財団法人森記念財団は、「世界の都市総合力ランキング(2012年版)」を発表した。これは、世界の主要都市について森記念財団独自の調査を行い、総合力を評価し順位付けする取り組みである。調 査方法として、世界を代表する主要40都市を選定し、都市の力を表す主要な6分野(「経済」「研究・開発」「文化・交流」「居住」「環境」「交通・アクセ ス」)における70の指標に基づいて評価を行う。さらに現代の都市活動を牽引する4つのグローバルアクター(「経営者」「研究者」「アーティスト」「観光 客」)に都市の「生活者」を加えた合計5つのアクターに基づき、これらのアクターのニーズと都市の指標を重ねたマトリックスから複眼的にアクター別の都市 の魅力を評価する。

1 ロンドン

2 ニューヨーク

3 パリ

4 東京

5 シンガポール

6 ソウル

7 アムステルダム

8 ベルリン

9 香港

10 ウィーン

ニュースソース:http://www.mori-m-foundation.or.jp/research/project/6/index.shtml


 トップのロンドン・NY・パリ・東京の4都市がほかの都市を大きく引き離しているという。全体的な傾向としてはアジア都市の躍進と、北米都市の凋落が目立つという。去年の報告だと、シンガポールが得点を上げており、最短で7年で東京に追いつき、東京はトップ4から外れる可能性もあるらしい。東京のネックは自然環境、宿泊環境、住居コストなどという。一方、強みは経済や研究開発分野などだという。

 こういう調査をみても分かるように、世界はフラット化すると言われたこともあったが、実は世界はどんどんスパイキー化している。国を超えた都市競争が激化する中、東京は一層魅力ある都市づくりが求められる。特にアジア諸国の成長で北京やソウル、シンガポールなどとの競争が激化しており、近い将来、東京がトップ都市から転落する可能性がある。都市競争に敗れ国全体が貧しくなる前に規制緩和し都市競争力をつけるべきだろう。

 ちなみに、大阪は上の調査で17位、福岡は33位だった。橋本氏が大阪都構想を掲げているが、どうなるのか見物だ。不思議なのが名古屋がランクしていないことだ。もはや国内市場に甘んじるのではなく、地方都市も国際競争に参加していくべきだろう。それだけ日本の都市は潜在的な競争力を持っている。

クリエイティブ都市論―創造性は居心地のよい場所を求める/ダイヤモンド社