4月5日より『オーメン ザ・ファースト』が劇場公開されています。
『オーメン』は1976年に公開されたオカルト映画が原点です。(20世紀フォックス配給)
1973年公開(日本では1974年公開)の『エクソシスト』の空前の大ヒットでオカルト映画ブームが到来します。日本でも『悪魔の〜』というタイトルの映画が次々に公開されましたが、大半の作品が「悪魔」は形容詞として使用されているだけで、劇中に超常的な悪魔の類いが登場する作品は僅かでした。
その中で、久し振りに“本格的な悪魔”が登場した作品が『オーメン』でした。
悪魔の子ダミアンを巡って、彼を崇拝する悪魔信奉者とダミアン暗殺を計るバチカンの死闘。無垢に見える少年ダミアンの周りで次々に起こる無惨な死の連鎖。世界は悪魔の跳梁に飲み込まれてしまうのか……
『オーメン』は世界的にも大ヒットしシリーズ化が決定。当初、プロデューサーは「『オーメン』は四部作になる。悪魔の子ダミアンの”幼少期“ ”少年期“ “青年期” ”壮年期“を描く事になる」と語っていましたが、実際には三部作となりシリーズは一旦終了。後にリメイクと思わせて実はもう一つの続編だったシリーズ4作目(TV映画。日本では劇場公開)が製作され、更にヨハネの黙示録に記された“獣の数字666”の日である2006年6月6日にリメイク版が公開。2016年にはTVドラマ・シリーズが放送されました。
『オーメン』
THE OMEN(1976)
【出演】
グレゴリー・ペック
ハーベイ・スティーブンス
【監督】
リチャード・ドナー
『オーメン2 ダミアン』
DAMIEN OMEN Ⅱ(1978)
【出演】
ウィリアム・ホールデン
ジョナサン・スコット・テイラー
【監督】
ドン・テイラー
『オーメン 最後の闘争』
THE FINAL CONFLICT(1981)
【出演】
サム・ニール
リサ・ハーロウ
【監督】
グラハム・ベイカー
『オーメン4』
OMEN Ⅳ THE AWKENING(1991)
【出演】
フェイ・グラント
エイジア・ヴィエーラ
【監督】
ジョージ・モンテシ
ドミニク・オセニン
『オーメン』
別題『オーメン666』
THE OMEN(2006)
【出演】
リーヴ・シュレイバー
シーマス・デイヴィー=フィッツパトリック
【監督】
ジョン・ムーア
『オーメン』
DAMIEN(2016)
TVドラマ・シリーズ 全10話
【出演】
ブラッドリー・ジェームズ
メガリン・エキカンウォーク
【監督】
ニック・コーパス
他
※『オーメン18 エンジェル』
THE EIGHTEEN ANGEL(1997)
脚本が『オーメン』と同じデヴィッド・セルツァーですが、『オーメン』シリーズとは無関係
《『オーメン』シリーズ公開情報》
1976年10月9日 名古屋市映画案内
名鉄東宝/エンゼル東宝
『オーメン』
『スカイ・ライダーズ』
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240408/05/zinzinemu/a1/1a/j/o1080060015422991064.jpg?caw=800)
1979年3月10日 名古屋市映画案内
中日シネラマ劇場
『オーメン2 ダミアン』
『マジック』
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240408/05/zinzinemu/ed/dc/j/o1021055715422991069.jpg?caw=800)
1979年3月10日 名古屋市映画案内
名宝シネマ
『オーメン2 ダミアン』
『思春の森』
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240408/05/zinzinemu/13/33/j/o1045067615422991071.jpg?caw=800)
1981年5月16日 名古屋市映画案内
毎日ホール大劇場/中日シネラマ劇場
『オーメン 最後の闘争』
『テラートレイン』
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240408/05/zinzinemu/6d/ba/j/o1077068315422991074.jpg?caw=800)
1991年10月19日 名古屋市映画案内
ヘラルド・シネプラザ1
『オーメン4』
『メル・ブルックス 逆転人生』
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240408/06/zinzinemu/e2/1f/j/o1080058815422993016.jpg?caw=800)
1991年11月2日 名古屋市映画案内
ヘラルド・シネプラザ2(併映を替えて続映)
『オーメン4』
『訴訟』
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240408/06/zinzinemu/e2/32/j/o1080059215422993018.jpg?caw=800)
2006年6月6日 名古屋市映画案内
名古屋ピカデリー/イオンシネマ・ワンダー
TOHOシネマズ名古屋ベイシティ
『オーメン』
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240408/05/zinzinemu/f7/5a/j/o1080060215422991079.jpg?caw=800)
『オーメン ザ・ファースト』ですが……
タイトルの如くシリーズの前日譚です。つまり結末は既に決まっており、劇中の人物が何をしようが悪魔の子ダミアンは生まれるのです。御丁寧にグレゴリー・ペックが写真で登場します。
製作側は途中ミスリードを意図したのかもしれませんが、ダミアンの母親になる女性が誰なのかは最初から明白です。となれば “この女性”が、あの墓地に埋葬されていた山犬と如何にして繋がるのかを1968年のロマン・ポランスキー監督作品『ローズマリーの赤ちゃん』の様な描写で語る……と思っていました。
実際、『ローズマリーの赤ちゃん』に酷似した描写があるのですが、墓地に埋葬されていた山犬には敢えて?触れられていません。
物語は修道院という隔絶された空間で展開、其処は当然キリスト教の価値観で支配された世界。そしてダミアン誕生の理由は早い話がマッチポンプなので……キリスト教に帰依していない(神社では春の祭礼が行われる時期で、映画公開の三日後の4月8日は御釈迦様の誕生日。そちらが身近に感じられる)身としては琴線に触れるものが在りません。
ラストシーンの意味は……神と悪魔は単体では存在し得ないので、悪魔の子ダミアンと共に生まれた女児は悪魔の子ではなく、マリアの懐妊に似た形で生まれた神の子の様な存在という事なのでしょうか。過去作品にはその様な存在は登場しませんから……となると『オーメン』シリーズもマルチバース化?
ブレナン神父「君が生んだ息子の名前を教えよう。ダミアンだ」……皆が知ってます。
せめてブレナン神父が、その名前を口にする直前でカットアウトしてエンディング・クレジットへ……という編集にして、観客が心の中で「ダミアン」と叫ぶ演出に出来なかったのでしょうか。
思い起こせば、シリーズ1作目が公開された1970年代は特殊?な時代で、社会的不安感を背景にオカルトが大流行しており、“悪魔” “幽霊” “超能力” ”UFO” ”ネッシー” “ノストラダムス”等が大挙して跳梁跋扈していました。その為、キリスト教と無縁の小学生までもが意味も知らずに“「666」は悪魔の数字”と話題にしていました……宗教観を超越して、悪魔の存在を信じざるを得ない空気が籠もっていたのです。しかし、あれから半世紀近い時が流れました。その間……1980年代早々に男女の痴情の縺れの様な形で葬り去られたダミアン。1990年代に現れた娘のデリアは行方知れずに。“666”の日=2006年6月6日に再誕したダミアンは半ば無視され、2016年に現れたダミアンは“自分が悪魔の子である事”を忘れていました。
但し……
『オーメン ザ・ファースト』の配給は20世紀フォックスを買収したウォルト・ディズニー・スタジオ。悪魔がディズニーに取り入ったのか、ディズニーが悪魔を取り込んだのか?
『オーメン ザ・ファースト』
THE FIRST OMEN
2024年 アメリカ
【出演】
ネル・タイガー・フリー
ビル・ナイ
タウフイーク・バルホーム
ソニア・ブラガ
マリア・ガバイェロ
ラルフ・アイネソン
ニコール・ソラス
アンドレア・アルカンジェリ
チャールズ・ダンス
イシュタル・カリー・ウィルソン
【監督】
アルカシャ・スティーブンソン