明け方

左足ふくらはぎがつりました


「ぎゃ―」


とりあえず

痛みが治まるまで叫びました


たまにあります


寝ていて

無意識に伸びをした時に

起きやすい気がします


あの痛みは

足指を掴めない限り

堪えるしかありません


夫が居た頃


1階で寝ている夫に


「ねぇ…昨日の夜の私の叫び声聞こえた?」


びっくりしたかな…と思い

その度に確認していました


「いやぁ…全然…そんなに痛かったと?」


経験のない夫の返事はいつも同じでした


足がつるのは

カリウム不足…などという話を

聞いたことがあります


時々こうなる私は

運動不足の上に

栄養バランスがとれてないんだな…


そんな風に思っていました


足がつったことさえない夫は

怪我をしたことはあっても

身体は健康そのもの…


夫自身も

自分は病気とは無縁だと思っていたはずです


そんな夫に

あんな突然の告知は

あまりにも残酷なことでした


夜中に足がつって

いくら叫んでも

寝ている夫を起こしたり

驚かせることは絶対にありません


同時に

どんなに痛かったか

朝から大袈裟に

時に面白おかしく

報告する相手もいません


せめて

お仏壇の夫に…


「あのね…今朝方ね…」


呟きながら

悲しくなりました


私達夫婦の

ささやかな日常は

何故こんなにも早く奪われてしまったの…?


なにも贅沢なことは

望んでいなかったのに…


仲良さそうに

犬の散歩をしている

同年代のご夫婦を見かけたりすると

思わず唇を噛んでしまいます


私達

何がいけなかったんだろうね…


皆それぞれ

いろんなことを抱えているのは

十分過ぎるほどわかっています


けれど

今隣に夫が居ない…

我が家に夫の姿が見えない…


そのことが

私は悲しいのです


それ以上でも以下でもない…


何を言われても

変わらないその事実が辛いのです


その寂しさや苦悩もまた

人それぞれ…


簡単に

わかるようなことでもなく


比較できるものでもないと思います


他愛ない会話…


もう2度とできないんだなぁ…


切なさで


朝から胸が一杯になりました