G20は欧州中央金融安定化基金への資金積増しを見送り、イタリアが窮地に追い込まれている。イタリアの10年金利が6.4%を突破。アイルランドやポルトガルがIMFなどに経済的な支援を求めたのと同水準だ。欧州中央銀行(ECB)はイタリアの国債を購入しているが、ほとんど役に立たなかった。イタリアはIMFの監視を受け入れているが、ベルルスコーニ首相はどこ吹く風。イタリアは輸出主導の経済だが、金融危機から13%も輸出が減少し、変わりに失業率が上昇している。ギリシャがデフォルト危機に陥っているが、イタリアはユーロ圏第3位のGDPを誇り、世界でも第8位の経済大国である。イタリアがデフォルト陥ったら世界経済への影響ははかり知れない。こんなユーロの危機であるが、新興国の雄である中国は及び腰のまま。アメリカも自己の経済対策で手一杯の様子。欧州の経済危機から、信用度の高い「円」に逃げる投資家が増加し、一層の円高が起こりそうだ。グローバル経済が発展するにしたがい、日本にとっても欧州の経済問題は対岸の火事ではないのである。

それにしても、「驕れる者も久しからず」とはまさにこのこと。イタリアといえばかつてローマがあり、中世においても地中海貿易で栄えた国家。そのイタリアに経済危機が飛び火するとは。それをいえばイギリスもかつては大英帝国として世界の覇権国として君臨していたのに、もはや日本の40%程度のGDPしかない。日本も例外ではなく、今後、新興国が次々と台頭してくればその国際的な地位の低下は避けられない。そういえば、最近フォーブスが世界で影響力を持つ人物ランキングを発表していたが、経済力世界3位の日本のトップである野田総理大臣はなんと62位。日銀総裁、まして企業の社長より下にランクされてしまった。大国と呼ばれる国のトップが軒並みトップ20にランクする中、日本のトップが62位というのは甚だ問題だろう。ころころと首相が変わる日本の政権では、国際的な影響力低下は必至だ。日本が現在のギリシャのようにならないように願うばかりである。

「World's Most Powerful People」

1位オバマ(アメリカ大統領)
2位プーチン(ロシア大統領)
3位胡錦涛(中国国家主席)
4位メルケル(ドイツ首相)
10位キャメロン(イギリス首相)
13位サルコジ(フランス大統領)
19位シン(インド首相)

36位白川方明(日本銀行総裁)

60位孫正義(ソフトバンク社長)
62位野田首相(日本首相)

※フォーブスHP:http://www.forbes.com/powerful-people/#p_1_s_a0_All%20countries_All%20categories_