2000年7月に劇場公開された映画『ジュブナイル』を鑑賞した時の話です。

タイトルの“ジュブナイル”という言葉から往年のNHK『少年ドラマシリーズ』的な内容を想像しました。

次に、ポスター等の宣材に登場するロボットのテトラ。その丸っこい外見から、「『ジュブナイル』=和製『ニューヨーク東8番街の奇跡』?」という印象を持っていました。

やがて劇場予告編が上映されますが、“少年が操縦するモビルスーツ?”みたいなロボットが登場。私には「全くストーリーが想像出来ない……」映画となっていました。


『ジュブナイル』は、今は無き名古屋市の東宝邦画系封切館の総本山だった「名宝劇場(正式名:名古屋宝塚劇場)」にて鑑賞しました。劇中に挿入歌として『アトムの子』(歌唱:山下達郎)が流れるので「手塚治虫リスペクトの作品?」とも思ったのですが、ラストシーンを見て「これは……!?」と感じ、エンディング・クレジットに「for Mr.Fujiko·F·Fujio」の表記が在った事で、全てが腑に落ちた気がしたものです。


2000年7月15日 名古屋市の映画案内

元々、『ジュブナイル』のアイディアの源は、1998年の初頭に、映画のエンディング・クレジットの「Director's Thanks」に名前の記載があるS氏が大学生時代に個人のホームページにアップした私的な『ドラえもん』の最終回にありました。(大人になったのび太がドラえもんを発明するという内容。この話を元に2005年にT氏が執筆した『ドラえもん』最終回の同人漫画が、これまた大きな話題となりました)

この同人作品は反響を呼びS氏の思惑を大きく外れて拡散、テレビ番組でタレントが話題にする一方で、S氏のホームページには誹謗中傷の書き込みが行われる様になり、S氏は恐怖を感じます。

この同人作品を読んだ1人が山崎貴 監督。「藤子先生に申し訳ない」と渋るS氏を説得して許諾を得て、更に小学館と藤子プロにも了解を得て製作された映画が『ジュブナイル』でした。


さて……劇場で購入した『ジュブナイル』のパンフレットのグッズ通販の広告にサウンド・トラックCDがありました。(音楽:清水靖晃)タワレコやHMVや新星堂 等での店頭販売は無く通販限定商品という事で、私は早速購入希望のハガキを出しました。当時はまだネット通販のシステムが確率されておらず、ハガキで購入希望の旨を伝え、その後に先方から振込用紙が送付され、その振込用紙に記載の代金を支払うと商品が送られてくるという……結構手間のかかる購入方法でした。


ところが『ジュブナイル』サウンド・トラックCDは購入希望者が多数だった様で、「申し訳ありません。完売致しました」の案内だけが私の元に届きました。(どうやらプレス数が限定だった様です)


ところが数週間後、「キネマ旬報」誌のサントラ盤紹介頁で『ジュブナイル』の件のCDが取り上げられており、「通販限定品。購入希望者は先の電話番号に問い合わせ」と記載されているではありませんか。

電話しました、早速。繋がった先は……『ジュブナイル』の製作プロダクションの「ROBOT」だったのです。

……流石に今は行っていないでしょうけれど、当時は通販の対応までされていたのです。日米でアカデミー賞を受賞した『ゴジラ −1.0』の製作プロダクションに直接電話をかけたのは、後にも先にもこの時だけです。(笑)


『ジュブナイル』のサウンド・トラックCDは、無事購入する事が出来ました。


余談ですが……2022年7月に劇場公開された映画『ゴーストブック おばけずかん』。少年、少女が主人公という事で勝手に『ジュブナイル』の姉妹編的作品だと自分は捉えていたのですが、映画本編を見てビックリ。『ジュブナイル』の主演の2人(遠藤雄弥&鈴木杏)が同じ役名で登場するではありませんか。

……映画『ゴーストブック おばけずかん』は『ジュブナイル』の、もう一つの続篇でもあったのです。

映画『ゴーストブック おばけずかん』のサウンド・トラックCD(音楽:佐藤直紀)は……通販限定品ではなく、一般流通品として現在でも販売されています。



『ジュブナイル』

2000年 日本

ROBOT

【出演】

遠藤雄弥

鈴木杏

清水京太郎

YŪKI

林原めぐみ(声)

香取慎吾

酒井美紀

川平慈英

緒川たまき

吉岡秀隆

【監督/脚本/VFX】

山崎貴

【音楽】

清水靖晃

【配給】

東宝