アメリカで生まれた1歳未満の子供に占める白人の割合が、半数を下回ったそうだ。アメリカ建国以来はじめての出来事だという。50.4%が黒人・ヒスパニック・アジア系の子供だそうだ。アメリカは移民の国というが、ヨーロッパ系からの移民が減少し、南米・アジア系の移民が増加しているのである。白人の危機感というのが最近のティーパーティーなどの保守層の活動を刺激しているのだろう。しかし、こうした移民を幅広く受け入れる懐の深さがアメリカの多様性を生み、新しい価値を次々に創出する活力でもあるのだろう。日本は人口減少社会に突入したが、移民受け入れに消極的だ。アメリカの人口は今後も増え続け、あと数十年で4億人を突破すると予測されているが、日本は2050年には9000万人を切る。少子高齢化とあいまって日本の社会保障は危機的だ。日本も移民の受け入れを検討すべき時期かもしれない。

オバマ大統領が同性愛者の婚姻を容認したのも、ヨーロッパ系白人が減少したことで保守層の勢力が弱まったことが影響しているのだろう。2009年に40%程度だった同性婚賛成派は、2012年に50%に増加し社会認識の変容が伺える。NYも去年同成婚を容認したが、同性結婚式などが開かれ、3年で300億円程度の経済効果があったそうだ。フランスでもオランド大統領が同性婚をサポートすると明言している(同氏はパートナーと事実婚の関係)。自由な婚姻形態が徐々に先進国に広がっているようだ。それにしてもカトリックが弱体化したとはいえ、フランスで同性婚容認は興味深いことだ(カトリックの独善が時代を追うごとに崩壊していく!)。リチャード・フロリダによると同性愛者の多い都市は経済的に発展していることが多いのだという。同性愛者は創造的な活動に従事していることが多く、新しい価値を生み出すことに貢献しているということが考えられる。また、同性愛者を受け入れる社会というのは異質なものを受け入れる土壌があり、社会の変化を柔軟に受け入れ、経済発展するということも考えられる。保守的で硬直的な社会ほど時代の変化に対応できずに廃れていく。

ちなみに、同性愛をここまでネガティブなイメージにしたのはカトリックだ。聖書に同性愛を禁じる文言があることから宗教的罪と意識されるようになったのだ。なお、日本は江戸時代ぐらいまでは性愛はかなり自由で、いまでこそ一夫一妻をとっているが明治~大正ぐらいまではお妾さんも珍しくなかった。「藁の上からの養子」というように養子もかなり柔軟だったようだ。同性愛の否定などはカトリックの思想で、「同性愛=悪」というのは、日本が近代化のために西欧法を輸入した時にそのまま移植したために根付いた意識だ。同性婚などというと日本の伝統に反するとか発狂する人がいるが、そんなことはない。日本は法の革新が遅く、非嫡出子への相続分2分の1という差別も、最近やっと高裁レベルで違憲判決が出るようになったに過ぎない。もう少し時代に対応して変革していくことが必要かもしれない。日本はもっと自由を容認する制度改革が必要だろう。