実際に戦艦が沈没したらどうなるか? | 太平洋戦争史と心霊世界

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海軍を中心とした15年戦争史、自衛隊、霊界通信『シルバーバーチの霊訓』、
自身の病気(炎症性乳がん)について書いています。

18巻では滝中佐が空母龍驤(りゅうじょう)の沈没に巻き込まれ、42巻では戦艦大和が沈没し、草加少佐が運命を共にしてしまいましたが、実際の艦の沈没ってどんなものなのでしょうか。

  昭和
19年、レイテ沖海戦で戦艦武蔵が沈没しましたが、以下は当時19歳、乗員だった水兵長が残した記録です。

 

「おれは武蔵が沈没寸前の危ういところで海に飛び込んだ。沈没に巻き込まれないよう目茶苦茶に泳ぎながら武蔵から離れて振り返ってみると、武蔵は爆発しながら火だるまとなり、夜の海中深く沈んで行った。

 

流れてきたドラム缶につかまりながら休んでいると、海中から突如大渦巻きが現れ、コマのようにぐるぐる回りながら海中に引きずり込まれていく。おれは溺れながら絶望して『これでおしまいだな・・』と覚悟したが、不思議とそこにはある種の安らぎ感、眠い時眠りの中にずり落ちていくような深い陶酔感があった。その一瞬、これまでの色々な思い出が稲妻のように頭の中をめぐっていった。

 

こうして気が遠くなっていく中、武蔵は沈みながら、途中で2度目の爆発を起こし、おれは奇跡的にまた海上へ吹き上げられた。

 

海の上へ顔を出すと、そこは黒い布でもかぶせたように重油だらけで強い吐き気を催す。下腹も飲み込んだ海水ではちきれそうに膨らんでいた。重油を飲み込み、吐こうとしてもドロドロした塊がのどにこみあげてくるだけで、うまく吐き出せない。渦巻きと爆風で上衣もズボンも脱げて裸になってしまい、激しい悪寒もする。

 

流れてきた椅子につかまりながら、早く漂流の苦しみから楽になろうと椅子を離して溺れてみたり、舌を噛み切ろうとしたが、死に切れなかった。そうして悪戦苦闘しているうちに気絶してしまったらしい。気が付いた時には駆逐艦浜風の甲板に寝かされていた。」

 

 それにしても滝中佐、沈没の渦に巻きこまれても、靴と軍帽を失くしただけでラッキーでした。実際はあたり一面重油だらけで、顔も体も真っ黒けだろうし、水を飲んでお腹も膨張し、服も吹っ飛んで裸で救助されるという恥ずかしいことになりそうです。