
戦争映画でも空母や飛行場から飛び立つ飛行機を、後に残る人間が見送ったりする際に見られる挨拶です。これは何かにつけ、別れの儀式の時にも行われていました。
軍艦で下士官兵が転勤する際に、当直将校は、
「手空き総員見送りの位置につけ」
と号令をかけ、艦内に呼びかけます。そして手の空いている者が転勤者の見送りをします。ところが士官になると、
「総員見送りの位置につけ」
と、総員で見送りすることになります。下士官兵と士官の間では、これだけの差がありました。
転勤者が内火艇に乗り込むと、
「帽ふれーッ!」
の号令がかかります。全員がハンドレールに沿って帽子を振り、退艦者は内火艇の手すりにつかまって右手で帽子を振ります。そして
「帽もとへ」
でお別れの儀式は終わります。
下級兵いじめのひどかった上官が退官する場合は、相手の退艦者に聞こえない範囲で
「○○兵曹のばかやろう!」
「○○一水おぼえてろ!」
などの合唱が上がったそうです。

一番左の人物(赤の矢印)は飛行帽を被っているためか、帽子は持たず空の右手で腕だけクルクルと回していました。

帽振れの振り方は時計と逆回りに、帽子のツバを持って360度腕を回転させて回しています。
動画を見たら、「帽振れ」は現在の海上自衛隊にも引き継がれているようです。
■護衛艦はたかぜ体験航海:帽振れ(時間:6秒)
http://www.youtube.com/watch?v=cY50ZTuomgg