言語:日本語、公開:1943(昭和18)年、製作国:日本、
時間:91分、監督:渡辺邦男、出演者:原節子、高田稔、小高まさる
戦時中の昭和18年に公開された、予科練生の生活を描いた戦争映画です。実際にこの映画は予科練生募集のために製作され、予科練の歌で知られる『若鷲の歌』が大ヒットしました。「貴様と俺とは同期の桜♪」という例の有名な歌です。
姉役に当時23歳の原節子さん(中央)が出演しています。右手が弟の村松克郎(小高まさる)。村松家では「倶楽部」(クラブ)と称して、予科練生が休日に来てたむろできる場所を提供しています。
元気な予科練生たちを見て姉(右の原節子)は病弱な弟、克郎(左)を叱咤激励し、最後に予科練に入学させ、家族も克郎の成長に喜ぶという話です。
この弟は16歳なのですが、小柄で今の中学生くらいにしか見えません。プロパガンダなので仕方がないですが、姉が弟の尻を叩いて強引に予科練に入学させようというのが、心情的に納得しがたいです。やはり昭和18年の価値観にはついていけない・・・。
私自身は原節子さんが好きで、他の小津監督での出演映画なども見ていますが、あまりのしつこい予科練勧誘に、最後には姉貴、あんたが予科練入れよ!と思ってしまいました。(姉貴より弟の方が背も低いのに・・・)
原さんはただ演技を忠実に行っているだけなのだから、仕方がないんですけどね。
昭和18年のこの時期にまだ特攻は本格的には始まっていませんが、映画の中で爆弾を抱えた日本機が敵艦に突っ込んだというニュースを教官が称賛する場面が出てきます。
物資不足と特攻・・・洞察力の鋭い人間なら、これを見て将来、予科練卒業後にどんな運命が待ち受けているか予見したのかもしれません。
この映画を見て10代の子供が予科練のカッコよさに憧れ入学者が続出したのでは?そして未成年者を戦場に行かせる一翼を担ったのかと思うと、罪作りな映画だったと思います。
しかし一方では予科練生活を知る上での現存する貴重なフィルムともなっています。
ここから予科練生の日常をご紹介します。
操縦かんを握ると角度は動くが前へ進まない模型飛行機で飛行訓練中。「鳩ぽっぽ」とも呼ばれていました。丁度スーパーの端にあるような子供用のコインを入れて動く乗り物みたいです。
鉄棒で大車輪。他にも曲芸師訓練まがいなことをやっていました。
映画の中で教官(中央)は予科練生に懇切丁寧に優しく教えていますが、実際はどうだったかというと・・・↓↓↓
付録インタビューで、元予科練生の方のコメント。やはり映画と現実は激しく違います。
予科練のあった場所は現在自衛隊で使われているそうです。これは昭和 10年に建てられた士官宿舎。一部の戦前の建物が今もなお現存しています。
■映画『決戦の大空へ』より
(『若鷲の歌』あり)(10:33)
http://www.youtube.com/watch?v=okmlkw935Zw
キーワード:海軍、土浦海軍航空隊予科練、「若鷲の歌」、昭和18年公開、国策映画