陸軍と海軍では呼称にも違いがありました。
例えば、みずからの自称を陸軍では「自分」と言っていましたが、海軍では「私」と言いました。
如月:「私も近頃・・・そう考えるようになった」
『ジパング』でも海軍中尉の如月は、自分のことをやはり「私」と呼んでいます。(ジパング・26巻)
瓜生:「私は思っている」(ジパング・13巻)
しかし瓜生・陸軍大佐も「私」と言っています。本来ならば「自分は思っている」と言うべきところですが、『ジパング』の中ではさすがに呼称まで徹底していなかったようです。
次に階級の呼び方ですが、陸軍では、上級者に対しては必ず「殿」を付けて呼びました。例えば「兵長殿」、「大尉殿」という具合です。
ところが海軍では「殿」という呼び方は使わず、「××中尉」、「××少佐」などと呼びます。
兵曹長:「中尉こそ・・・今時第一種軍装なんて」(ジパング・22巻)
海軍のルール通り、階級が下級者である兵曹長(右)が、階級が上の如月中尉(左)を「中尉」と呼んでいます。
しかし陸軍の方では、やはり呼び名まで注意が行き届いていなかったようです。
右は陸軍・瓜生大佐の部下:「以外ですな。派手な式典などお嫌いの大佐自ら・・・」
左は顔がはっきりしませんが瓜生大佐。(ジパング・13巻)
本来なら瓜生大佐の部下は「以外ですな。派手な式典などお嫌いの大佐殿自ら・・・」と呼ばなければいけなかったわけです。
もっとも以上のような内容を書いても、別に『ジパング』の話を粗探ししようという気持ちは毛頭ありません。
当時の陸海軍は、実際にはこのような呼び方をしていたということをご紹介するのが目的です。