本日公開の映画『帰ってきた あぶない刑事』。

映画を見終わっての帰り道、カーラジオをつけたら「舘ひろしです」「柴田恭兵です」の声が!

ニッポン放送『オールナイトニッポンGOLD』で「帰ってきた あぶない刑事SP」がオンエアされていたのです。何と言うタイミング!!

(金曜ロードショーは『あぶない刑事』ではなく『ジュラシック・ワールド 炎の王国』を放送。う〜ん)


前作『さらば あぶない刑事』が2016年公開。8年ぶりの新作になります。『さらば……』とタイトルの付いた作品が、しれっと復活するのは、某宇宙戦艦の映画で学習済みでしたから“ウェルカム、メニメニ、ヒア”です。


TVドラマ・シリーズ『あぶない刑事』の放送開始が1986年10月。この頃になると一家にテレビが2台以上あるのも珍しくなくなっていたのですが、それでも家族全員揃って同じ番組を見る習慣もギリギリ残っていた時代。人気番組なら三世代で同一番組を見る事もあったのです。それ故『あぶない刑事』はかなり幅広い年齢層の人達が鑑賞していました。(我家でも父親がファンでした)

公開中の『帰ってきた あぶない刑事』も(私が鑑賞した回に限れば)、やはり幅広い年齢層のリアルタイム世代のファンが劇場に詰め掛けていました。


……帰国したタカこと鷹山敏樹(演:舘ひろし)とユージこと大下勇次(演:柴田恭兵)は探偵事務所を開業。2人の前に永峰彩夏(演:土屋太鳳)が現れ母親を探して欲しいと依頼をする。その母親というのがタカ&ユージにとって忘れられない女性であり、もしかすると彩夏の父親はタカ&ユージのどちらかかもしれない……そして3人の出会いは、横浜を舞台にチャイニーズ・マフィアやタカ&ユージの宿敵だった銀星会 会長の息子が絡む大事件へと発展してゆく……


このストーリーの原型は恐らく1998年のフランス映画『ハーフ ア チャンス』ではないかと思います。


……高級車専門の窃盗犯アリス(演:ヴァネッサ・パラディ)は母の遺言に従い2人の初老の男性を訪ねる。1人は大泥棒のジュリアン(演:アラン・ドロン)。もう1人は元外人部隊のレオ(演:ジャン=ポール・ベルモンド)。遺言によれば、どちらかがアリスの父親なのだ。やがて3人は警察とマフィアが絡む大騒動に巻き込まれる……


『ハーフ ア チャンス』は、フランスを代表する2大俳優のアラン・ドロンとジャン=ポール・ベルモンドが名作『ボルサリーノ』以来28年ぶりに共演した事が話題になった作品でした。

……そうです。フランスのアラン・ドロン&ジャン=ポール・ベルモンドのコンビ復活を、日本の舘ひろし&柴田恭兵のコンビ復活が準えているのです。西のドロン&ベルモンド、東の舘&柴田!


或いは、1人の乙女の指輪を切欠にストーリーが動く辺りの元ネタは『ルパン三世 カリオストロの城』か?(ルパン&次元=タカ&ユージ?)


リアルタイム世代ではない人が『帰ってきた あぶない刑事』を鑑賞して、どの様に感じるかは判りません。

しかしリアルタイム世代のファンからすれば『帰ってきた あぶない刑事』は、懐かしさと現在進行形が混在する見事なエンターテインメント作品に仕上がっています。

それを象徴するのが……“誰よりも横浜で銃を撃ってきた刑事タカと、誰よりも横浜を走ってきた刑事ユージ”の2人でしたが、今回は私立探偵だけに武装した悪党を前にしても丸腰で立ち向かわなければならない……そこに1つドラマがあり、全力疾走すれば息が切れる……そこにもドラマがあり、そして2人が如何にして“あぶない探偵”ではなく“あぶない刑事”として拳銃を手にするか……そこに更なるドラマがあります。

そして拳銃を手にした2人……両手で拳銃を握るユージ、右手で拳銃を持ち 左手は胸の前に構えるタカ。かつてのポーズのままの2人の姿が登場します。(その直前にレパードも登場します。バイクに乗った“ショータイム”もあります)正に“帰ってきた あぶない刑事”です。


「そんな簡単に刑事に復帰出来るのか?」等と野暮は言うなかれ。14年経ってから復職した某特命係の刑事もいますから、8年のブランクなど無問題。それこそが“あぶない刑事”です。


また、永峰彩夏の3人目の父親候補?の劉飛龍=リウ・フェイロン(演:岸谷五朗)の存在が、キャラクター描写にスパイスを加えています。


メガホンを取るのが、かつてTVドラマ・シリーズを手掛けた原隆仁 監督の御子息である原廣利 監督というのも、本作を象徴する1つの要素です。


次回作があるのかどうかは不明ですが、叶うなら「M&R探偵社」の水原淳(演:藤竜也)と竜崎駿介(演:草刈正雄)の『プロハンター』コンビと、「特殊強行犯捜査課」の内海法道(演:時任三郎)と相棒の黒木達男(演:永島敏行)の『あきれた刑事』コンビがゲスト出演する、“セントラル・アーツ・シネマティック・ユニバース”の『あぶない刑事』が見たいです。(悪役は小沢仁志&小沢和義を希望。併せて其々がクロスオーバーする『プロハンター』『あきれた刑事』のスペシャル版も見たいです)


そう言えば……『帰ってきた あぶない刑事』は劇場版シリーズ初のシネスコ画面です。

横浜を舞台にした刑事モノ、探偵モノ、で御馴染みの「BAR POLESTAR」は登場します。

エンディングテーマは前作が「冷たい太陽」でしたので、本作は「翼を拡げて ~open your heart~」です。



『帰ってきた あぶない刑事』

2024年 日本

セントラル・アーツ

【出演】

舘ひろし

浅野温子

仲村トオル

土屋太鳳

早乙女太一

岸谷五朗

古瀬美智子

西野七瀬

長谷部香苗

柴田恭兵

【監督】

原廣利


【『あぶない刑事』作品一覧】

TVドラマ・シリーズ
『あぶない刑事』
1986年10月5日~1987年9月27日 全51話

劇場映画
『あぶない刑事』
1987年12月12日
併映『七福星』

劇場映画
『またまたあぶない刑事』
1988年7月2日
併映『·ふ·た·り·ぼ·っ·ち·』

TVドラマ・シリーズ
『もっとあぶない刑事』
1988年10月7日~1989年3月31日 全25話

劇場映画
『もっともあぶない刑事』
1989年4月22日
一部地方併映『カンフーキッド 続集』

劇場映画
『あぶない刑事 リターンズ』
1996年9月14日

TVドラマ・スペシャル
『あぶない刑事 フォーエヴァー TVスペシャル'98』
1998年8月28日

劇場映画
『あぶない刑事 フォーエヴァー THE MOVIE』
1998年9月12日

劇場映画
『まだまだあぶない刑事』
2005年10月22日

劇場映画
『さらば あぶない刑事』
2016年1月30日

劇場映画
『帰ってきた あぶない刑事』
2024年5月24日