7代目ジェームズ・ボンド 役の最有力候補にアーロン・テイラー=ジョンソンの名前が挙がっています。そこで歴代ジェームズ・ボンド俳優が『007』シリーズ以前に出演した主な作品を記します。


【ジョージ・レーゼンビー】

ジョージ・レーゼンビーはモデル出身で、テレビCMの出演はありましたが、俳優としての活動は『女王陛下の007』が最初となります。


【ロジャー・ムーア】

『雨の朝巴里に死す』

THE LAST TIME I SAW PARIS/1954

フランシス・スコット・フィッツジェラルド原作の短編小説『バビロン再訪』を、物語の舞台を第二次世界大戦下に置き換えて(原作は第一次世界大戦下が舞台)製作された、エリザベス・テイラー主演のロマンス映画。

ロジャー・ムーアは8番目のキャスト・クレジット。


『わが愛に終りなし』

INTERRUP MELODY/1955

歌手として成功した女性マージョリー(演 エレノア・パーカー)が病を患い車椅子生活を余儀なくされるが、夫となるトーマス(演 グレン・フォード)の献身によって再起する様を描いた作品。マージョリー・ローレンスの自伝の映画化。

ロジャー・ムーアはマージョリーの弟シリル 役。


『アイバンホー』

IVANHOE/1957

サー・ウォルター・スコットが1820年に発表した小説をTVドラマ・シリーズ化した騎士道物語。1話30分。

主人公アイバンホーを演じるのがロジャー・ムーア。共演が後に『007 オクトパシー』〜『007 消されたライセンス』でMを演じるロバート・ブラウン。

日本では1958年にKRT(現 TBS)系にて放映。


『マーベリック』

MAVERICK/1957~1962

ジェームズ・ガーナー主演によるTVドラマ・シリーズの西部劇。日本では1961年からNET系にて放映。

ロジャー・ムーアは1959年~1961年の間で16エピソードにゲスト出演


『サンセット77』

SUNSET 77 STRIP/1958~1964

エフレム・ジンバリスト・ジュニアとロジャー・スミス主演による私立探偵を主人公にしたTVドラマ・シリーズ。日本では1960年からKRT(現 TBS)系にて放映。

ロジャー・ムーアは1959年~1961年の間で2エピソードにゲスト出演。


『奇蹟』

THE MIRACLE/1959

17世紀、ナポレオンがフランス皇帝だった時代のスペインを舞台に、尼僧テレサ(演 キャロル・ベイカー)とイギリス軍のマイケル・スチュワート大尉(演 ロジャー・ムーア)が恋に落ちるが、不思議な運命に翻弄されていく姿が描かれるロマンス映画。


『セブンセントの決闘』

THE GOLD OF SEVEN SAINTS/1960

荒野で金塊を見つけたレインボルト(演 クリント・ウォーカー)とショーン(演 ロジャー・ムーア)。その金塊を巡ってマクラケン(演 ジーン・エバンス)率いる悪党一味、謎の医師ゲイツ(演 チル・ウィルズ)、メキシコ人の農夫アモス(演 ロバート・ミドルトン)、アモスの娘ティタ(演 レティシア・ロマン)が絡む西部劇。


『サビーヌの略奪』

IL RATTO DELLE SABINE/1960

ローマ帝国建国者の1人であるロミュラス(演 ロジャー・ムーア)は部下を引き連れ、妻となる女性を求めて女の都サビーヌにやって来る。そして繰り広げられる乱痴気騒ぎを描いたコメディ。ミレーヌ・ドモンジョが共演。


『セイント 天国野郎』

別題『ヨーロッパ秘密指令』

THE SAINT/1962~1968

“東にスパイあれば飛んで行って国際陰謀を裁き、西に正体不明の怪獣出れば鮮やかな科学捜査でねじ伏せる。警察なんかてんでお呼びじゃない。でも美人だったら大歓迎。粋でスマートで腕力はめっぽう強く、事件の現場に残す天使の悪戯書き。だから人呼んで天国野郎。それが現代のヒーロー、サイモン・テンプラーだ。”のナレーションで知られるTVドラマ・シリーズ。

ロジャー・ムーアが神出鬼没の怪盗セイント=サイモン・テンプラーを演じ、全118話が製作された大人気作品。

日本では1965年から日本テレビ系、及び毎日放送系にて放映。


『大逆転』

CROSSPLOT/1969

広告代理店勤務のゲイリー・フォン(演 ロジャー・ムーア)は新たな広告キャンペーンの為に、1枚の写真を手かがりに1人の女性を探す事になる。やがてそれが政治的騒乱へと繋がっていく……という、軽快な描写のサスペンス&アクション。『007』シリーズで初代Mを演じたバーナード・リーが共演。


『悪魔の虚像 ドッペルゲンガー』

THE MAN WHO HAUNTED HIMSELF/1970

会社重役のハロルド・ペラム(演 ロジャー・ムーア)は自動車事故で瀕死の重症を負う。かろうじて一命を取り留め社会復帰を果たすが、全く性格の異なる“もう一人の自分”の存在を知る。ペラムは精神的に追い込まれ、驚愕の結末を迎える。

『ヒッチコック劇場』でもドラマ化されたアンソニー・アームストロングの小説の映画化作品。日本ではビデオ公開。


『ダンディ2 華麗な冒険』

THE PERSUADERS!/1971~1972

”ケンカには強いが女には弱い。プレイボーイのダンディ2。俺、ニューヨークはスラム出の実業家ダニー・ワイルド。私、イングランドは名門貴族出のブレット・シンクレア。”のナレーションで知られるTVドラマ・シリーズ。

アメリカの叩き上げの億万長者ダニー・ワイルド(演 トニー・カーティス)とイギリスの公爵ブレット・シンクレア(演 ロジャー・ムーア)。生まれも育ちも趣味も異なるが冒険好きの2人がコンビを組み、難事件解決に乗り出すアクション編。

日本では既に『007 死ぬのは奴らだ』が公開され『007 黄金銃を持つ男』の公開を控えた1974年10月からNET(現 テレビ朝日)系にて放映。


……こうして見ると、ロジャー・ムーアは比較的ジェームズ・ボンドに近い役を演じていたのが判ります。特に『セイント 天国野郎』『大逆転』『ダンディ2 華麗な冒険』でロジャー・ムーアが演じたキャラクターは、三代目ジェームズ・ボンドに直結している様に思えます。(『セイント 天国野郎』では名前を聞かれた主人公が「テンプラー。サイモン・テンプラー」と答える場面まであります)

一方で『悪魔の虚像 ドッペルゲンガー』での高い演技力が評価され、その表現の幅広さがジェームズ・ボンド役への起用に繋がったのかもしれません。


『ダンディ2 華麗な冒険』

初回放送 1974年10月5日

名古屋テレビ(NET 系)のラ・テ欄