『攻殻機動隊 SAC_2045』は、Netflixで配信されたアニメ・シリーズ。2020年にシーズン1が配信され、翌年の2021年にシリーズ総集編の『攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争』が劇場公開。2022年にシーズン2が配信され、現在劇場で公開中の『攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』が、その総集編となります。


全12話のシリーズを126分に纏めているので、私の様にNetflixに加入していない者が見ると、若干話が飛躍して感じられる部分もあるのですが、一方で密度の濃さを感じる作品です。


電脳化、義体化が当然の様に行われている時代、人間を人間たらしめているのは、ゴーストの存在……これが『攻殻機動隊』シリーズで一貫して描かれている主題です。


最初の劇場アニメーション映画『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』が1995年公開。それ以降、前日譚に当たるTVアニメ・シリーズ、続篇に当たる劇場アニメーション映画、一部リテイクを施したニューバージョン、劇場先行公開されたプリクエルに当たるアニメ・シリーズと続篇の劇場アニメーション映画、更にハリウッドでの実写劇場映画と、28年にわたって映像化されてきた『攻殻機動隊』は、その度に「人形使い」「笑い男」「個別の11人」等の驚愕の存在を通して、その主題を突きつけてきました。(ハリウッド映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』は、主人公が失われた記憶を取り戻すだけの話になっており、タイトルとは裏腹にゴーストの存在が主題として描かれていません。これがハリウッド版が批判される最大の要因です。アメリカでは草薙素子をスカーレット・ヨハンソンが演じる事への、ポリコレ的批判ばかりが話題となった様ですが……)


そしつの本作品では更なる存在として「ポスト・ヒューマン」、そして「ダブルシンク」が描かれます。


この「ダブルシンク」が……正直、まだ理解が追いつかないのですが、最初に『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』の結末を観た時の衝撃に匹敵するものでした。

加えて「人間を人間たらしめているのはゴーストの存在」という主題を踏まえた上での本作のタイトル『最後の人間』が意味するもの……色々と、自分なりに落とし込むには時間がかかりそうです。


本作のラストシーンは、第1作『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』のトップシーン及び、ラストシーンにも重なるイメージでもあり、これは「ダブルシンク」的表現だったりするのでしょうか?


入場者特典


江崎プリン……劇中で明かされる(苗字も含めて)洋菓子みたいな名前の由来が、そのままだったとは!

因みに『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』が1995年に初公開された際、名古屋での封切館はフィルムでの上映を行わないビデオシアターの「浄心劇場」でした。このビデオシアターが、映画館の形態にどんな影響を与えるか注目されていましたが、当時はフィルムをビデオに変換する許可を与えない映画会社が大半だった為、上映出来る作品が限定されてしまい定着しませんでした。
2023年現在、フィルム上映が可能な映画館は全国でも数える程になっており、隔世の感があります。


『攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』
2023年 日本
Production I.G.
SOLA DIGITAL ARTS
【出演】
田中敦子
中博史
大塚明夫
山寺宏一
仲野裕
大川透
小野塚貴志
山口太郎
玉川砂記子
潘めぐみ
【監督】
藤井道人
【総監督】
神山健治
荒牧伸志