中国が2037年に米国を追い抜いて世界一の経済大国となり、先進国に追い付く新興国・地域が、世界の国内総生産(GDP)倍増をけん引すると英シンクタンクの経済ビジネス・リサーチ・センター(CEBR)が予想した。26日に公表した長期予測によれば、イタリアは38年までに世界のGDPトップ10から脱落し、代わりに韓国がトップ10入り。米国とドイツが共に順位を落とす一方、インドが3位、ブラジルが8位となり、日本は23年と同じ世界4位の経済大国にとどまる見込みだ。- ブルームバーグ

 

日本は円安の影響もあり、2023年のGDPが世界第4位との予測もあり、悲観的だが、正直、ドイツ経済もエネルギー政策の失敗でボロボロである。日本はインフレもマイルドで、欧米先進国と比較して、経済状態はそこまで悲惨ではない。CEBRの予測では、2038年において日本はインドに抜かれるものの、世界第4位の経済大国であるので、そこまで悲観するような状態ではない。日本もインフレで苦しいが、欧米はよりインフレに苦しんでいる。

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GDPが世界4位になったという点も悲観的に報道されるが、中国・インドも人口は人口が10憶人以上なので、少し経済成長するだけで、日本より経済力で勝るのは別に不思議な話ではない。人口が多ければ経済規模は大きくなるのは当然である。中国は日本のGDPの2倍だが、一人当たりの豊かさでは日本が3倍ほど中国より豊かだ。おまけに中国のGDPは水増しされており、実際のGDPは4割程度低いとの研究結果もある(LINK、もとの論文はこちらLINK)。それに台湾有事が起きれば、現在の中国の政治体制が維持できるとも限らない。中国の政治経済は問題含みである。

 

日本は一人当たりGDPも低迷しており、これを悲嘆する声も多いが、それは政策的に円安誘導しているからである。1ドル=100円で計算すれば、ドイツ・フランス並みなので別に貧しくとも何ともない。日本の一人当たりGDPは円安の現在でも3万ドルを超えており、これは世界的には富裕国の水準である。なお、東京都心3区などに限れば、一人当たりGDPは、世界有数の富裕国のシンガポールなどとも大差ない水準である。来年にも日銀は政策変更すると言われているが、円高にふれれば、日本の一人当たりGDPは上昇するし、国家全体の経済力も世界第3位に返り咲く。経済統計は水物なのだ。

 

それにしても日本の記事はレベルが低い。海外の研究結果をこうでしたとただ報道するだけ。結果的に海外の報道の日本語訳の方が分析も充実しており、データも豊富。これは日本のメディアが若手に記事を書かせて、一定年齢上は予算管理などをする管理職になってしまい、専門家が育たないためだ。結果的に日本のメディアは専門性の高い官僚やら学者の説明を垂れ流す装置となっている。政権批判などもあるがレベルが低い。とはいえ、これからも大きくメディアは変わらないだろう。政治経済は成熟しないが、それでも治安が良く、ほどよく豊かなユーラシア大陸の隅っこの国として存続していくのだろう。