取っ組み合い。シンプルで本質的な映画の原点。(☆☆☆☆☆)