国内の原発50基のうち、唯一稼働している北海道電力泊原発3号機(北海道泊村)が5日深夜に発電を停止し、日本は42年ぶりに「原発ゼロ」の状態に入るそうだ。関西電力管内は夏に大幅な電力不足が心配されており、計画停電も現実味を帯びてきている。原発反対派は「人の命を守れ」という。しかし、火力発電所は有害物質をまき散らすし、おまけに燃料費が高騰しているため電気料金の値上げは不可避だ。反原発派は原発で被害を受けた人が可哀想という感情論で動いている場合が多いように思えるが、火力発電で大気汚染が促進され人が病気になったり、低所得者層に電気料金の負担がのしかかるのは可哀想ではないのだろうか?水力発電はというと、ダム建設の土地の確保が困難な上に自然を破壊し、おまけに数十年で土砂堆積で使用できなくなる。ダムの下に沈んだ村もいくつもあるが、反原発派からして、引越しを余儀なくされた彼らは可哀想ではないのだろうか?このまま原発が停止し、計画停電となれば経済活動に不利益が生じる。この問題を反原発派はどのように解決しようというのか?節電しようというかもしれないが、工場・大学・企業などの大口需要の節電には限界がある。原発はコストが安く、供給量のコントロールも容易だ。

反原発派は完全な安全を求めるが、リスクはゼロにならない。問題はいかにリスクを軽減し、リスクが具体化した場合にコントロールするかである。自動車事故で年間5000人が亡くなっているが、完全安全を唱える人は自動車の廃止も訴えるのか?それはしないだろう。なぜなら、自動車を廃止することで生じる不利益が、自動車を利用することによって生み出される利益を上回るからだ。究極的にはこの利益と不利益の比較の問題なのである。その観点から、原発はもっとも合理的な選択だろう。原発が稼働されない状態が続き電気料金が値上げされれば、商品価格に跳ね返るだろうし、工場を海外に移転するインセンティブともなりうる。工場が海外に移転すれば産業が空洞化するし、失業が増えるし、失業手当の給付額も増え財政負担も増える。もちろん、電力会社の対応等の不備は指摘されるが、原発再開の必要性が減じるわけではない。太陽光発電などのクリーンエネルギーを推進するのは結構だが、普及には時間がかかる。ちなみに、クリーンエネルギー先進国のドイツの電気料金は日本の1.6倍以上だ。技術が発展し、リスクがほぼゼロで、コストも安く、安定供給できるエネルギーが発明されたらそちらに移行すればいいが、現在ではそんなエネルギーはない。当面は、原発再開が最も現実的な選択肢なのである。