庭の紅葉の葉が

完全に芽吹きました


今日は

とても天気がいいので

眩しいほど

新緑がキラキラとして見えます


ふと思い出しました


余命を告げられた今頃


夫は

寝たり起きたりの日々でした


布団を敷いた和室から

たまに起きてきて座るソファーから


いつもぼんやりと庭を眺めていました


自分の身体は日に日に弱っていくのに

移り変わる季節の華やかな彩りを目の当たりにする

その胸中の痛みはどれほどのものだったのか…


隣に並んで

一緒に見ていた私は

そんな夫の表情を読み取るのが怖くて


正面から向き合うのを

避けていました


同じ方向を見て

庭を眺めている振りをしました


それでも

苦しいほど

夫の悲痛な心の叫びは感じていました


その度に

夫から見えない

左側の目から涙がこぼれました


でも

泣き顔は見せたくありませんでした


嘆き悲しむのを

じっと我慢して

運命を受け入れようとしている夫を

困らせたくはなかった…


その姿勢を

最期まで貫き通した夫は

どんなに強い人だったのかと思います


けれど今

あの頃の

夫の胸の内を想うと

涙が出てきます


もっと

夫の手を取って

気持ちを聞いてあげればよかった…


本当は

辛い思いを

私に受け止めてほしかったのでは…


私の心の弱さを

誰よりも知っている人だったから

何も言えなかったのかもしれない…


ごめんね…


伝えたくても

届かない所に逝ってしまった夫に

今さら詫びても仕方ないけれど…


1人で迎える2年目の春なのに


去年よりも

ずっと苦しい…


1月後半から

亡くなる6月半ばまで


毎日朝から晩まで一緒に居た

最期の貴重な約半年間


忘れようとも

忘れられず…


あの時の


辛さを堪えて

2人して笑っていた

幸せと切なさが入り交じった日々が

春の空気と重なって

甦ってきます


花が咲き始め

浮き足立つようなこの季節に

まだまだ気持ちがついていけそうにありません…


いつになったら…


いつかは…


そう思いながら

時が過ぎていけばいい…


無理に明るくなろうとせず


季節の移り変わりを

目で追えるだけでも

今は十分だと思います