1980年代のTVアニメ・シリーズの中で、打ち切り作品として有名なのが『宇宙戦士バルディオス』『伝説巨神イデオン』です。
共に東京12チャンネル(現:テレビ東京)での放送、共に巨大ロボット作品、共に劇場版で補完されたという共通点のある作品です。

『宇宙戦士バルディオス』は、東京では1980年6月30日~1981年1月25日の放送。全31話。製作は「第一放映」「葦プロダクション」「国際放映」の3社。
放送時間の変更、スポンサーの経営難などを理由に全39話放送の予定が31話に短縮されました。その為、最終回は地球侵略を目論むアルデバロン(S-1星人)のガットラー総統が遂行した人工太陽作戦が成功し、地球の北極圏と南極圏の氷が溶け世界が水没して「完」という、衝撃的にも程がある結末を迎えました。

その衝撃故に却って話題を呼び、ファンの熱望を受けて劇場映画化が決定。映画前半はTVアニメ・シリーズの再編集、映画後半はTV未放映となったエピソードを中心とした構成となっており、ようやくにして1つの作品として完結しました。
劇場版『宇宙戦士バルディオス』は、東映セントラルフィルムの配給で1981年12月19日公開。併映は『Dr.スランプ アラレちゃん ハロー!不思議島』の再映でした。

『伝説巨神イデオン』は、東京では1980年5月8日~1981年の1月30日の放送。全39話。製作は「東京12チャンネル」「東急エージェンシー」「日本サンライズ」の3社。
放送時間の変更、視聴率の伸び悩み、玩具の売上低迷などを理由に全43話の放送予定が39話に短縮されました。その為、最終回では地球人の男性ベスと恋に落ちたバッフ・クランの女性カララと、カララの父でありバッフ・クランの総司令官でもあるドバとの交渉が決裂。地球とバッフ・クランの間で再び戦火が上がった瞬間に未知の力であるイデが発動し、地球人もバッフクランも高次元の彼方に消えるという展開となり、その結末部分が殆どナレーションで語られる唐突な最後を迎えました。

その唐突さ故に却って話題を呼び、ファンの熱望を受けて劇場映画化が決定。『伝説巨神イデオン 接触篇』『伝説巨神イデオン 発動篇』の二部編成で一挙上映となり、松竹邦画系劇場で1982年7月10日に公開されました。『伝説巨神イデオン 接触篇』はTVシリーズの再編集、『伝説巨神イデオン 発動篇』は未放映エピソードを中心とした内容でした。
『伝説巨神イデオン 発動篇』は想像を超えた衝撃的展開となり、富野喜幸(現:富野由悠季)監督はアニメ・ファンから「皆殺しの富野」と呼ばれる様になります。(富野喜幸 監督作品には『海のトリトン』『無敵超人ザンボット3』と、ジェノサイドな展開になる作品が多かった為。この傾向は『聖戦士ダンバイン』へと続きます)

さて……
『宇宙戦士バルディオス』『伝説巨神イデオン』放送当時は、キー局の東京12チャンネルはネットワーク化がされておらず、私の地元ではテレビ愛知がまだ開局していなかった為に、両作品はフジテレビ系列の東海テレビで放送されていました。
そして何の因果か、両作品の衝撃的最終回が同日に放送される事態となりました。

1981年1月30日㈮ 東海地区のラ・テ欄

東海テレビ
午後4時30分~午後5時『宇宙戦士バルディオス』
午後5時30分~午後6時『伝説巨神イデオン』
SFマリオネーション・ドラマ『Xボンバー』を間に挟み、衝撃的ぶった斬り最終回の2連打となっています。
『伝説巨神イデオン』の最終回は東京でも同日の1981年1月30日放送となっていますが、東京12チャンネルでは午後7時30分からのオンエアであり、そのキー局に2時間先駆けて東海テレビはオンエアしていました。
但し、東海テレビでは『伝説巨神イデオン』のエンディング・テーマは、第1話放送時から半分以下に短縮されており、東京12チャンネルで最終回オンエア後に流れた、30秒ほどの本編ダイジェストと「イデオン プレゼント」の案内も放送されていません。