上智大学の非常勤講師への賃金不払いを巡り、大学側が労働基準法に基づく是正勧告に応じていない問題で、非常勤講師側は31日、大学を経営する学校法人上智学院などを労基法違反(賃金不払い)の疑いで東京労働局中央労働基準監督署に刑事告発した。  非常勤講師が加盟する労働組合「首都圏大学非常勤講師組合」が、東京都内で記者会見を開いて明らかにした。労働組合の佐々木信吾書記長が告発人となり、上智学院のほかに理事長ら6人を告発した。- 毎日新聞

 

上智大の非常勤講師の女性が2020~21年に、オンライン授業の教材の作成などで働いた計約105時間分の賃金約75万円を支払わなかった件について、上智大側は、不払い分の賃金支払いを求める是正勧告を中央労働基準監督署から出されているが、大学側は勧告書の受け取りを拒否(!?)。その後も是正に応じないという。そこで、被害者側が刑事告発に踏み切ったという流れらしい。ちなみに、是正勧告は法律違反を前提とした行政指導である。

 

「名のある大学が、命と健康を守る労働基準法にもとづく是正勧告を無視をした。無視していいんだと思う使用者もいるはず。それがまかり通ってはいけない。大学の法学部の人たちはなんてことをしたんだと思っているはず。労基署の是正勧告は機能しなければいけません」(佐々木さん) 

(略)

労基署の担当者と話した際、大学側が是正勧告に従わないことについて「中小企業が雲隠れすることはあるが、大企業や有名な大学では聞いたことがない」という趣旨のことを言われたそうだ。

- 弁護士ドットコムニュース

 

別の記事で告発者のコメントが載っているが、その通りだなと思う。労基署の是正勧告を拒否というのはなかなかのパワーワードである。普通の企業であれば、火消しに躍起になるところだが、受け取りまで拒否するあたりが、大学側の傲慢さが出ている。刑事告発までされているので火に油を注いでおり、正直、アホというほかない。「一罰百戒」で刑事罰を下されればいいと思う。少しは大学側の意識も変わるだろう。

 

当方のゼミの先生が元々上智大で教えていたそうだが、あまりにも待遇が酷いので辞めたという話をしていた。上智大はカトリックで清貧の精神で待遇が良くないらしい。上智大は信仰の優先度が高く、カトリック推薦などで入学者の6割近くをAO推薦で入れているので、意外かもしれないが一般入試で入る人は半数未満である。

 

大学に限らず日本は専門家を安く使いすぎである。結果的に大学院の人気は落ち日本全体の知のレベルの低下になっている。まさか教育する側の教育機関が(おまけに法学部を擁している大学が)、まさか労基署の是正勧告を無視してお咎めなしとなれば悪しき前例にもなりかねない。本件は徹底的に追及すべきである。

 

だいたい日本の教育現場はブラック労働が蔓延しており、まともな人はまず目指さない。行く当てのない「でもしか教師」の巣窟である。大学の教員も、明らかに「民間企業に行けなかったんだろうな」という哀愁を漂わせている人が多い。おまけにそれでいて徒弟制度よろしく有名教授の弟子だからと、本人はポンコツなのに、論文もろくに書かずにのさばっている人も多い。

 

本件を切り口に大学教員のブラック労働や大学の在り方についても見直されると良いと思う。