雪崩現象を起こす日本人の性質 | 太平洋戦争史と心霊世界

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海軍を中心とした15年戦争史、自衛隊、霊界通信『シルバーバーチの霊訓』、
自身の病気(炎症性乳がん)について書いています。


 前回に続き、「山本五十六」の著者、半藤一利氏の観察はさらに続き、日本人の性質にまで踏み込んでいます。的をえたこの考察も面白いので掲載します。


半藤一利 
「山本五十六」の著者、半藤一利


 「戦前の昭和史においては、危機における日本人はある一つの観念にとらわれると、雪崩現象を起こしたかのように一つに集中して突っ走る。ほかの状況を考えてみようとしない傾向をしばしば示した。

 

そして、自分にとって望ましい目標を設定し、上手な作文で壮大な空中楼閣を描きだすのを得意技とした。物事は自分の希望するように動くと決めてかかるのである。(ミッドウェー海戦での)南雲司令部がそれであった。

 

 いや、ほかにも山ほどある。

 

 ガダルカナル島に米軍上陸という大事に直面したときの大本営がそれであった。頭から誰もが『これは偵察上陸にすぎない。鎧袖一触(がいしゅういっしょく)で追いおとせる』と思いこんだ。

 

『これは米軍の本格的反攻ではないか。事は重大である』と認識したのはひとり昭和天皇のみであった。

ガ島の米軍 


  敗戦間近のソ連軍の満州侵攻もそうであった。多くの陸軍中央の参謀たちは『スターリンは馬鹿ではない。日本に永遠の恨みを買うような対日参戦はゼッタイにない』と自分を納得させ、どんなに顕著な兆候が眼前にあろうとも、『起こると困ることは起きない』という根拠なき集団的確信を抱いていたのである。

 

 その朝、参謀次長河辺虎四郎中将は悲痛な叫びをあげた。

 『蘇(ソ)は遂に起ちたり!予の判断は外れたり』と。

 

 これらの教訓を踏まえて戦後は・・・と考えていたが、松本サリン事件がそれが安易な思い込みであることを教えてくれた。もっとひどく、集団的催眠にかかりやすい国民となっているのではないか。

 

歴史を忘れた国民となっているいまの日本人に、歴史を学ばない過去の愚をくり返すことになると、いくらいったところで詮(せん)ない話なのであろうか。」

 

これには思い当たる節があります。日本人は例えばアメリカ人と比較して、話している事や決めた事と、実際に行う事が合致しない部分が多いと思うのですが、この考察はまた後日書こうと思います。