10月25日、チャールズ国王の任命を受けて英国の首相に就任するスナク元財務相。スナク氏は、インド系ヒンズー教徒で、英国初のアジア系首相が誕生する。スナク氏は、1960年代に英国に移住したインド系アフリカ移民の両親を持つ。父は医師、母は薬剤師。本人は名門全寮制校ウィンチェスター・カレッジ、オックスフォード大学で学んだ英才だ。- FLASH

 

 

トラス英首相がたった45日で辞任し、後任は誰かと思ったらインド系のスナク氏となった。イギリス初のアジア系の首相である。それにしてもこのスナク氏は奥さんがインフォシス創業者の令嬢で、夫婦の資産は1200億を超え、年間の配当収入だけで20億円近いというから驚かされる富豪ぶりである。英国王の個人資産は700~800億円程度と見積もられるので、英国王よりもお金持ちである。ちなみに、トランプ前米大統領は総資産2800億円というから、欧米は富豪のレベルが桁違いである。

 

とはいえ、日本も富裕層の数はそれなりに多く、$50~100Mの資産を持つ人の数だと世界5位の人数を誇る。ただ$100~500Mだと世界8位、$500M以上だと世界15位に落ちていく(LINK)。ただ日本は世界第3位の経済大国で、人口世界11位の割りには超大富豪(資産約750億円以上)は88人に過ぎず、韓国はおろか小国の台湾・スイス・香港よりも少なく、人口比でみると異様に少ない。それだけ格差が小さいということだが、日本の場合、非正規雇用などを中心とした低所得層の拡大も深刻で、超富裕層は少ないが、低所得層が拡大し縮小均衡し続けている点が懸念点である。

 

さて、スナク氏の話に戻るが、彼はオックスフォード大学卒で、5人連続、オックスフォード大学出身者が首相を務めている。ただ報道レベルだが、スナク氏は「労働者階級の友人はいない」というほど庶民感覚がかけ離れている。もともとゴールドマンサックスに勤務し、さらにその後はヘッジファンド勤務の金融出身であって、果たして庶民に寄り添う政策が出来るのかは未知数である。

 

それにしてももともとインドは英国の植民地だったが、すでに国全体の経済規模ではインドはイギリスを追い抜いた。さらにイギリス首相がインド系となり、宗主国と旧植民地国の逆転現象が起きている。すでにポルトガルとブラジルも、経済規模で逆転しており、スペインもメキシコなどの旧植民地にどんどん逆転されてきている。産業革命以後に欧州が覇権を握り、その後、米国に移行したが、21世紀はアジアの世紀である。2030年には世界の四大経済大国は米国・中国・インド・日本になり、4か国中3か国はアジアの国となる。米国もすでに新出生児の過半数が有色人種だから白人優位社会は終わりを告げつつある。もちろん、一人当たりGDPではまだまだ欧米優位であるが、世界経済での存在感はどんどん低下していく。すでにアメリカのIT大手の経営陣もインド系がかなり目立っている。スナク氏の英国首相就任は、パラダイムシフトを感じさせる。