今年2023年のプロ野球は、阪神タイガースがセ・リーグ優勝、クライマックスシリーズも勝ち抜き、日本シリーズも制覇し、見事日本一に輝きました。


兵庫県のテレビ局、サンテレビ。特定のネットワークの系列局ではなく、独立系の県域局です。

ネットワークに属していないので、番組編成に苦労する一方で、独自性の強い比較的自由の利く番組制作が出来る強みもあります。


サンテレビの開局間もない頃からの人気番組がプロ野球中継、阪神タイガースの試合の放送です。番組名は『サンテレビボックス席』。

サンテレビの開局が1969年。開局6日目に初めて阪神タイガース戦を放送していますが、翌年の1970年には試合開始から試合終了までの完全中継を始めています。

1970年代と言えば、プロ野球のナイター中継は放送開始時間が19時ないしは19時30分。放送終了時間は20時54分頃。「試合の途中ですが放送終了の時間が近付いてきました」が定番だった時代。他の放送局では30分の放送延長すら行われなかった時代に、完全中継を行うサンテレビは阪神タイガース・ファンにとっては大変に有難い存在でした。映画『太陽を盗んだ男』の9番こと城戸先生の脅迫もサンテレビには通用しなかったのです。


1973年、甲子園球場で行われた阪神タイガースvs読売ジャイアンツのセ・リーグ最終戦。タイガースは勝つか引き分ければ優勝、ジャイアンツは勝てば優勝という、正に最終決戦。結果は0対9でタイガースの惨敗。怒りのタイガース・ファンの一部が暴徒と化しグランドに乱入、テレビ局の中継ブースも襲撃されたのですが、「待て!サンテレビにだけは手出すな。ここはオレらの仲間や!!」との声が飛び、サンテレビの中継ブースだけは無傷で済んだという逸話があります。


サンテレビでは、阪神タイガースがセ・リーグ優勝、或いは日本一になった当日は予定の番組を全て?変更し、深夜までタイガース特番を組むのが半ば当たり前になっています。サンテレビ社長が「タイガースが優勝したら、他の番組はなんぼでも移動させます」と言ったとか言わなかったとか。


当然、今年も同様の特番が組まれた様ですが、大晦日にも阪神タイガース特番が放送されます。


まず18時から18時55分は『2023年総決算!阪神タイガースWomen』が放送。阪神タイガースが結成した女子硬式野球チームの活動を紹介する番組です。


そして19時から0時30分までは『熱血!タイガース党 お〜んみそかSP』を放送。この番組の最大の見せ場は20時〜23時の、阪神タイガースがセ・リーグ優勝を遂げた9月14日の『サンテレビボックス席』を再放送するコーナーです。勿論、試合開始から歓喜の胴上げまでの完全(再)放送……の予定です。

正直、少し呆れてしまうのですが、同じ映画を何度も見る映画ファンがいるように、熱心なタイガース・ファンなら何度でも見たい試合なのかもしれません。


それに……全国ネットで放送される大晦日特番でも、今年のTBSは17時から23時45分の枠で『WBC ザ・ファイナル』が放送されますから、サンテレビの大晦日特番が殊更特別という訳でもないようです。


『熱血!タイガース党 お〜んみそかSP』は果たしてどれ位の視聴率を取るのか。兵庫県限定ですが、他の全国ネットの大晦日特番を上回る数字を取ったら、それはそれで中々痛快な話です。


こちらの映画は現在上映中。

名古屋でも大晦日24時=元旦0時の回で、同作品の“発声OK応援上映「六甲おろし」大合唱!”が上映されます。