本作鑑賞後、公式サイトに掲載された著名人のコメント、「佐村河内事件(騒動)」に関する情報を読んでいくうちに、一体誰の言っていることが真実なのか?という問い自体、意味はないのではと感じてしまった。世の中に嘘をつかない人なんていますか?映画の中で、核心的な部分について問われた時の佐村河内氏の長い沈黙。映画の取材を逃げ回っているように見える新垣隆氏や「文春」に記事を書いたライターの神山典士氏。映画のタイトルが意味する「偽物」「偽造」「見せかけ」「振り」「でっちあげ」「装う」。まさにこの作品そのものが「Fake」。
映画監督の西川美和は「試写会場は笑いに包まれていた。皆、ちょっとだけ大きな声で笑っている気がした。私もそうだ~」とコメントしている。そうか、笑ってもいい映画だったのか。
佐村河内氏の経歴を読むと、高校(広島の崇徳高校)時代は演劇部、卒業後東映京都撮影所の俳優養成所に通いながら、大部屋俳優としての生活を送り、のちに「悪役商会」に入ると言って東京へ出てきたそうだ。そうだったのか・・・。いや、いや。
「悪役商会」で八名信夫とコンビを組んでいる俳優佐村河内氏も見たかった。佐村河内氏の「虚言癖」も指摘されている。何だか森達也が仕組んだ壮大な「Fake」にすっかり騙されたような気がしてくる。そうなると佐村河内氏の奥様も相当ハイレベルな女優さんか。ライターの武田砂鉄氏は、こう、コメントしている。「凝視しないとあれこれ見逃すけれど、凝視したって見えないものは見えない。たくさんのことが分かるけど、どこまで分かったのかがちっとも分からない」。まったく同感。
「~圧倒的なカタルシスと共に映画は終わるが~」(水道橋博士)。この映画にカタルシスなんて何処にもないでしょ(笑)。「圧倒的モヤモヤ感に包まれて終わる、フェイク・ドキュメンタリーの傑作ー真実は猫のみぞ知るー(レイモン大和屋)」☆☆☆☆★(☆5つが満点 4つ以上おすすめ)
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