新幹線が新しく3区間を敷設することになったが、着工の賛否は両論だ。産経新聞の今日の朝刊によると、着工賛成49%・反対51%とほぼ半々。経済効果については、NOが54%とやや否定的な意見が多い。実際、新幹線が開通したことで在来線が廃止され地域住民は不便になったという意見もある。在来線と新幹線がうまく共存しているのは山陽・東海だけだ。またこれ以上新幹線を敷設すると赤字経営に転落するのではないかという危惧もある。しかし、人が動けば金も動く。新幹線の開通で地方の経済が活性化するという期待はある。また、公共交通機関の未発達が原因か、太平洋側に人口が偏り過ぎという指摘もある。金沢に新幹線が開通すれば間違いなく日本海側の基軸都市になるだろう(※)。

今は公共事業悪玉論が優勢だが、個人的な意見としては、長期的にはやはり新幹線の延長は重要だと思う。それに、実際、いまのところ地方で発展している都市は新幹線沿い(※)。とはいえ、あと40年もすれば日本の総人口は3000万人も減少する。交通網の整備だけで経済が活性化するわけではないし、特に大都市への人口流入が加速する中、いまさら金沢・富山などに新幹線を通してどれほどの経済効果があるのかも不透明だ。とはいえ、交通網の格差解消を放置はしておけない。交通が便利になれば潜在的な観光客の掘り起こしにもなるだろうし、海外からの旅行客の観光も容易になる。可能性という意味で新幹線の延長には賛成だ。

(※)今では日本海側の都市は全般的に凋落しているが、昔は大都市として名を馳せた。特に金沢は明治期、日本でも5番目の規模を誇る大都市だった。
≪明治19年(1886年)の都市の人口順位≫(隣が現在の順位)
1東京→1位
2大阪→3位
3京都→7位
4名古屋→4位
5金沢→42位
6横浜→2位

10徳島→87位
11和歌山→64位
12富山→49位
13函館→81位

21福井→85位
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30鳥取→116位
→ 日本海側の都市の著しい人口減少が明らか。また、和歌山などアクセスの悪い地域の都市の凋落が著しい。新幹線の延長によって人口偏在の解消に役立つことと期待できる。